ブランディングの意味と方法をあしたのジョーに学べ!あしたのために…

「ブランディング」とは一体何なのか・・?ビジネスを行う上で「ブランディング」が大事であることは何となく理解できるものの、どうやって進めればいいのでしょうか。

Web や書籍等で調べてみると、ブランディングの目的として「らしさ」や「差異化」といったキーワードを目にします。しかし世の中の成功事例を眺めてみても、自社とは離れた何処か遠い世界のお話だと感じることもあるでしょう。例えば自社が BtoB ビジネスを手掛ける場合において、業界特性や顧客ターゲットが異なるお菓子のブランディング事例からは、参考になる情報があまり得られないかもしれません。

しかし、「らしさ」や「差異化」を目指すためのブランディングには、何か共通の大事な要素があるのではないか?そしてそれは、ビジネスとは少し離れた異分野からも学べることがきっとあるはずだ!

との考えに基づき、本記事を書きました。

テーマは、国民的スポ根漫画である「あしたのジョー」です。荒くれ者であった矢吹 丈とその永遠の好敵手である力石 徹からは、ブランディングについての多くの示唆が得られます。漫画のストーリーについても最低限の説明を盛り込みました。本作品を読んだことが無い方も、是非お楽しみください。

記事の末尾には、個人的に最も好きなシーンを紹介しました。それはバンタム級における力石とジョーの一戦でも、ジョーと紀ちゃんのデートシーンでも、有名な「ジョーが真っ白になる」場面でもありません。是非こちらだけでもご覧ください。

では、時系列に沿ってジョーの成長を追いながらブランディングの意味を考えるとともに、1つのゴールである「 ”らしさ” の醸成」へのステップを刻んでいきましょう。

!「あしたのジョー」のネタバレが盛大に含まれます!
もし作品の内容を知らずに、これから「あしたのジョー」をワクワクしながら読む/観ることをお望みの方は、少なくともコミック第8巻までを読了の上で本記事をご覧ください。アニメの場合は「あしたのジョー 第51話(全79話)」までです。

「あしたのために あしたのジョー!展」世田谷文学館 にて2021年2月撮影

【本記事における登場人物】

  • 矢吹 丈(以下、ジョー):詐欺や傷害事件を起こして入った少年院にて力石と出合い、ボクシングの世界へとのめり込む。
  • 力石 徹(以下、力石):プロボクサー。ジョーより身体が一回り大きい。上記写真の最も左のパネルにおける白い人物。
  • 丹下 段平:元ボクサー。ドヤ街で出会ったジョーの身体能力に惚れて、ジョーをボクシングの世界へと誘う。少年院に収容されているジョーを通信教育すべく、「あしたのために(その1)」と書かれた葉書をジョーへ送付する。上記写真の左から3番目のパネルにおける左の人物。
  • 青山:少年院に収容されている少年。気弱でいじめられていたが、ジョーと力石に憧れてボクシングを始める。

ブランディングの意味と方法を教えてくれるのは、丹下段平が語る「あしたのために」です。作中では全部で7つありますが、どれもブランディングに相通じるところがありました。「本当?」と思われたそこのあなた。あしたのジョーのストーリーを追いながら、確認していきましょう。

1.ブランディングの意味①「己を知る」(その1=ジャブ=)

〜あらすじ〜

  • 少年院にいるジョーのもとに「あしたのために(その1)=ジャブ=」と書かれた葉書が届く。これはジョーのボクシングセンスに心酔している丹下段平が送った物。初めは興味を示さなかったものの、独房にて実践するジョー。荒くれ者で少年院へ流れ着いた少年は、己のジャブパンチによる聞きなれない空気音に興奮しながら、ボクシングの世界へとのめり込んでいくのであった。

コミック1巻 P172 より

「ジャブ」は日常会話においても用いられるように、「自分以外の対象に対してちょっとした刺激を与えて、その反応を伺うこと」です。ブランディングを行うにあたり、自分は何者であるか?自社製品は何が売りなのか?自社は一体何がしたいのか?などを明確にする必要があります。その第一歩として「ジャブ」を有効活用しましょう。

何故「ジャブ」が己を知ることに繋がるのか?

