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商標という仕事の「未来」と「希望」~知財テック事務所が語る、IT&AI活用のリアル (Toreru宮崎CEO&土野COO)

一昔前、「弁理士は、AIに代替される確率92%」という調査が話題になりました。

オックスフォード大学と野村総研の共同研究だったそうですが、この調査に対しては日本弁理士会が「算定根拠に具体性がなく、弁理士業務への理解度が低い」と反論しています。

「弁理士はAIに代替される確率92%」に弁理士会が反論!高度な対人スキルの奥深い職業

私も企業内弁理士の1人として、弁理士会の反論に「なるほど」と感じる点が多いですが、一方で「AIに仕事が奪われるかもしれない・・」という漠然とした恐怖も理解できます。

弁理士会のコメントでは、

「『AIをうまく使って補完することで質の高いサービスを提供できる人が生き残る』という時代が来るのかもしれません」

と総括されていましたが、AIをうまく使いこなすとはどういうことか。

知財業界は新技術を取り扱っているのに意外とコンサバで、令和になってもFAXで依頼書をやりとりしている事務所がある・・なんて話も聞きます。

さすがにFAXは絶命危惧種としても、メールで膨大なやり取りを処理していたり、エクセルでポチポチ期限管理、なんてことはまあ「普通」でしょう。私もエクセルで管理リストをいじるたびに思います、「これって、もっと簡単にできないの?」と。

・・株式会社Toreru は、2014年に商標登録クラウドサービスの Toreru.jp を立ち上げ、その後サービスの改善を重ねて、2019年に国内商標の代理件数で日本一になりました。

商標クラウドサービス Toreru が国内商標の代理件数で日本一に!

2020年にはこの Toreru Media を立ち上げ、「知財を身近にするメディア」をコンセプトにさまざまな記事を公開してきましたが、「事務所の提灯記事はダサいよね」との考えのもと、意図的に Toreru 自身の工夫やサービスについては記事化しませんでした。

しかし、 Toreru がトライしてきた「AIやクラウドサービス導入」の取り組みが、他の方の参考になることもあるのではないか。さらに、時々聞く「 Toreru はAIに丸投げしているから低価格でサービスが提供できる」という誤解も、解いておく必要があるのでは。

そこで今回は、インタビュー連載『あしたの知財 特別編』として、Toreru CEOである宮崎弁理士、COOである土野弁理士のお二人にお話を伺います。

宮崎さんはどうして Toreru を立ち上げたのか。そして、土野さんの「IT技術と弁理士知見の融合」へのこだわりとは? 早速スタートです。

宮崎さん&土野さん × ちざたまご(聞き手)

1、どうしてToreruを作ったの?

―本日は二子玉川の「蔦屋家電 シェアラウンジ」に来ています。Toreruのオフィスからもほど近いロケーションですが、めっちゃオシャレですね!

 

宮崎:以前は「Toreru Spece」という共有スペースを執務室の下に借りていたのですが、コロナ禍でオフィスを執務室だけに縮小しました。所員の出所も必要最小限でよいことにしています。

私も在宅で仕事を済ませることが多いのですが、気分転換で二子玉川のシェアラウンジの会員になったら、思った以上に良くてハマってしまい笑。最近はここで仕事することも増えてます!

土野:私も今は Toreru のオフィスにほぼ行ってないですねー。もともと Toreru ではクラウドで仕事が完結する社内システムがあり、Zendeskを導入することで、電話の顧客対応までも、在宅で可能になっています。

 

―ITを生かした Toreru だったから、コロナ禍への対応もスムーズだったんですね。そもそも、宮崎さんが「Toreru」というサービスを立ち上げたのはどういうきっかけだったんでしょうか?

宮崎:自分は父親が弁理士だったのですが、学生時代は全然「知財」に興味はなく、理系の大学を出てトヨタ自動車(株)に就職しました。知財ではなく、品質管理の仕事です。トヨタは素晴らしい会社だったのですが、その分、長く勤めているベテランの方がたくさんいる。見ていて自分の中で、「60歳までこの仕事をするのかな・・」と。

 

―いや、トヨタに入れれば人生ハッピーじゃないですか。

宮崎:何というか、昔から「事業」みたいなのをやりたい子供だったんですよ。ドラゴンクエストⅣの第3章ってわかります?

