「知財を身近にするメディア」をコンセプトに、2020年5月よりスタートした本 Toreru Media 。おかげさまで多くの方々に読んでいただき、2021年には月間10万PVも突破しました。応援に感謝いたします。
また、Toreru Media がコンテンツマーケティング・グランプリ2021「専門コンテンツ部門」を受賞しました!

CONTENT MARKETING GRAND PRIX | コンテンツマーケティング・グランプリ 2021
審査員のコメントでは「知財関係に全く素人であっても、ちょっと詳しくなれそうな期待を持てる敷居の低いコンテンツがたくさん揃っている。」、「企業内の法務部や知財担当の方にとっても、問い合わせに対して「これ読んだら分かるよ」という情報ソースとして使われるといった利用シーンが思い浮かぶ。」との評価を頂きました。
まさに我々編集部が目指していたことで、嬉しい限りです。今後もさらに精進して参ります。
本記事は「2021年総決算」として、今年良く読まれた記事、編集部のおススメ記事を紹介するとともに、2022年 Toreru Media の新たな「年間テーマ」を発表します。
1、2021年「良く読まれた」記事 5選
まずは2021年に良く読まれたベスト記事5本をご紹介します。
最初は、お役立ち系より1本目。
商標の右上に時々ついているⓇの意味や、Ⓒマークなどとの違い、法律上の規定や役割について、実例を含めて紹介しています。
もし「Ⓡって何の略だっけ?」という方がいらっしゃったら、是非チェックしてみてください。
続いて2本目。
『岩下の新生姜』と類似品の戦いを分析した記事です。記事を執筆したちざたまごさんからは、
中立視点で書くことを心掛け、味の評価や法律判断は完全に公平に書きましたが、取材のために「岩下の新生姜ミュージアム」に訪問したら、異常な熱量にあてられ、最終的に『岩下の新生姜』ファンになってしまいました。今でも『やみつき岩下の新生姜』を常備しています。
とコメント頂いています。
岩下食品さんは2021年9月に「類似品対策として」と明記したうえで、パッケージのリニューアルを行いました。パッケージのアイキャッチに公式キャラクターの「イワシカちゃん」を採用することで、ユーザーが類似品と誤って買うことがないように工夫されています。
岩下の新生姜カップ製品2品のパッケージに公式キャラクター「イワシカ」登場!類似品対策の新デザイン(岩下食品ニュースリリースページより)
キャラクターは著作権でも守られますし、出願することで商標登録することも可能です。アイキャッチの効果も高く、差別化の方法として効果的でしょう。もはや「類似させる」ことも困難です。
知財で戦うことは大切ですが、唯一の紛争解決方法でもないという点で、我々も勉強になりました。
さらに3本目。
ご自身もドラマーとしてバンドを組まれている弁理士のMIさんによるゲスト記事です。
「楽譜のコピーは著作権侵害なの?」、「演奏動画を動画サイトにUPしても良い?」、「有名になりすぎると逆に商標登録できなくなる?」など、専門知識と趣味がクロスオーバーした一本で、多くの注目を集めました。
MIさんは、弁理士でユニットを組んだ知財ブログ『IP RIP~チザイの雑談~』でも活動されています。Toreru Mediaでは2022年も、さまざまな知財発信をされている方とコラボしていく予定です!
続いて4本目です。
羽生棋士の「歴史的一手」を振り返りながら、将棋の駒商標を見ていこうという、タモリ倶楽部感あふれる独自記事です。
ライターはこち亀記事でおなじみのUchidaさん。こち亀シリーズでも「新桃太郎!?こち亀の名シーン5選からゆるく学ぶ著作権法」など、ユニークな記事を今年も多数執筆されています。合わせてチェックしてみてください。
ラストの5本目。
オモチさんによるスタバ愛あふれる1本。フラペチーノⓇがスターバックスの登録商標というのは有名ですが、飲み口の封を兼ねるマドラーまで特許出願していたとは意外でした。
中目黒の『STARBUCKS RESERVE ROASTERY』の写真撮影は編集部で協力したのですが、ロースタリーのロゴのこだわりや、意匠登録されている「コーヒー抽出機」のディスプレイなど、知財がめっちゃ生きているお店でした!
知財を身近に感じる、休日のおでかけにもおススメの施設です。
中目黒『STARBUCKS RESERVE ROASTERY』(編集部撮影)
2、2021年「編集部おススメ」記事 5選
続いて今年公開の記事から、編集部おすすめの5本をご紹介します。
まず1本目。
今年大ヒットした『鬼滅の刃』。便乗商品も多数出て、9月には類似品を販売した業者が不正競争防止法違反で起訴された報道もありました。
ただ、知財において本来、「便乗」は微妙なテーマ。違法(ブラック)と適法(ホワイト)の間にグレーゾーンがあり、グレーゾーンは世の中の関心や許容度で揺れ動きます。一方、基準がなければ〇か×はとても恣意的なものになってしまいます。
本記事は、『鬼滅の刃』に便乗したと思われる第三者商標9件に対して、特許庁審査官がどのように判断したかを理由付けと合わせて確認し、最新の審査の考え方を探ろうとするものです。
2020年にも「歴代ジャンプ漫画の商標登録を調べてみた」をゲスト投稿いただいたしろさんによる寄稿で、来年も是非ジャンプネタ、お待ちしております!
