ロゴ商標と文字商標の違いは?事例で解説!

 商標登録出願ができるのは、商品やサービスのネーミングだけではありません。ロゴも出願することができます。この記事では、商標登録の観点から、ロゴ(図形)とネーミング(文字)の違いを解説します。

図形の商標とは

 まず、商標登録出願できるものにはどのようなものがあるでしょうか? 商標法第2条第1項を参照してみましょう。

”この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。(以下略)”

 商品やサービスのネーミングを示す文字の商標だけではなく、図形や立体形状、音も商標として出願することができます。この際、図形単独で出願することもできますし、たとえば、Slackのロゴは、この図形単独で商標登録出願しています。

画像 Toreru商標検索より引用

 また、図形と文字を組み合わせて出願することもできます。このような商標は「結合商標」と呼ばれます。たとえば、Chatworkのロゴはサービス名の”Chatwork”と結合された結合商標の形で商標登録出願されています。

画像 Toreru商標検索

図形の商標の特徴

 商標登録のための審査では、外観(見た目)・称呼(読み方)・観念(意味)の3つの観点から類否判断がなされます。既存の商標と類似していると判断された場合、商標登録を受けることができません。

 文字商標の類否判断の場合、称呼(読み方)が大きなウエイトを占めます。一方、図形の商標の場合は、称呼(読み方)と観念(意味)が生じないこともあります。先程挙げたSlackのロゴの場合もそうですね。そのため、図形の商標の場合は外観(見た目)が類似判断において大きなウエイトを占めます。

事例紹介 株式会社Voicy

 では、どのような場合に図形の商標の登録がが役立つのでしょうか。ここでは株式会社Voicyを例にしてご紹介します。株式会社Voicyではボイスメディア「Voicy」を開発・運営しています。

画像 株式会社Voicyホームページ サービス紹介ページより引用
リンク 株式会社Voicyホームページ サービス紹介ページ

 サービス名「Voicy」の商標は既に登録済です。

画像 J-PlatPat商標検索より引用

 そして、サービスを示すロゴマーク(図形)の商標は現在審査されているところです。

 株式会社Voicyの場合、図形と文字を結合した結合商標は出願していません。

 結合商標で商標登録された場合、つまり結合商標で商標権を取得した場合、第三者が図形のみ真似してきたとすると、「こちらは文字を含まず称呼(読み方)が発生しないから非類似だ。だから、おたくの権利は侵害していない。」と反論する余地を与えてしまうことになります。また、第三者が「図形+別の語」という真似の仕方をしてきたとすると、「こちらは別の語を含んでいるから非類似だ。」と反論する余地を与えてしまうことになります。

 このようなことを考慮すると、図形単独で出願することのメリットが見えてきます。つまり、図形単独で商標権を取得した場合、図形 vs 図形の対比になるので、速やかな権利行使がしやすいと考えられます。

 また、登録された商標は使用していないと不使用取消審判によりその登録が取り消されてしまいます。つまり商標権がなくなってしまうということです。商標法50条1項には下記のように書かれています。要は、登録商標を3年以上使用していない場合は、誰でも、特許庁にその登録を取り消すための訴えができるということです。

”継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。”

 取消審判が請求された場合、商標を使用している証拠を提出すれば取消を回避できるのですが、図形と文字を組み合わせた結合商標に対して不使用取消審判が請求された場合、図形だけの使用証拠では取消が回避できない可能性があります。

 この辺りの事情を考慮すると、図形単独での使用予定があったり、さらに予算にも余裕がある場合は、「文字」と「図形」は分けて商標登録出願したほうが、権利としての使い勝手が良くなります。

 Voicy株式会社の場合、スマホアプリのアイコンとして使用する場合など、図形単独での使用予定があったことから、「文字」と「図形」を分けて商標登録出願するという戦略をとったのではないかと推測できます。

 なお、先ほど「予算」について触れましたが、予算が限られている場合は、まずは商品やサービスのネーミングの出願を優先させることがよくあります。特にスタートアップ企業の場合は、サービスのロゴをリニューアルすることもよくあるので、まずはネーミング(文字)でしっかりと商標権を取得し、その後サービスの成長に応じてロゴ(図形)の商標権も取得するという戦略をとることができます。

まとめ

 ネーミングを示す文字商標、ロゴやマークを示す図形商標、そしてそれらを結合した結合商標、これらにはそれぞれ特徴があります。事業のステージに応じてこれらの商標を戦略的に出願していくことで、商品やサービスのブランドをしっかりと保護してゆきましょう。商標登録出願の戦略については、ぜひ経験豊富な弁理士にご相談ください。

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