それは仏教における「諸法無我」という考え方にヒントがあります。「世のあらゆること(諸法)は、単独では存在し得ない(無我)」という意味です。世界は互いに欠如を満たしあっており、雄しべと雌しべは、虫や風という仲立ちによって初めて実や種が出来るのです。(参考「生命は 吉野弘詩集」吉野弘 著, リベラル社)

雄しべと雌しべは、それ単体では何も出来ない

これはつまり、自分はその他の存在によって「生かされている」ということ。孤高と思われる存在であっても、それは見えない網目の一部です。己を知るためには、ジョーの様に色々な方向へジャブを打つ必要があります。そして周りの網目の反応を確認しつつ、自分自身や自社について見つめなおしていきましょう。そう、ブランディングは自身の「内側」からスタートするものなのです。(関連記事:インナー “からの” ブランディングを実践したら、幸せと売上が両立した話 ~ブランディング事例~

2.ブランディングの意味②「パーパス」(その2=右ストレート=)

~あらすじ~

  • ジャブを習得したジョーの前に、少年院にて郵便係を務める力石が現れる。ジョーを挑発しつつ投げ渡したものは、「あしたのために(その2)=右ストレート=」と書かれた、丹下段平からの葉書であった。

コミック2巻 P100 より

右利きのボクサーによる右ストレートは、丹下段平曰く「一発で KO をうむ必殺パンチ」です。つまり、ビジネスや日常において頼りにすべき「核」となるもの。これはブランディングの文脈においては、所謂「パーパス(Why)」が該当します。

「パーパス(Why)」とは、自社や商品/サービスの存在意義のこと。何をやるか?ではなく、「何故それをやるのか?」というものです。

パーパスの例として、日本環境設計(株)が手掛けるアパレルブランド「BRING」を紹介します。「BRING」は、「服から服をつくる」をキャッチコピーとした、循環型社会を実現するためのブランドです。

BRING 公式HP より

単なるリサイクルでしょ?と思うのは早計。ケミカルリサイクル技術に基づき2007年に創業したベンチャー企業である同社がこのビジネスモデルを構築するためには、消費者も含めた多くの人の心を揺さぶるものが必要でした。それが「衣服等の再資源化を通じて環境型社会を実現する」というパーパスです。

パーパスモデルでみる環境への取り組み4事例」(きびゆりえ氏 note 記事)より

サーキュラー・エコノミーの重要性や SDGs が認知されてきた昨今において、このパーパスは多くの人が同意するのではないでしょうか。何より「衣服を提供するだけで社会的活動の一員になれる」という、環境意識や利他性の高い消費者の琴線に触れる仕組みが秀逸です。(参考:「日本初の画期的なビジネスデザイン」であるとして、2020年度グッドデザイン金賞を受賞:グッドデザイン賞 HP

ある目標に対して「どうやって(How)」「何を(What)」やるか?を考えることは勿論大切。しかし、そもそも「何故(Why)」それに取り組むのか?という点が最も重要となります。How や What はあくまで手段であり、中心として存在する Why が目的であるためです。

「ゴールデンサークル」概略図
(参考:優れたリーダーはどうやって行動を促すか -TED)

ブランディングの効果として「人(顧客)を惹き付けること」を期待するのであれば、ジャブの次は「自社や商品/サービスの存在意義=パーパス(Why)」の検討を進めましょう。確固たるパーパスは他者との協働や顧客の共感獲得にあたって有利に働くだけでなく、様々な場面における判断基準となります。つまり、”らしさ” を目指してブランディングを行うにあたり「核」となるもの。ジャブによって自身を見つめなおし、右ストレートとしての「パーパス(Why)」を磨いていきましょう。