 

―武器屋トルネコの章ですよね。最初は雇われだけど、自分でお店を作って、最後はトンネル工事をするという・・

宮崎:そう、子供の頃はファミコンで3章ばっかり繰り返し遊んでました。自分のヒーローは勇者よりトルネコ笑。

何かしら事業をやってみたいという思いでトヨタを3年で退職したものの、「何が正解か」なんて全然わからない。とりあえず父がやっている弁理士が独立開業できる「事業者」と知って、弁理士を目指して資格を取りました。食っていく必要もありますからね。

 

―バックグラウンドが理系なら、弁理士としても特許業務が中心になりそうですよね。

宮崎:はい、弁理士になりたてのときは父が経営する大阪の事務所に入って、特許明細書を書いていました。ただ、半年ぐらいたって、競争が激しくなって事務所の仕事が減ったんですよね。そこで、自分も何か考えなきゃいけないなと。色々と思案して、考えついたのが「クラウドで商標が簡単に登録できるサービス」です。

 

―最初から Toreru という名前だったんでしょうか?

宮崎:悩んで100案ぐらい出しましたが、キャッチ―な名前が良いなと。「トレマクル」、「トレマク」なんてアイディアもありましたが、シンプルに「商標が簡単に取れる=Toreru」にしました。この名前にして良かったと思ってます。

 

―しかし、特許系の弁理士なのに、いきなり商標登録のクラウドサービスをスタートするなんて、思い切ってますね!

宮崎:弁理士試験と実務修習で多少は商標業務をやっていましたから、まあ大丈夫かなと。ただ、 Toreru を立ち上げてからのほうが、商標業務の奥深さを感じましたね・・。

また、その時点の自分にとっては「商標を新たにやる」ことより、「煩雑な知財の書類業務を何とかしたい」という問題意識のほうが大きかったです。

例えば、お客さんから「当社の特許権のリストを出してください」とか言われるじゃないですか。もちろんお客さんだから対応するのですが、現在のステータスがどうなっているかやデータベースの内容があっているかなど、1つ1つチェックしなければならない。

しかし、リストを出すことでお客さんからお金は取れないですよね?手間の割にはまったく売上にはなりません。ほかにも郵送、FAX、リマインド・・などなど、「これ、本当に必要?」と思う業務がたくさんありました。

 

―その煩雑さが、「クラウドサービス」だと解決される?

宮崎:大部分は消滅します。そもそもクラウドサービスとは「サービス提供者が用意するアプリケーションなどに、利用者がインターネットを通じてアクセスし、サービス提供を受ける仕組み」ですが、このアプリケーションに依頼案件の一覧機能をつけておけば、いちいちリストを作って出す必要はなくなりますよね。

また、利用者とのやりとりもクラウドサービス内に集約すれば、「1つ1つ個別メールで対応していたら見落とした」なんてことは起こらないですし、事務所内でもクラウドサービスに情報を入力すればいいので、ペーパーレス化が進みます。

 

 

―確かに、クラウドサービスという仲介役を置くだけで、利用者・事務所双方の手間が大きく軽減されますね。

宮崎: Toreru を立ち上げたときに「商標の出願手数料 9,800円」という当時の相場の1/3~1/5の価格設定をしたのですが、クラウドサービスを生かせば「弁理士スキルの本質ではない」業務を大きく減らせるので、その価格でもまあ、やっていける・・かな?と。

 

―あんまり自信なさげな感じですね。成功に確信があったわけではない?

