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あしたの知財 Vol.02   個人発明家も企業と渡り合える?「アイディア」を「商品」にする方法、掘り下げます!(発明ラボックス 松本 奈緒美さん)

自分がひらめいた発明で一攫千金!
誰もが一度は夢見るストーリーではないでしょうか。

ただ、現実には個人発明家のアイディアに対し、多くの企業は冷淡です。

素人のアイディアなんて、対応が面倒なだけだし、中身も大したことない・・・

突然舞い込む個人の売り込みレターに対し、顔をしかめつつ、お断りの手紙を書いた知財部スタッフの方も多いはず。トラブルを避けるために、「門前払い」の定型文が作成してあり、提案書を見ないで突き返す企業も、まあ『普通』です。

しかし、そんなに個人発明家のアイディアは「使えない」ものなのでしょうか?B to Cの大企業は熱心にユーザー調査を行い、マーケティングや商品開発の参考にしています。

熱心なユーザーによるアイディアにはキラリと光るものがあり、その中には未来のヒット商品も混ざっているはず。

 

個人発明家と企業は、いわば「身分の違い」に阻まれ、フェアな関係が作れていない。そのせいで優れたアイディアが闇に葬られているなら、もったいない話です。

そこで今回は、個人発明家でありながら複数の企業に企画持ち込みを成功され、発明家支援の会社も経営されている(株)発明ラボックス  松本奈緒美社長にお話を伺いました。

本記事では、発明家ー企業間のギャップと、それを乗り越えて「アイディア」を「商品化」まで持っていく方法を、掘り下げていきます。
 

松本奈緒美さんプロフィール

 ※ より詳しくは(株)発明ラボックスホームページよりこちら

松本奈緒美×ちざたまご
 松本さん & ちざたまご(弁理士・インタビュアー)

私たちの “思いつき” も、未来のヒット商品になるのでしょうか?早速スタートです。

1、1日1億円の夢!「発明家」に私はなる

―松本さんは、社長であると共に、自分は「発明主婦」だとプロフィールに書かれていますが、どのようにして発明家になったのでしょうか。

松本さん:最初に世に出た商品は『おそうじペン先すーぴぃ』ですね。

自分は家事が嫌いで、手伝ってくれない夫とも毎日ケンカをしていたんです。特に嫌いだったのが拭き掃除で、「何でこんなこと、毎日やらなければならないの?」と。

掃除機をかけているのに、拭き掃除は別に必要っていうのも、不合理の極みだなと。

 

―まあ、掃除はめんどくさいですよね。

松本さん:そこで思いついたのが、「拭き掃除用のノズルを作って、掃除機の先に合体させたら、掃除が1回で終わるんじゃない?」というアイディア。要はラクしたい、ものぐさが動機だったんです。

そこで早速、厚紙などの資材を100円ショップで買ってきて、試作を始めました。

実際にやってみると難しかったのが、掃除機のパイプに固定させる方法と、ゴミを拭き取るクリーナー部分と厚紙をどう合体させるか。自宅の掃除機にピッタリ合うように何パターンも折り目を変えたり、買ってきたおそうじクロスを土台の厚紙に縫い付けてみたりと、数十パターン作った末、ようやく自分的に満足できるものが出来ました。

 

『おそうじペン先すーぴぃ』試作品

 ―すごい年期が入った手作りの試作品ですね。でも、掃除グッズは消耗品でしょうから、1つ1つ手作りしても、商売にはならないのでは?

松本さん:はい、そこで企業へ『持ち込み』するぞと。「使い捨て」であることは逆にビジネスではメリットになり、量産できたらめちゃくちゃ儲かると夢が膨みました。

「日本人は1億人以上いて、掃除はみんな必要なんだから、日本中から1日1円集める=1日1億円」という皮算用。もう、「お金に埋もれちゃう!」って。

 

―1日1億ですか!実現したら、年収365億円。カルロスゴーンが約19億の年収だったから20倍近い。

松本さん:今考えると頭がお花畑ですよね(笑)。当時は世の中を知らなかったので、根拠もなく妄信してました。でも、あの頃が一番楽しいんですけどね。

でも、色々と本を読んで勉強してみたところ、個人発明家がいきなり企業に企画を持ち込んでも相手にされず、下手したらアイディアだけ取られちゃう。なので、まずは特許だと。

 

