商標調査って何するの?方法や費用、意外な落とし穴を解説

  • 2020年6月25日
  • 2020年6月19日
  • 商標

はじめに

商標登録のことを調べると、商標調査という言葉をよく目にすると思います。

また、商標調査ってどうすればいいのか?と気になる方も多いと思います。

この記事では、商標調査って何をするのか? 自分でもできるのか? 気になる費用注意点を解説していきます。

商標調査は何をするのか

商標調査とは、自分が使用したり登録したい商標についての商標法的リスクを明らかにするための調査です。

とは言っても、実際はどんなことをするのでしょうか?

それではステップに分けて見ていきましょう。

ステップ1: 調査範囲を決める

いきなり商標の検索をするのではなく、実は、まず調査範囲を決める必要があります。

では調査範囲とは何でしょうか?

調査範囲

ここでいう調査範囲とは、大きく次の2つの要素に分かれます。

検索する商標の称呼

後で出てきますが、商標を検索するときには、商標の称呼(読み方)で検索をしていきます。つまり、どのような称呼で検索をするかで調査結果が変わります

そのため、調査したい商標から検索すべき称呼を正しく決めることが大切です。

商品・サービスの範囲

もし調査をして先に似た商標を取られていることがわかっても、実は、その商標について指定されている商品・サービスの範囲が全く別分野であれば、基本的に問題になりません。

そのため、自分に関係のある商品・サービスの範囲に限定して調査をすることで、調査効率を上げることができます。

ステップ2: 商標に特徴があるか

次に、調査する商標に登録できるだけの特徴(識別力)があるかを調べます。

商標登録するには、似た商標が先に取られていないことだけでなく、その商標に登録できるだけの特徴があることが必要です。

そのため、商標調査では、この特徴があるかどうかについても調べます。

ステップ3: 似た商標がないか調べる

次に、その商標と全く同じ、あるいは似た商標がないかを調べます。このステップが、多くの人がイメージする商標調査の作業ですね。

日本で権利が存続している登録商標の総数は200万件以上(本記事執筆時点において J-PlatPat にて調査した数)ありますから、その膨大な商標の海の中から見つけ出すことになります。

ステップ4: リスクの大きさを判断する

最後に、ここまで調べてわかった事実関係から、調査している商標が登録できそうなのか、あるいは、使用すると商標権侵害となってしまうおそれがあるのかどうか、を判断します。

この判断に基づいて、調査した商標に関わるビジネスをどのように進めていくかを決めていくわけですね。

商標調査の費用

では、商標調査をするには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?

ここでは、自分でやる場合と、弁理士などのプロに依頼する場合とに分けて見ていきましょう。

それぞれメリット・デメリットがあるので、自分に合った方法を選びましょう。

自分で商標調査する場合の費用

自分で商標調査をする場合、基本的には費用はかかりません。無料です。商標調査に使用する基本的なツールは、無料で使える次の2つだからです。

  1. J-PlatPat(特許庁の検索サイト)
  2. Google 等の検索エンジン

一部、高度な検索をするためには、プロ向けの有料検索ツールを使わなければできないこともありますが、使いこなすには専門知識が必要なので、通常は自分で調査するときにここまでやることはないでしょう。

その代わり、自分の時間は必要になります。

知識や慣れの程度、どこまで調査するかにもよりますが、簡易検索するだけでなく上で紹介したステップ1~4までやろうとすれば、長ければ何時間もかかることもあるでしょう。

プロでもものによっては半日くらい必要なときもあるほどです。

プロに商標調査を依頼する場合の費用

弁理士などのプロに商標調査を依頼する場合の費用は、依頼する相手によってさまざまです。

上で見てきたように、商標調査は大きな手間と専門知識、経験が必要になる仕事(特に第三者のために調査するときには。)なので、基本的には有料で、費用のレンジは数万円~数十万円になることが多いです。また、費用は調査範囲(上記「ステップ1:調査範囲」参照)によって変動することが多いです。

一部、商標調査を簡略化したり、特別なビジネスモデルを組んでいるところは、無料の場合もあります。もっとも、本来は有料に値する仕事なので、無料にしているところであっても、他の部分で費用を回収して成立していると考えておいた方がいいでしょう。

このように、プロに依頼する場合は費用がかかることが多いですが、その代わりに次のようなメリットがあります。

  1. 自分の時間を節約できる
  2. 調査と判断の精度が高い
  3. 調査報告書にまとめてくれる

商標調査の方法

それでは、上記の商標調査の各ステップは、具体的にどのような方法で進めていくのでしょうか?