宮崎:そんなの全然なかったです。クラウドで業務削減というコンセプトも「自分が書類づくりが嫌」というだけで、正解かどうかも分からなかった。

コストもかけられないので、自分でプログラミングを勉強し、クラウドサービスの土台を作りました。元トヨタの先輩の弟(現在は Toreru のリードエンジニア)にも手伝ってもらって、何とか形にしましたね。

実は、サービス開始時は調査・出願の受付システムだけあって、中間応答や登録段階のプログラムはまだなかったです。最初に依頼が来てから登録までは時間がかかるので、見た目だけは用意してその間に開発しようと笑。とにかく走りながら作っていきました。

 

一番最初は簡素なhtmlのページでしたが・・

 

ローンチ時にはロゴもできて、現在のデザインに通じる雰囲気になってます。

 

―おお、「安心、カンタン」というキーワードは立ち上げ時からあったのですね。ユーザーの反応はどうだったのでしょうか?

宮崎: Toreru のサービスを開始した週にいきなり最初のお客さんが来て、嬉しかったのですがその後はポツポツで。ただ、1か月ぐらいしてFacebookで紹介してくれた方がいたんですよ。

特に面識がある方ではなく、Facebookのコメントも「すげえ・・!」だけだったんですが、それを見た人々が興味を持ってくれて、採算ラインに乗るようになりました。

2014年当時はリーガルテックという言葉もなく、「クラウドサービス×知財」がとても新鮮な時代でした。さらに、スタートアップや個人事業主、中小企業のお客さんが「商標は大事そうだけど、特許事務所は敷居が高い」と感じていたところに、使いやすいサービスとしてうまく収まったのではと考えています。

 

 

2、東京進出から、日本一になるまで

―サービス立ち上げの3年後、株式会社Toreru と特許業務法人Toreru を設立し、拠点を二子玉川に移します。

宮崎:元々は父親の事務所の1サービスでしたが、自分の力で「起業」したいなと。やっぱりトルネコマインドですよね。ただ、起業に憧れがあってもどうしたらいいのかは良くわからない。とりあえずググったら、Open Network Labというスタートアップ支援のプログラムが出てきて、「ここに参加したら、会社持てるのか・・」と。

実務経験をもとに事業をカイゼン。Onlabを通じて商標登録日本一を成し遂げるまで|Toreru|Road to Success Onlab grads vol.6

とりあえず応募しました。

 

―相変わらず行動力がすごい。

宮崎:ただ、この段階では Toreru が日本一の商標代理サービスになるという確信はなくて、Onlabにも最初、 Toreru じゃない「弁理士と顧客のマッチングサービス」を提案しようとしていたんですよ。

しかし事前調査ではボロボロで・・。じゃあどうしようと、 Toreru の既存ユーザーにアンケートをとってみたら、予想以上に評価が高かった。

「えっ、Toreru ってこんなに人気があったの!?」と。

そこでOnlabでは Toreru のサービスをブラッシュアップし、プレゼンすることにしました。結果、デモデイで最優秀賞を獲得でき、さらにエンジェル投資家の有安伸宏さんに出資頂いています。Onlabがなかったら起業してなかったかもですね。

有安さんに「スタートアップやるなら、やっぱり東京!二子玉川は住みやすいし、事業やるにも良いよ」と言われまして、じゃあ東京行くかーとなりました。

 

―それで二子玉川で起業したんですね。COOである土野さんとの出会いは、東京で?

土野:私は企業知財部を経て、商標にも強い特許事務所で弁理士として勤務していたのですが、趣味でプログラムスクールに通っていたところ、卒業制作で「何かしらアプリを作って公開して」と言われまして。

そこで、商標の指定商品を記録できる、Goods Ideaというアプリを作りました。

 

そうしたら、Twitterで宮崎から「面白いことやってますね、一度お話しませんか」と連絡があり・・。

 

―おお、テック事務所っぽい出会い。

宮崎:商標に関するアプリを自作して公開する弁理士がいるなんて想像してなかったですから、もう「同志」を見つけた気分でしたね!

さらに色々と話をしているうちに、「商標弁理士としての専門的なキャリア・経験があり、ITにも関心が深い土野弁理士の力が Toreru には必要」と感じるようになり、入所を打診しました。

 

―土野さんとしては、すぐに移籍しようと決めたんですか?