なお、企業経営という観点においても、「パーパス」は不可欠な存在となりつつあります。

事業ポートフォリオ戦略において、パーパスは「あればベター」ではなく、「なくてはならないマスト」になりつつある。

BCG 次の10年で勝つ経営 企業のパーパス(存在意義)に立ち還る(ボストン コンサルティング グループ 編著, 日本経済新聞出版, 2020.8)P257

3.ブランディングの意味③「タイミング」(その3=クロスカウンター=)

~あらすじ~

  • 力石とリング上で初めての決闘を行うこととなったジョー。体格やテクニックにおいてジョーより優れている力石に勝つためには、相手の勢いをも活用した一撃必殺である「クロスカウンター」しかない…!その一縷の望みにかけたジョーは、何度倒されても立ち上がる。そして「1分で片付ける」と試合前に宣言した力石に焦りが生じたことにより、ジョーのクロスカウンターが炸裂。見事なダブル KO 劇となった。その後、観戦していた少年達が二人の死闘に感化され、少年院は、ボクシングというスポーツによる爽やかな熱狂で包まれる…。

コミック3巻 P128 より

クロスカウンターは相手のパンチを利用したパンチであり、非常に高度な技です。つまり自己の動きだけでは成り立たず、成功には「タイミング」が重要な要素となります。

ブランディングにおいても「タイミング」は密接に関わります。その1(ジャブ:自分を知る)やその2(右ストレート:パーパス)を習得したとしても、価値を提供したい相手に刺さるものでなければ、ブランディングは成功とは言えないでしょう。

仮にどんなに高尚で社会の役に立つ(可能性のある)商品/サービスであっても、時代背景によって市場の反応は変わります。 Before コロナの時代において超絶画期的なマスクを開発したとしても、一般社会における大きな反響はそこまで期待できないでしょう。また、例えばコンビニや自動販売機でのお白湯の販売を流行らせるためには、白湯の美味しさや飲むことのメリットを顧客へ直接アピールするだけでは弱く、「ダイエットや健康のためには白湯を毎朝飲むべき!白湯を飲む人はなんかイケてる!」といった、文化や習慣の醸成がカギとなります。それは自社単独で設計できる範囲を超え、「タイミング」も重要となります。

何度も倒されながらも、来るべき「タイミング」を待ちましょう。そしてその「タイミング」は、無暗に待つ訳ではありません。ある程度予測することも出来ます。ジョーが何度もリングに沈められながらも希望を持って立ち上がることが出来たのは、「試合開始から1分以上経過すれば、(大口を叩いた)力石が焦り、チャンスが訪れるはず。」という期待があったためです。

信頼に足る情報や推測に基づき、自分なりの確からしい「タイミング」を計っていきましょう。

4.ブランディングの意味④「商標登録」(その4=手首の強化=)

~あらすじ~

  • 「クロスカウンター」にて力石とダブル KO に持ち込んだものの、圧倒的な力の差を感じたジョー。力石との再戦までにより強くなるべく「あしたのために(その4)」の教えを丹下段平に乞うものの、それは既にジョーが実践していた。次の力石との決戦に向けて、自ずと「手首の強化」を始めていたのだ。日中の芋掘り作業や畑の耕しなど、ジョーはあらゆることをボクシングに繋げて手首を強化していた。これにより、一発一発のパンチの威力を増すことが期待できるのだ。

コミック3巻 P191 より

「あらゆることをボクシングに繋げて手首を強化」や、手首の強化により「一発一発のパンチの威力を増す」という点から、ブランディングへの示唆が得られます。

ここで「ブランディング」の定義について考えてみましょう。色々な考え方がありますが、ここでは以下の定義を採用します。

企業自身や商品・サービスの独自の魅力を、届けたい相手に知覚してもらい、その魅力が無意識レベルでイメージされる状態にする。そのために継続的に行う活動。

なぜ、ブランディング(ブランド)に商標登録が必要なのか深掘りしてみる(Toreru Media)

つまり「ブランディング」を行うためには、企業自身や商品・サービスの魅力について、顧客に知覚してもらう必要があります。そしてビジネスが続く限り、継続性も求められます。

これらをふまえると、どの様な点が「手首の強化」と密接に関わるでしょうか?