調査範囲を決める方法

検索する商標の称呼を決める

文字商標について似た商標がすでに取られていないか調べるときは、調査したい商標の称呼(読み方)で検索をかけます。

ではどうやって称呼を決めるのでしょうか?

自分の商標の称呼は当然知っているのだから、簡単なことに思うかもしれません。でも実は、自分が思っている称呼でだけ検索するのでは足りない、あるいは間違っている場合があります。

なぜなら、商標について特許庁や裁判所で争われる場合、そこで認定される商標の称呼は、自分(商標を使う人)が思っている称呼ではないからです。そうではなく、その商標を市場で見る消費者(専門的には「需要者」といいます)が自然にどのように読むのかを基準にして決まります。

そのため、商標調査をする際は、いったん自分が思っている称呼の先入観を捨て、何も知らない消費者になったつもりでどう読めるのか?を考えなければなりません。

また、もし何パターンかの称呼が自然に思い浮かぶなと感じた場合は、その全てのパターンの称呼で似た商標がないか調べる必要が出てきます。

たとえば、「ReCL」という架空の商標を調査する場合、あなたはこの商標を「レクル」と読ませて使うつもりであっても、一度立ち止まって、知らない人は何と読むだろう?と考えます。

もしかすると、「リクル」「レ(リ)シーエル」などとも読まれるかもしれません。

だとしたら、「レクル」「リクル」「レシーエル」「リシーエル」のすべてのパターンで調査することになります。

商品・サービスの範囲

調査範囲とする商品・サービスの範囲は、調査する商標を実際に使用する商品・サービスに合わせるのが基本です。

たとえば、その商標をTシャツの商品名に使用するのであれば、商品「Tシャツ」の範囲で調査すればいいことになります。

あるいは、その商標を、Tシャツの商品名に使うだけでなく、その商標を使ってファッションショーも開催する可能性があるとしたら、商品「Tシャツ」とサービス(役務)「ファッションショーの企画・運営又は開催」の範囲で調査すればいいことになります。

ただし、実際に J-PlatPat(特許庁の検索サイト)で商標を検索するときに商品・サービスの範囲を絞り込むためには、上記のように調査対象として特定した商品・サービスを、類似群コードという形に変換する必要があります。

類似群コードとは、各商品・サービスについて特許庁が付与する検索用ラベルのようなもので、たとえば 17A01 とか 41F06 のように数字とアルファベットからなる5ケタの文字列からなっています。

この類似群コードは、J-PlatPat で調べることができます。

 

メニューから「商標 → 商品・役務名検索」と進むと、「Tシャツ」のような商品・サービス名から類似群コードを検索することができます。

 

このように、調査範囲としたい商品・サービスに対応する類似群コードを調べて控えておき、J-PlatPat で商標検索をするときに検索条件として使用することができます。

商標に特徴があるか調べる方法

調査範囲が決まったら、まずは、その商標に登録できるだけの特徴(識別力)があるかを調べます。

特徴があるとはどういう意味でしょうか?

簡単に言うと、ありふれた商標ではないという意味だと考えていただければかなり近いです。

つまり、その商標がありふれたものでないかどうかを調べればいいわけですから、Google検索 のようなインターネット検索エンジンで調べるのが一般的です。

具体的には、たとえば「リモート会議ツール」という商標が「PC用ソフトウェア」について登録できるだけの特徴があるか?を調べるとしましょう。

ひとまず、「リモート会議ツール」という言葉をGoogle検索 にかけてみましょう。

おや?

「Web会議システム」という言葉がメインで出てきてしまいました。

だいたい似たような意味ではありますが、これだと「リモート会議ツール」という言葉そのものがありふれているかどうかはわかりにくいですね。

このように、Google検索 は賢いので、近い言葉の検索結果も拾ってきてしまうことがあります。普段の検索ならありがたいですが、今回はちょっと不便です。

そういうときは、完全一致検索を使いましょう。検索窓にダブルクォーテーション(”)で囲ったキーワードを入れて検索すれば、完全一致検索ができます。

今度はきちんと「リモート会議ツール」ドンピシャの検索結果が出ましたね!