土野:いやー、悩みましたね。もともと伝統的なやり方の事務所にいましたから、「IT技術を駆使して、出願9800円で引き受けます」って、本当にクオリティ大丈夫なの?と。

ただ、詳しく話を聞いていくと、全然考え方が違ってまして。

< Toreru 式 商標業務への向き合い方>

① 商標事務所が行っている業務の中身をリストアップし、やるべき仕事を明確化する。

② やるべき仕事のうち、「IT技術により定型化・効率化できる仕事」を抽出、クラウドシステムやAI技術を駆使して、徹底的に効率化する。

③ 残った「人間しかできない仕事・判断」にスタッフは集中し、アウトプットを出す。

―なるほど、これだと逆にクオリティは上がりますよね。

宮崎:自分は「起業家」である以前に「弁理士」ですから、プロフェッショナルな知財サービスであることには常にこだわっています。 Toreru というカンタン・便利なシステムを使うことで、恩恵を受けるのは何もお客さんだけではない。

面倒な書類仕事から解放されることは、弁理士にとっても「本当に人間が判断すべき業務にフォーカスして時間を割ける」メリットがあるんです。

土野:その辺の存在価値を熱く語られて、「じゃあ、自分も一緒にチャレンジします!」と、入所を決意しました。

 

―土野さんが入られて、変わったことはありましたか?

宮崎:商標事務所として提供するプロフェッショナルサービスの質が向上したと感じています。例えば、かつての調査報告書では「登録可能性」を書いて、後はお客さんの判断にゆだねるという方針でしたが、判断に至った理由付けをしっかり書いて、依頼人に示すというの土野がジョインした後に大きく変わった部分です。

2019年に Toreru は国内商標の代理件数で日本一になったのですが、たくさんのお客さんからの依頼を的確かつスピーディーにこなせたのも、土野の知見が大きいと思います。

土野:逆に、 Toreru の効率的なクラウドシステムがなければ、年間約1万件の商標調査をスタッフ5名程度でこなすことは不可能だったでしょう。 Toreru のシステムは外部に公開された部分だけでなく、内部の社内システム部分にその真骨頂があります。

社内システム上で商標調査を進め、どの先行商標を引例にするかや、具体的なコメントをシステム上で入力すると自動的に調査報告書が作成され、クラウド経由でお客さんに提供される。

結局、ワードベースでの調査報告書作りに3時間かかるとして、そのうち2時間以上は、実は「調べた情報の転記」や「書式の整理」だったりするわけです。 Toreru の社内用報告書作成システムを使えば、書類仕事の“創造性がない”部分には時間をかけず、弁理士の力が試される「類否判断」や、「次にどのようなアクションを採ればよいのか」という顧客アドバイスの作成に注力できます。

その結果、 Toreru に移籍して「弁理士が本当にやるべき仕事、お客さんに提供できる価値は何か」と、より深く考えるようになりましたね。

 

―書類仕事が大幅に削減されたからこそ、考える時間も多く取れるようになったと。

土野:ただ、形式的な書類仕事に逃げ込むことができないのは、厳しさでもあると思います。これはToreruの弁理士だけでなく、事務スタッフも同じです。「人間がやる意味」を問われる環境の中で、 Toreru の弁理士・事務スタッフは皆、法的な専門性はもちろん、クライアントとの親身かつわかりやすいコミュニケーションを追求し、実践してくれています。

また、開発メンバーも日々のシステム改善から、新サービスの開発まで幅広く取り組み、ToreruのITを支えてくれています。

このように、人間とITの高度な融合があってこその Toreru といえます。

 

 

3、サービスリニューアル、商標調査を「有料化」したワケ

―2021年9月、 Toreru はサービスをリニューアルしました。私もリリースを見て、第一に「商標調査の有料化」に驚きましたが、これはどんな判断だったのでしょうか。

宮崎:この変更にはめちゃくちゃ悩んだのですが、一言でいえば「商標調査にこそ、弁理士のプロフェッショナルな実力が反映される」ものだと。

これまでの Toreru の商標調査は「出願前提」で申し込んでもらい、2回までは調査無料。登録可能性が高いと出たら、そのまま申し込んでもらう・・というビジネスモデルだったのですが、中には「元々出願の意思はないのでは?」というお客さんもいらっしゃいました。