….そう、商標です。商標とは商品・サービスを表す名前やロゴのことであり、受け手側がその商品・サービスを知覚するときの「窓口」の役目を果たすものです。

例えば TOTO は、「便器きれい」という名前にて商標権を取得しています。商品が提供する機能的価値を示す名前として分かりやすいですね。技術力も含めた TOTO ”らしさ” をうまく表現するとともに、その「窓口」を商標権にてうまく保護している事例と言えます。

”デザイン経営”企業 TOTO の知財ミックス事例 -デザイナーも特許出願?- より

商標を登録することで、他社によるタダ乗りやそれに伴う信用の毀損を防止することが可能であり、ビジネスの継続性が守られます。つまり商標登録は、ボクシングの「手首の強化」のような基礎力強化の効果があるのです。(関連記事:商標登録とは?商標のプロがわかりやすく解説!

商標登録を受けて他社による似た名前やロゴについての使用を防ぐことで、ブランディングを通じて築き上げていく ”らしさ” を守っていきましょう。

5.ブランディングの意味⑤「ブランド拡張」(その5=フットワーク=)

~あらすじ~

  • 丹下段平から手ほどきを受けた青山との一戦。それまでの猪突猛進なプレイでは青山に勝てないと悟ったジョーは、見様見真似でフットワークを使い始める。習っていないことを実践の中で自ら編み出すジョーは、丹下段平が見定めたとおりのセンスを持っていたのだ。

コミック4巻 P165 より

”らしさ” を求めるには「一貫性」が必要となります。しかし、状況に応じて「フットワーク」が求められる場面もあるでしょう。例えば親ブランドを起点として他の商品カテゴリへとフットワーク軽く「ブランド拡張」することによって、市場や顧客層の拡大が期待できます。

身近な成功例は「カルピス」です。もともとの乳酸菌飲料から、アイス・キャンディ・サプリメントと異なるカテゴリーへの展開に成功しました。その他「いかめし阿部商店」においては、「素朴さ」という一貫したアイデンティティに基づき、駅弁 → コロッケ・おかきへとブランドを拡張しています。(関連記事:駅弁王!いかめし阿部商店が愛されるワケ~一貫性あるブランド拡張の例~

6.ブランディングの意味⑥「一貫性を保つ / バイアスを避ける」(その6=スウェーバック=)

~あらすじ~

  • 青山との一戦を通じ、フットワークだけでなく、上体を反らして相手の攻撃を避ける「スウェーバック」も自然と習得。 防御技術を得たジョーを相手に青山は為すすべを失い、勝負があった。

コミック4巻 P179 より

一貫性を保つ(ブランドイメージと異なる多角化はNG)

「一貫性」を保つためには、らしくないものは排除する必要もあります。例えば昨今においてはオープンイノベーション(OI)やデジタルトランスフォーメーション(DX)が目的の様になっている印象を受ける場面が増えていますが、それらは目的ではなく手段です。

自社のパーパスや信念に背いたり、それまで大事にしていたものと相反する考えなどは、なるべく避けなくてはなりません。他社と関わる OI においては尚更気を付けるべき点でしょう。

各種誘惑やバズワードを「スウェーバック」で避ける

バイアスを避ける(一歩引いた客観性を持つ)

また、つい囚われてしまう『3つのバイアス』にも注意しましょう。①と③のバイアスは相反するものであることからも分かるように、状況に応じてこれらのバランスが求められます。

『3つのバイアス』(参考:ブランド戦略論 -田中洋 著, P311-312)