ここでは誌面の都合上、ごく一部の検索結果しか示せませんが、検索結果を見てみると、「リモート会議ツール」という言葉は、リモート会議(遠隔で行うWeb会議)を行うために使うコンピュータソフトウェア」程の意味合いで、かなり一般的に使用されているようです。

(まぁこれは調べなくてもわかるよ…と思うかもしれませんが、先入観を捨てて、必ず調べてみることが大切です)

このように、その商標が、自分が登録したい(商標権を取りたい)商品・サービスについてありふれて使用されている場合には、その商品・サービスとの関係では特徴がない可能性が高いことになります。

ただし、特徴がない可能性が高いのは、あくまでも「コンピュータソフトウェア」との関係での話です。

もし「リモート会議ツール」の商標を「りんご」の商品名として登録したいとしたら、「リモート会議ツール」の言葉が「りんご」についてありふれて使用されているかを調べるべきことになり、おそらくありふれていないでしょう。だとしたら、商品「りんご」については「リモート会議ツール」の商標は特徴があるということになります。

このように、特徴があるかどうかは、商標だけで決まるのではなく、それを使用する商品・サービスとの関係で決まるので、この点は注意が必要です。

似た商標がないか調べる方法

続いて、似た商標がないかを調べます。正確には、調査する商標と同一又は類似の商標が特許庁に先に出願・登録されていないかを調べます。

調査に用いるツールは、ここまで何度も出てきている J-PlatPat(特許庁の検索サイト)です。

商標の検索方法は、当メディアのこちらの記事が詳しいので、こちらをご参照ください。

この記事で解説されている称呼検索の際、類似群コードを検索条件に加えることにより、最初に決めた調査範囲に絞り込んで検索結果を見ることができます。

絞り込まないと見切れないほど大量の商標がヒットすることもあるので、これで調査効率を上げることができますね。

(もっとも、調査範囲決めを間違えると大事な商標が除外されることになるので、調査範囲決めが重要なことがおわかりいただけるかと思います)

リスクの大きさを判断する方法

ここまで調べてきたのは、その商標がどのくらい市場でありふれているかや、近しい商標の有無など、その商標を使用したり登録したりする際の商標法的リスクを判断するための事実関係(ファクト)に過ぎません。

商標調査はこのリスクの大きさを判断することが目的ですから、事実関係を調べるだけではなく、それに基づいてリスクの大きさを判断しないといけません。

この判断は、商標法の知識はもちろん、特許庁の商標審査基準を深く理解したり、特許庁や裁判所の過去の判断例を調べたりしながら専門性をフル動員して行います。また、自分の判断に自信を持つためには、実際の審査や係争などの経験値も必要になってきます。

そのため、そのノウハウはとてもここでは書き切ることはできません。そうすると、誰が見ても結果が明らかなもの以外は、この部分はプロでないとなかなか難しいと言えるでしょう。

商標調査の落とし穴

最後に、商標調査をするときにハマりやすい落とし穴について見ていきましょう。

調査範囲を間違える

不慣れな人が商標調査をしようとするときにやってしまいがちなのは、調査範囲を間違えることです。

ここではその代表例を紹介します。

商標の称呼は1つじゃない!?

先にも少し触れましたが、1つの商標について似た商標がないか調べるとき、検索すべき称呼は必ずしも1つではありません

その理由は、商標について特許庁や裁判所で争われる場合、そこで認定される商標の称呼は、自分(商標を使う人)が思っている称呼ではなく、その商標を市場で見る消費者(需要者)が自然にどのように読むのかを基準にして決まり、もし何パターンかの称呼が自然に思い浮かぶといえる場合は、その全てのパターンの称呼がその商標から生じ得るものと認定されてしまうからでした。

たとえば、「SULクリーム」という商標を調査する場合、たとえ自分はこの商標を「スルクリーム」と読ませて使うつもりでも、それを知らない消費者の中には「エスユーエルクリーム」と読む人もいるかもしれません。

このような場合には、「スルクリーム」と「エスユーエルクリーム」の2つの称呼で検索をする必要があるのです。

そのため、少し特殊な読ませ方をする商標日本人がすんなり読めるとは限らない商標の場合、特に注意が必要です。

検索すべき称呼を間違ってしまったら、その後の調査結果や判断もすべて間違ったものとなってしまうからです。

商品・サービスの選び方は常識外れ!?