―個人で特許を取ろうとすれば、弁理士に明細書作成の依頼をし、出願してもらうために30万円前後はかかりますよね。

松本さん:そんなお金はないと思い、自分で特許明細書を書いて出願しました。しかし書き方が全然分からないので、「あ~、これだとヤバいんじゃないかな」と思いつつ・・・「まあ、出願してあれば、ええんちゃう!」と自分を騙しながら。

無理やりの特許出願も終わったので、アイディアを発明提案書にまとめ、掃除機や周辺機器を取り扱っているメーカーの住所を片っ端からリストアップして、一気に70社に発送したんです。東芝、パナソニック、三洋電機・・・

 

―突き進んでますね!メーカーとしては、ぶっちゃけ恐怖ですよ。個人から一方的に届く、発明提案書。

松本さん:当時は、メーカー側の心理は全く分からない笑。70社に郵送したあと、自分の気持ちは毎日バラ色です。「いつ、返事が来るのか?」とか、「たくさんオファーが来ちゃったら、どうしよう」とか。しかし結果は全てお断りで・・・。これが実物のレターで、全部取ってあります。

発明提案書に対する実際の返信レター

 ―すごい量・・・まあ、普通は断りますよね。。

 

2、「持ち込みお断り」からの大逆転

―しかし70社全滅。就活なら心が折れそうです。自分なら諦めそうですが。

松本さん:私も当時どん底の気分で、毎日泣いて食欲もなくなりました。ただ、ある時、気を取り直して手紙をちゃんと読んだら、断り方にも2パターンあったんですよ。

多くは、「特許庁にて権利登録された特許等のみ検討します」などと書かれた門前払い系だったんですが、何枚か「商品化に不適当と思われる理由」を具体的に書いてくれている手紙がある。

つまり、「不適当なポイント」を改善できれば、商品化のチャンスがある。

 

―気持ちの切り替えがすごい。

松本さん:諦めたらそこで終わりですし、自分の体験を通し、このアイディアには「絶対にニーズがある」という信念、もはや信仰があったのかもしれません。

中でも、アズマ工業さんからのお断りの手紙では、「使い捨ては市場ニーズに合わない」、「掃除機のパイプ形状・径はバラバラのため、全てに固定できる必要がある」という2つの具体的な指摘があり、その改善にターゲットを絞りました。

 

掃除機用ハンディクリーナーの提案に対する返信
 

材質をPPシートに変えて洗って使えるようにし、ジョイント部も面ファスナーで固定するように改良したサンプルを作って、再度連絡したところ、アズマ工業さんから「まあ、それなら検討してみましょうか」という返信がありました。

 

―逆転しましたね!そこから、とんとん拍子に商品化されたんでしょうか?

松本さん:いえ、全然スムーズにいかず、さらに3年かかってます。

この後にネックだったのが、どうやって『量産』するか。特に、クリーナー部分の素材、そして接着方法が問題になりました。

縫い付ける方法や、テープで固定する方法など、色々と提案してみたんですが、「量産には適さない」と全部却下されてしまい・・。メーカー側からは、「設備投資せず、そのまま使える方法じゃないと採用できないなー」と。

 

掃除機用ハンディクリーナーの試作品

このころは、提案してはボツの繰り返しで、ほぼ棚上げ状態でした。

 

―なかなか厳しいですね・・。どうやって、商品化を勝ち取った?

松本さん:アズマ工業さんは「お掃除用品・クリーニングサービス」の専門会社なのですが、どのような商品を出されているのか、自分は全然分かっていなかった。実際に展示会へ行ってみようと。

アズマ工業さんのブースを訪れたところ、『おそうじミトン』という商品が展示されており、クリーナー部分に良い感じのボア素材が使われていました。

その場にいらっしゃったスタッフの方とご挨拶したところ、何とアズマ工業の副社長で、「この素材、私の発明にも使えるんじゃないですか?」と提案したら、「うん、やってみましょう」と・・。それで、1発で解決したんです。

 

―おお、ブレークスルー。

松本さん:また、その頃に「なかなか商品化が実現しないんだよ~」とあちこちでボヤきまくっていたら、『ザ・特許ハンター/あなたも億万長者』というTV番組プロデューサーの耳に入り、試作品を携えて番組に出演することになったんです。

そこでこのアイディアが投票1位になったので、アズマ工業さんとしても「一丁、売ってみるか!」という空気になりました。最終的に、『おそうじペン先すーぴぃ』という名前で世に出たのですが、トータル5年かかってます。

 

おそうじペン先すーぴぃ

  おそうじペン先すーぴぃ 発明ラボックスページより

 

―まさに、執念・・!ぶっちゃけ、最終的にはいくら儲かったのでしょうか?