続いて2本目。
Toreru Media 2021年のテーマだった「ブランディング」。本記事は、商標出願時に「なぜ(why)」と「何を(what)」を整理することで、ブランディング起点での商標戦略を立てることができるとして、具体的な方法論を紹介しています。
どうしても知財業界では「知財を出願してもらう」こと自体が目的化し、その出願が本当に必要か、また登録後に活用できるかが二の次になってしまう現実もあります。
Toreru Media では「知財を取得することはあくまで手段」と考えて、「知財の活用方法」や「本当に必要な知財の見極め方」についても、しっかりと掘り下げていきます。
※ ブランディングについては、Toreru自身 のブランディング実践記をはじめ、リブランディング時の注意点、インナーからのブランディング実例など、シリーズ記事を多数公開していますので、商標×ブランディングに関心がある方は是非チェックください!
さらに3本目です。
日本に出願された特許出願の中から、“標高”が世界一の者を決めようという、 Toreru Media らしい自由な企画でした。
出場選手はネパール、ボリビア、チベットと「そんなグローバルから日本に特許出願されているんだ」と編集部も驚きの結果です。
作者はライダー×商標の記事も執筆したSatomiさん。 Toreru Media は、自分の好きなものを好奇心の赴くまま掘り下げていく姿勢を応援しています!
4本目。
本記事は、特許翻訳者の「み・カミーノ」さんからゲスト原稿として寄稿頂きました!
20年前、「特許翻訳者養成コース」で、特許明細書のバカみたいに長い一文に対面し「こんなに訳が分からない文章、この世にある?悔しい。攻略したい」と思って「特許翻訳者になる」と決めた・・という、み・カミーノさん。
翻訳に用いるツールや単価の話、そしてやりがいまで「特許翻訳の世界」が覗ける、素敵なゲスト投稿でした。2022年にも続編の掲載を予定していますので、お楽しみに!
ラストの5本目。
本記事もゲスト投稿。アパレル企業で法務知財を長年担当されている10ruさんによる寄稿です。
知財の世界は法律論とは別に、「業界ならではの商慣習や考え方の違い」が大きく、業界の特徴をあらかじめ知っておかなければ思わぬ落とし穴にはまることがあります。
ただ、業界ごとの特徴は「中の人」以外にはなかなか覗くことができないもの。実務経験者による生の声はとても貴重です。 Toreru Media では様々な業界の「実体験あふれる記事」をこれからも掲載していきます!
3、2022年のテーマは「知財テック」!
Toreru Media では毎年、掘り下げるテーマを設定し、通年でシリーズ記事を掲載しています。2021年のテーマは「ブランディング」で、Toreru自身の取り組みも一挙公開していました。
そして2022年の新たなテーマは・・「知財テック」!
株式会社/特許業務法人Toreru はテクノロジーを活用することでユーザーの手間・コストを削減。さらに専門家が業務に集中できるようにし、みんながよりカンタンに、安心して知的財産を利用できるように日々、取り組んでいます。
「知財テック」とは、知財部門を効率化するテクノロジーの総称です。 Toreru の得意分野ではありますが、我々も発展途上。まだまだ工夫の余地がある世界です。また、「知財テック」は特定のリテラシーが高い人たちだけが使いこなすものではなく、誰でも・みんなが利用することで、「知財活用」がもっと加速していくはずです。
そこで、 Toreru Media では「知財テック」を2022年の通年テーマに置き、掘り下げていきます。
<現在の企画案>
- 知財テックってそもそも何なのよ
- 知財テック カオスマップ大公開
- みんなの知財テック 取り組み事例
- 知財テックフォーラム イベント開催!
- 次に来る!?海外の知財テック
年4回のシリーズ展開を予定しています。「知財テックが身近になる」記事を制作していきますので、お楽しみに!
4、ゲスト投稿もお待ちしています
最後に「ゲスト投稿枠」のご紹介です。 Toreru Media は「知財を身近にする」ことに共感頂ける方々と協力し、みんなで知財の価値を広げていくことを目指しています。
いわば Toreru Media のウェブサイトが『劇場』になり、さまざまな方が「知財を身近にする」を共通テーマにした、独自性がある記事で出演していく。
ご自身のブログや、ウェブサイトですでに情報発信されている方も多いと思いますが、「書く場所」やテーマが異なれば、読み手も変わるもの。新たな出会い・発見があるかもしれません。
題材は「商標」に限らず、「知財を身近にする」というメディアコンセプトにあえばOKです。
我々からも「この方の記事を読んでみたい!」という方には積極的にお声がけさせていただきますので、その時はぜひ出演(ご寄稿)を検討いただければありがたいです。
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2021年も激動の年でしたが、その分、新たな出会いや発見もありました。2020年に誕生した Toreru Media 、さまざまな企画を通じ、さらに多くの方とつながっていければと思いますので、よろしくお願いいたします!
※ Toreru Media は「火曜日定期更新」で2022年も運営予定です。