一方、 Toreru では商標調査に一番といっていいぐらい業務でも力を入れていて、全てのレポートに弁理士が必ず関わります。 Toreru の効率的な社内システムを用いても、マンパワーがかかる部分で、「効率化に限界があり、かつ弁理士のプロフェッショナルな知見が反映されるサービスが無料というのは、バランスが悪くないか?」と感じていました。

 

―無料サービスの調査なら、AIなどを活用して「とりあえず登録できそうかどうか」をざっくりお客さんに出して終わり、という選択肢もありそうですが・・。

土野:出願を受任するにあたり、事前の「商標調査」はめちゃくちゃ大事なんですよ。

Toreru の商標調査では、J-PlatPatをはじめ複数のソースで検索を行うと共に、見つかった先行商標に対して「登録の妨げになるか」過去のデータ・経験を元に1つ1つ評価しています。

さらに、調査を依頼された商標が、他の商標と区別できるかどうかの「識別力」も審査基準に照らして評価します。識別力がない商標は登録できませんからね。

出願しても登録にならない商標 | 経済産業省 特許庁

調査が完了した時には、「この商標を出願したときに特許庁から拒絶理由通知が来るか」、「拒絶理由通知が来たら、どのような反論をすればよいか」、「その反論をすることで、最終的に登録できるか」が全てイメージできています。

逆に言えば、登録に至るまでのイメージができているからこそ、調査依頼者に「出願しましょう」とか、「この商標は登録できる見込みが薄いので、変更の検討をお勧めします」などのアドバイスを責任を持って出来るんです。

宮崎:このようにプロフェッショナルな調査報告書に自信があるからこそ、「 Toreru調査 を有料化しても良いのでは?」と。一般的な特許事務所の商標調査は3万円前後だったので、割高感もないと考えました。

 

―ただ、価格に応じた価値があるかどうかを判断するのはお客さんですよね。

宮崎:おっしゃる通りです。そこで値上げにならないよう、登録手数料を「無料化」しました。もともとは1区分あたり9800円(税込10,780円)だったところ、何区分でも無料としています。

「Toreru調査Ⓡ」は何区分であっても、1調査あたり9800円(税込10,780円)と設定していますので、1区分のお客さんは価格据え置き、多区分のお客さんにとってはむしろ価格引き下げになります。

リニューアルで何が変わるのですか? Toreru FAQ

土野:さらに、「Toreru調査Ⓡ」の調査報告書をグレードアップしました。

<調査報告書 グレードアップのポイント>

  • ① フルカラー化
  • ②『次のアクションのご提案』、『コメント』、『ご質問への回答』欄をリニューアル
  • ③『調査結果の詳細』をさらに充実

①のフルカラー化は言葉通りですね。HTMLベースの報告書になったので、ハイパーリンクで引例にすぐに飛ぶなど、操作性も向上しています。

②のリニューアルですが、実際のサンプルを見てみてください。

 

『次のアクションのご提案』は、調査報告書を見て、お客さんが次に何をすればよいのかを分かりやすくガイドしたものです。

単に「登録可能性 B」だけだと、「じゃあどうすればいいんだよ」となりがちなところ、すぐに出願できるのか、ロゴ化など別態様を考えた方が良いのか、そもそも別のネーミングに切り替えたほうが良いのか・・を具体的にアドバイスしています。

『コメント』は、カバーすべき区分や、次のアクションに関連するアドバイス。区分に関しては今後、どのような商品・サービスに商標を使うか次第ですが、お客さんがその可能性にまだ気が付いていない場合もあるので、過去の経験からも提案もするようにしています。

『ご質問への回答』は、依頼時に寄せられた質問に対し、Q&A形式でお答えしています。

 

―新しい報告書のサンプルを見て、「お客さんとの対話」を意識されているのかなと感じました。

土野:そうですね、お客さんの個別のニーズに対して、的確なアドバイスを提供することは「人力」ならではのサービスです。弁理士のプロフェッショナルな価値は「次のアクションを、責任をもって示す」ことだと考えているので、この3つの欄の内容には特にこだわっています。