調査範囲とする商品・サービスを決めるときも、間違いが起こりやすいです。

なぜなら、商標の世界における商品・サービスの表し方(書き方)が、少し一般社会の感覚(一般常識)とズレていることがあるからです。

たとえば、あなたが「各社の化粧品の使用感やレビュー・お得情報などをまとめた、消費者向け化粧品比較サイト」の事業を行い、それに使う商標の調査をしようとする場合を考えてみましょう。

このとき、特許庁が決めている「第35類」というサービス区分の中に「商品の販売に関する情報の提供」というサービスがあります。

この言葉からして、一見、これを調査範囲として選んでしまいそうになるかもしれませんが、実はこのサービスの意味は「商業等に従事する企業に対して,その管理,運営等を援助するための情報を提供するサービス(平たく言えば、toBの商品販売コンサルのようなサービス)」だとされています。

だとすると、あなたが想定している実際のサービスとはズレてしまいますね。

そんなこと「商品の販売に関する情報の提供」という表現の中のどこにも書いてないじゃん!

と思うかもしれませんが(ごもっともです)、このように、商標の世界の商品・サービスの表し方には隠れた意味があるので、ここに引っかかってしまうと、調査範囲を外してしまい、本来見つけなければならない似た商標を見逃してしまうおそれがあります。

商標の「特徴」は奥が深い

また、商標の特徴(識別力)の調査も気をつけなければなりません。

商標はシンプルすぎてもダメ⁉︎

商標は、その商品・サービスについてありふれていると特徴がない、また、ありふれているかを調べるためにインターネット検索をしましょう、と説明しましたが、インターネット検索だけでは不十分な場合があります。

なぜなら、特許庁の商標審査基準上で、原則としてありふれていて特徴がないとみなします、と規定されているものがあるからです。

たとえば、アルファベット1~2文字や数字ありふれた氏(名字)などが、原則として特徴がないものとして扱われています。

そのため、インターネット検索をしてみて「あまり使われてなさそうだな」と思っても、実際には特徴がないと判断されてしまうことがあります。

シンプル過ぎる商標などは、この落とし穴にハマることがあるので、要注意です。

時が変われば「特徴」も変わる⁉︎

また、商標に特徴があるかどうかは時代によって変わる可能性があるという点も落とし穴の1つと言えるでしょう。

その商標がありふれているかどうかは、市場における言葉の使われ方によって変わります。

つまり、3年前はほとんど誰も使っていない言葉だったから特徴があったけど、今はみんなが一般用語のように使っていて特徴がないということが起こるのです。

そのため、過去の特許庁の審査で同じような言葉が商標登録できていることを発見したからといって今も(将来も)商標登録が認められるとは限りませんし、今(調査時点)はほとんど誰も使っていなくてもこれから出願して特許庁の審査を受ける頃には多くの人が使ってしまい特徴がなくなるかもしれません。

このように、商標の特徴は時によって変わる可能性がある、ということを知っておくのとそうでないのでは、違いが出るでしょう。

全然違うのに「似た商標」

調査で見つけた商標が「似た商標」なのかどうか判断するときも、落とし穴があります。

それは、一見全然違うのに「似た商標」になってしまうものがあるということです。

たとえば、「ABC」vs「ABC SPICE」という2つの架空の商標があったとき、これらは一見大きく違いのある商標ですが、もしこれらが「飲食料品」の分野の商標だったら、両者は「似た商標」と判断される場合があります。

これは、「似た商標」かどうかの判断は、常に商標全体同士を比べて行うのではなく、商標中の特徴(識別力)がある部分が似ていてもダメという考え方があるからです。

上の例では、「SPICE」の部分は「香辛料」を意味し、「飲食料品」の分野では特徴がないので、特徴のある「ABC」の部分が似ている(同じだ)から、両商標が「似た商標」と判断される可能性があるのです。

このように、商標全体だけを見ていると落とし穴にハマることがあるので、気をつけたいところです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

商標を決めたら登録しようとするときは、商標調査をして、その商標のリスクを確認することが大切です。

商標調査の方法によって費用も精度もさまざまなので、自分や案件に合った方法を選びましょう。もし自信や時間がないときは、信頼できる弁理士などのプロを頼り、自分は他の業務に集中することもできます。

ビジネスを円滑に進めるために欠かせない商標調査。本記事がその参考になれば幸いです。

商標を、武器にしよう。

 

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特許業務法人 Toreru では、これまで10,000社以上の企業・大学様の商標登録をサポートしてきました。

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