  1. 「前任者の否定バイアス」:新しい担当者・マネージャーが自らの独自性や手腕を見せるために、前任者とは異なる新しさを打ち出してしまいがちなバイアス。
  2. 「顧客の飽きバイアス」:担当者は常に自社ブランドと向き合っているため、「顧客ももうブランドに飽きているのではないか?」と思ってしまいがちなバイアス。
  3. 「変化への恐怖バイアス」:「前任者の否定バイアス」と真逆。ある強力なブランドの場合、新しい担当者がそれを変化させることを恐れてしまうバイアス。

上記2点に注意しつつ、必要に応じて「スウェーバック」を活用していきましょう。

余談ですが、ジョーが青山との一戦にて「フットワーク」「スウェーバック」を習得後に、それらは「あしたのために(その5,その6)」であった旨を丹下段平から打ち明けられます。

~あらすじ~

  • 「あしたのために(その5,その6)」については、青山との一戦における試行錯誤の中で習得。これは丹下段平の目論見通りであり、一戦後に、その旨をジョーや青山に対して謝罪とともに打ち明けるのであった。攻撃が最大の防御であるという思想のジョーに対して防御技術を教えるために、丹下段平は青山を ”かませ犬” として利用していたのだ。

コミック4巻 P194 より

「あしたのために」は、残すところあと1つ。最後の1つは、自社や商品・サービスに限らず、自己のブランディングにおいても大事な「孤独」に関するものです。

7.ブランディングの意味⑦「”らしさ” の醸成」(その7=孤独との戦い=)

~あらすじ~

  • そして丹下段平は、青山との一戦を通じて、あしたのために(その7)として「孤独との戦い」をもジョーに対して伝えようとしていた。ボクシングには孤独が付き物なのである。

コミック4巻 P198 より

ブランディングのステップが進むことで差異化が実現されると、そこには「孤独」があります。”らしさ” を得るためには、孤独は付き物です。他の存在と差異がある証と捉えて、孤独に打ち勝ちましょう。その際、右ストレートである「パーパス(Why)」が拠り所となります。

ところで、ブランディングの方法について学ぶことができる対象はジョーだけではありません。力石も、孤独に打ち勝つための明確かつ強烈な「パーパス(Why)」を持っていたのです。最後に、この男の生き様からも学びを得ましょう。

8.力石がバンタム級に拘る意味と、追い求めた ”らしさ” 

~あらすじ~

  • ジョーとの決着がつかぬまま少年院を出所した力石。以前の様にプロボクサーとして輝かしい成績を上げつつも、その闘志はジョーに向かっていた。そして出所後にプロボクサーとなったジョーとプロのリングで再戦を果たすべく、力石は非人道的な「減量」を実施する。体格が一回り小さいジョーと対戦するためには、他に方法が無かったのだ。

コミック7巻 P164 より

出所後の力石はフェザー級(体重:57.15 kg 以下)にて実績を重ね、もう少しでタイトル戦も見えてくる活躍をしていました。しかし、ジョーが属するバンタム級(体重:53.52 kg 以下)へ転身すべく、無茶な減量に取り組むのです。力石は「富と名誉をこの両手ににぎって 世界のボクシング界に力石徹の名をとどろかせたい!」(コミック7巻 P163)とも言っているものの、とにかく、少年院での決闘にて引き分けてしまったジョーを倒すことが、生きる上での「パーパス(Why)」となっています。

渇きの極限状態まで減量を行った力石は、葉子が身を案じて用意したお白湯をも捨ててしまう。
コミック8巻 P59 より

一体何故なのでしょう?個人的には、そのパーパスは理解し難いものです。しかし理解は出来なくとも共感することはでき、応援したい気持ちが芽生えてきます。人は自分が理解できない対象に対して一定の崇拝を感じるものなのかもしれません。

そして力石は見事に減量を成功させ、バンタム級にてジョーとの一戦を実現させます。

孤独に勝って減量に成功した力石。第6Rにジョーからダウンを奪われた後、ジョーの ”専売特許” である「ノーガード戦法」を繰り出す。オーラがすごい。
「あしたのために あしたのジョー!展」世田谷文学館 にて2021年2月撮影