最後、③の『調査結果の詳細』ですが、例えば「商標を構成する単語の意味」のようなコーナーを設けています。

 

 

土野:調査では辞書的な意味をまず検討し、識別力の有無の参考にすることが一般的ですが、過去の報告書では省略していました。ただ、「最終結論に至った過程」を1つ1つ見たいお客さんもいますし、しっかりと記載することにしようと。

 

―その下の『特許庁の過去例』もわかりやすいですね。これは、類似商標が商標登録できたかどうか、過去の実績をまとめているんですね。

土野:情報を単に増やしても読み手は逆に混乱させてしまいますから、レポートで見せる情報の整理にはかなり気を使っています。

 

宮崎:見やすさにはこだわっていて、例えば、上の先行商標との比較では「抵触する商品、サービス」は別ボタンで一覧表示するようにしたり、『特許庁の過去例』では、対立した商標をVS形式で分かりやすく見せるようにしています。

お客さんが本当に見たい情報は何か、また、どの順番で情報が出てくるのが理解しやすいのかを何度も議論して、新形式の調査報告書を作り上げました。

今回の大幅なリニューアルはシステム開発側も大変でしたが、優秀なエンジニアたちのおかげで「こだわり」を上手く実現できました。とても感謝しています。

なお、実は以前の Toreru の調査報告書とそっくりな体裁の報告書を他で見かけることがありまして・・。もちろん調査報告の項目が似るのはわかるのですが、体裁も一緒!?って。そこで新形式の調査報告書は秘密意匠も登録しています。

 

―確かにこだわりの塊ですからね。。みなさん、真似しないようにお願いします笑。

土野: Toreru の商標調査が有料化したことで、出願前提ではないお客さんでも調査を依頼いただけるようになりました。 Toreru調査Ⓡ はクラウドをはじめとしたIT技術と、弁理士のプロフェッショナルな知見が融合した、業界でもハイレベルなものと自負しています。

多くの知財部の方にも利用いただいているので、是非一度トライしてみてください!

 

Toreru 商標登録 | カンタン、安心に商標登録

  

4、これからの Toreru はどこに向かう?

― Toreru のこれまで、2021年9月のサービスリニューアルについてお聞きしてきましたが、「これから」はどんなプランがあるのでしょうか。

宮崎:まず、新サービスとして「自分でAI調査™」を準備しています。これはToreruのAIシステムを使って、似たような商標があるかどうかの簡易検索や、商標に識別力があるかどうかのカンタンなチェックが可能です。弁理士のチェックは入りませんから、AIの回答が妥当かどうかの確認はできませんが、「とにかく無料で調査したい」という方には一定の参考になると思います。

さらには、専門家の「出願サポートなし」での出願サービスもあります。これは Toreru のシステム上で商標出願のための願書を作成し、利用者がウェブから申し込むだけで Toreru が代理し、出願が完了するという方法です。弁理士によるアドバイス・代理はありませんが、その分、利用料は完全無料。特許庁に印紙代だけ払えば商標を登録できます。

 

―ちょっと待ってください、先ほどまでは熱く、人力とITを融合させた「Toreru調査Ⓡ」を推していましたよね。「自分でAI調査™」や「出願サポートなし出願」って、矛盾してません?

宮崎:それには Toreru の理念を理解してもらう必要がありますね。

Toreru が掲げるミッションは“知財の価値の最大化”。より具体的にいうと、「知財が多く創出され、知財が効率的に還元されるサイクルを生むことで、産業の発展に寄与する」ことが目標です。

これまで我々はいろいろなお客さんを見てきました。プロフェッショナルなスキルに期待するお客さん、安心感が大事なお客さん、とにかく安さを追求したいお客さん、両方バランスよく!というお客さん・・。ただ、どのお客さんも「商標に興味を持ってくれている」ことは同じです。

であれば、全てのお客さんにチョイスを提供したい。弁理士によるプロフェッショナルなサービスの価値を訴求しつつも、コスト的にまず自分でやってみたいお客さんを切り捨てることはしないという考えです。