松本さん:まず、契約金が20万円。あとは売れた数に応じてロイヤリティが入る契約でしたが、トータル14万個が売れたおかげで、数百万円の収入でした。

「1日1億円」の夢はあえなく消えましたが、発明って面白いなと。時間はかかりましたが、自分のアイディアが商品として世の中に出るって、めちゃくちゃ感動するんですよ。

『おそうじペン先すーぴぃ』の成功でTVや雑誌にも取り上げてもらい、「もう1品2品と行けるんじゃない?」と調子に乗って、2010年に会社を作るんです。

 

3、挫折から「発明支援会社」としての再出発

―会社を立ち上げ、その後は順風満帆だったんでしょうか?

松本さん:正直、最初はうまく行きませんでした。

発明家個人としては、『耳あてマフラー』、『おそうじシュシュ』といったヒット商品を世に出すことができたのですが、企業として見るとそれだけでは売上があがらず・・。一緒に会社をやろうと言ってくれた人も、資本金を引き上げ、出ていってしまいました。

会社としての目標が定まっていなかったからだと反省し、今後どうすべきかと改めて考え直したときに、「個人発明家を、本気で支援する会社」にできないかと。

自分は5年かかって最初の発明を商品化することができましたが、それも運よく、展示会で量産化できる方法を見つけられたからです。メーカーの門前払いで涙を呑んだり、良い量産方法を見つけられず困っている個人発明家も多いはず。

一方、アズマ工業の方々とお話をしていく中で、メーカー側の立場も分かってきました。「アイディア1発の企画を持ってこられても、どう対応してよいか困るな」とか、「個人といちいち交渉しているとキリがないし、トラブルも怖い」とか。

メーカーと仕事を重ねて行くうちに、個人発明家のエージェントみたいな組織を目指したらどうだろうか?と思い始めておりました。

 

―メーカーも良いアイディアに飢えてはいますが、外部からの持ち込みには身構えちゃいますよね。個人発明家と、メーカーが上手く付き合うコツはあるのでしょうか。

松本さん:そもそも個人である一発明家が、組織化されて資本力もある企業と対等にやり取りするのは困難です。ただ、両者のギャップを埋めるツールを持つことは可能で、売り込みを成功させるためには以下3点がポイントです。

 

個人発明家のための売り込みポイント

 

―大事なところなので、くわしく教えてください。1つ目の「知的財産権」とは、やはり特許権でしょうか?先ほど、ご自身で出願したという話もありましたが・・・。

松本さん:あれは、本当に失敗でした。出願後、大丈夫かなと思い直して弁理士に相談したら、「これはひどい出願内容だから、とても特許にはならないよ」と。

 

―先ほど、「全く自信がないが、とりあえず書いて出した」と言われてましたからね。どうやって権利化したんでしょうか?

松本さん:国内優先権の制度を使いました。先の特許出願から1年以内に、国内優先を主張した新たな出願をすれば、先の特許出願の日を基準に「新規性」の判断をしてもらえる制度です。

おかげで、私がやった「70社へのアイディア郵送」があった後でも、無事特許を取ることができました。後の出願書類は全部弁理士に書いてもらってます。

1年以内に対応してなければ、国内優先権は使えず、特許が取れずにライセンス契約もメーカーと結べなかったと思うと、ゾッとしますね・・。なので、他の発明家の方にも「特許の自己出願は絶対ダメ。弁理士に相談しましょう」と伝えています。

そもそも、特許さえ取っておけばOKと考えている方も多いのですが、特許権はその中身、つまり「自分のアイディアが、具体的にどの範囲で権利化されているか」が重要です。素人が書いた特許書類では権利の範囲がとても狭く、構造や素材を少し変えただけで特許を回避できてしまう。

出願費用を惜しんで自分で特許出願をし、メーカーに売り込んだものの、簡単に特許回避をされて似た商品を出される。結局ライセンス料は1円も入らなかったという個人発明家を、何人も見てきましたので、今では「本気で商品化を成功させたければ、絶対にプロの弁理士に頼むべき」という考えです。

 

―特許を取っておけば、メーカーと渡り合えるのでしょうか?