この一戦の詳細については割愛します。とにかく力石は減量という孤独に勝ちました。ジョーを倒すというパーパスも達成しました。しかし、この激戦の直後に亡くなりました。

死んでしまったら何も残らない。しかし人はいずれ必ず死ぬもの。思い切った行動や選択をしないまま人生を過ごすのではなく、短くも自責で生き抜いた力石。なかなか真似できないその生き様に憧れを抱く人が多いことでしょう。その後は現実世界において葬式が開かれるなど、ファンにとって力石は唯一無二の存在となっています。

「あしたのために あしたのジョー!展」世田谷文学館 にて2021年2月撮影

死に至った力石程の拘りは無くても大丈夫です。しかし彼の生き様を知るだけでも、必ずやブランディングの一助になるはず。ビジネスや自己の人生においてもパーパスを持ち続けることによって孤独を乗り越え、是非 ”らしさ” を醸成していきましょう。

まとめ:あしたのために…ブランディング意味①~⑦

あしたのために(その1~7)とブランディングの意味①~⑦のまとめは以下の通りです。

まずは諸法無我を意識しつつ「① 己を知る」から始め、「⑦ ”らしさ” の醸成」へと向かいます。そしてビジネスとして継続していくためには、顧客の存在を意識することも勿論重要。「③ タイミング」を計りながら、独自の提供価値を顧客体験へとどう落とし込むか?も常に検討していきましょう。

パーパスは、顧客・社会に対する企業の独自の提供価値を結晶化するが、パーパスで定義したことを、顧客が求める体験に落とし込む発想がブランドともいえる。

BCG 次の10年で勝つ経営 企業のパーパス(存在意義)に立ち還る(ボストン コンサルティング グループ 編著, 日本経済新聞出版, 2020.8)P259

さいごに:ジョーと力石が共通して持っていたものと、「ブランディング」の新たな意味とは

以上、高校生の時に熱心に読んだ本作品の懐かしさに包まれながら、ブランディングについて考えてみました。ジョーと力石の生き様から、何か参考になることがあれば幸いです。

荒くれ者のジョーに対し、理知的なボクサーであった力石。その2人が共通して持っていたものは何だったのか?改めて考えてみると、それは「自分に正直に生きる」ということ。理解していてもなかなか貫くことが出来ない考え方です。しかし正直に生きないことは、死ぬ瞬間に後悔してしまうことの1つとして「死ぬ瞬間の5つの後悔」(ブロニー・ウェア著, 新潮社)に挙げられています。

正直さは、ブレの小さい「一貫性」や、”らしさ” を醸し出すことにも繋がります。生きる上で&ビジネスを進める上で、大事な姿勢なのではないでしょうか。そう考えると、「ブランディング=正直に生きること」という意味が生まれてきます。つまり、なるべく後悔をしないで死ぬために必要な行為の1つが「ブランディング」なのです。

実際のビジネスや人間関係等を考えると、どれも綺麗事です。しかしそれは、死んだことがないのでそう感じるだけかもしれません。すこし、頭の片隅に置いておきたいものです。

最後に、個人的に最も気に入っている場面を紹介します。

コミック3巻 P156 より

上述の「あしたのために(その3)」である「クロスカウンター」によってダブル KO となった後、リング近くの大樹の下で両者が横たわっているシーンです。意識を失って運ばれてきたものの、いつの間にか2人は目を覚ましています。

この一コマから感じられるものは「闇」と「光」。それまで少年院で蔓延っていたイジメ等の「闇」から、両者の死闘に感化された少年達がスポーツに目覚めるという「光」への変化が描かれているためです。盛り上がりの声を聴きながら横たわる2人は達成感に満ち溢れているようにも見え、その澄んだ瞳は、後のストーリーの面白さを確信させてくれるものでした。

実に秀逸な一コマです。

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