土野:実は、特許庁の拒絶理由通知でもっとも多いのは「書式不備」による拒絶なんです。弁理士による代理出願で「書式不備」はまずないと思いますので、多分その多くは弁理士以外の方の「自己出願」なのかなと。

Toreru のシステムを使った「出願サポートなし出願」であれば、少なくとも書式不備はありませんから、本来なくて済んだはずの拒絶理由通知を世の中から減らす効果はあるのではと考えています。

 

―「自分でAI調査™」をしてから、「出願サポートあり出願」を依頼するとか、「出願サポートなし出願」をしたあと、拒絶理由通知が来てから「サポート“あり”」に切り替えることは可能なんでしょうか?

土野:すいません、途中の切り替えは今のところNGにしています。

理由としては、「Toreru調査Ⓡ」では登録可能性の細かい検討や、拒絶理由通知がきたときのシミュレーションをしっかりと行っているので、お客さんにも「出願する・しない」の具体的なアドバイスを提供できるのですが、「自分でAI調査™」だとその工程が入らない。

責任を持ったプロフェッショナルサービスを提供するために、まず「Toreru調査Ⓡ」を依頼いただき、最初から出願も依頼頂くことを「出願サポート」を行う条件としています。

  

―なるほど、特に拒絶理由通知が来てからの中途受任だと、コンフリクトの問題とかもありますからね・・。

宮崎:無料のAI調査は「手軽さ」はあるものの、やはり弁理士というプロフェッショナルが介在することでしか生まれない「正確さ」と「安心」はありますので、クオリティに自信ありの「Toreru調査Ⓡ」を、是非一度使ってみてほしいですね。

9月にはホームページもリニューアルし、そこでは「クライアントストーリー」も詳しく掲載していますので、参考になれば頂ければ嬉しいです。

Toreru クライアントストーリー(導入事例)

―最後に、宮崎さん・土野さんの今後の「野望」を教えて頂ければと思います!

宮崎:現在は「商標サービス」に特化していますが、 Toreru の理念は“知財の価値の最大化”なので、 Toreru の「IT技術による効率化と、弁理士のプロフェッショナルスキルの融合」を、特許・意匠といった知財分野にも拡張していくことを考えたいです。

また、最終的に「知財が活用されることで、世の中が良くなる」流れをいかに作れるか。そのためには権利の形成だけでなく、『知財の活用』も積極的に考える必要がある。

Toreru Media でアパレル、ゲーム、お酒などさまざまな分野の知財記事を掲載しているのも、知財活用を考える一環です。ゲストライターの方にも積極的に寄稿頂いていますが、知財活用は「1つの正解」があるものではないので、皆で考えていきたいですね!

ToreruMedia ゲスト投稿記事まとめ

土野:私はブランド・マネージャー認定協会トレーナーの資格を持っていて、Twitterでも「ブランド弁理士」と名乗っているのですが、商標などの知的財産を単に取るだけでなく、「ブランディング」にどう活用していくかに関心があります。

2021年は Toreru Media でブランディング記事を何本か執筆したのですが、単に商標出願のサービスを提供するだけでなく、商標の「活用方法」までアドバイスできるようになれば、素晴らしいなと。それこそ、AIができないサービスだと思うのですよね。

Toreru のバリューの1つとして「強みをつくる」という言葉がありますが、知財が「自分の強み」として実感されるような世の中に、少しでも貢献していければと考えています!

<土野さん執筆記事>
そもそも “何を” 商標登録すべきなの? ~ブランディング起点の商標戦略~

なぜ、ブランディング(ブランド)に商標登録が必要なのか深掘りしてみる

 

― Toreru サービスの誕生からリニューアル、今後の野望まで色々とお話をお聞きしました。弁理士のプロフェッショナルなサービスがAIやIT技術に代替されるものでないこと、また、知財の取得を手軽にするだけでなく、「活用」のあり方もさらに提案していきたいとのお話、心に残りました。

宮崎さん、土野さん、ありがとうございました!

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☆Toreruサービスリニューアルの概要(2021年9月):Toreru 商標登録®︎ がリニューアル、より内容が充実した Toreru 調査® を開始

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