松本さん:最近は特許だけでは足りず、さらに「商標」も大事だなと。それも、商品化をしてくれるメーカーに商標出願をお任せするのではなく、発明家が自分でネーミングを決め、あらかじめ商標登録してしまう。

 

―商標をあらかじめ個人発明家が押さえるのは、ちょっと不思議な気がします。ネーミングは、販売元になるメーカーが決めるものかと・・。

松本さん:これは2番目の「セルフブランディング」と関係します。実例でお話ししましょう。

 

発明ラボックスで開発を支援した「アルクトモ」

こちらは発明ラボックスで開発を支援した、『アルクトモ』という商品です。杖用のショルダーベルトなのですが、脳梗塞で生死をさまよい、一時は半身が動かなくなった遠藤さんが、ご自身でリハビリを行うために発明した品です。

このベルトがあれば、「杖を落としたらもう動けない」不安がなくなり、思い切って行動できる。杖から手を一時放して手すりも使えるので、行動範囲が大きく広がります。

必要な方にとっては、ニーズが非常に高いプロダクトなのですが、単に「杖用ショルダーベルト」と言われて、具体的に内容がイメージできるでしょうか。

 

―うーん、正直、言葉だけではどんな商品かピンと来ませんね。

松本さん:発明ラボックスでは、遠藤さんの「杖用ショルダーベルト」というアイディアを出発点に、体から外れにくいようスライダーの機構を工夫し、毎日の使用に耐える丈夫な素材も見つけて、実用性が高い商品として完成させました。

 

「アルクトモ」アイデア

ただ、このようなユーザーに向けた工夫も「杖用ショルダーベルト」という説明的な名称だけではまったく伝わらないですよね。

そこで商品開発と共に取り組んだのが、ブランド化です。『アルクトモ』というネーミングには「歩く友」という相棒のイメージを込め、ロゴには杖のデザインを取り入れました。

 

「アルクトモ」ロゴ

この商品では、特許・意匠・商標権をトリプル出願して、模倣対策にも力を入れました。構造自体は単純なので、粗悪な模倣品が出かねないと考えたからです。

 

―徹底していますね。『アルクトモ』の完成後、どのように販売したのでしょうか?

松本さん:ターゲットが限られている商品なので、いきなりメーカーへ企画持ち込みは難しいだろうと。そこで、クラウドファンディングの『Makuake』を利用し、商品ストーリーを訴求しつつ、最初の生産品を買いたい方を募集しました。

Makuake|歩く安心を届けたい「杖用ショルダーベルトARUKUTOMO(アルクトモ)」|マクアケ

サポーターは43名でしたが、実際に販売実績を作れたことは大きく、ブランドの価値を認めて頂いた医療品の専業メーカーと販売契約を結ぶことができました。今では介護系商品を扱うお店や、Amazon、Yahoo!ショップなどの大手ネット通販で購入することも可能になっています。

テイコクファルマケア 杖用ショルダーベルト ARUKUTOMO/アルクトモ ステッキ ストラップ ベルト ベージュ

―発明するだけで終わらず、ブランディングまでも発明者が自分で仕掛けて、商品の価値を上げることができる時代になっているんですね。

 

4、企業の「門前払い」を避けるため

―3つ目の売り込みポイントは「試作品」でしたが、発明ラボックスでは、どのようにして個人発明家のアイディアを試作品に落とし込んでいるんでしょうか?

松本さん:個人発明家の多くは「自分のアイディアに対する思い」は強くとも、実際に試作品を作った経験がないので、アイディアを具体化する力が不足しています。

しかし、本音でメーカーが求めているのは、単なる「アイディア」ではなく、「そのまま量産できる完成品」なんですよ。そこに大きなギャップがあります。最近、発明ラボックスで受けた個人発明家の方からの持ち込みなんですが、イラストを見てください。

 

個人発明家からの持ち込み提案例
 

―これは・・なかなか刺激的な絵ですね。これだけがメーカーに発明提案書として送られてきたら、門前払いは間違いなしです。

松本さん:定年退職してから卓球を趣味で始めた方が発案者なのですが、腰痛で床に落ちた卓球ボールを拾うのが辛く、「卓球ラケットに取り付け、簡単にボールを拾える着脱式のピッカーがあれば・・」とアイディアを思いついたそうです。

このイラストで卓球メーカーに持ち込んでみたものの一笑に付され、「くやしい!何とかならないか」と発明ラボックスに相談を頂きました。

 

―ここからどうやって試作へ具体化していくのでしょうか。

松本さん:私自身、試作が大好きなのですが、「若い人の発想も取り入れたい」と考え、大学でデザインを学んでいる学生を長期インターンとして迎え、協力してもらっています。この商品の試作を担当している、斉藤君にも来てもらいましょう。

 

卓球 斉藤さん

 

―斉藤さん、よろしくお願い致します。これがボールピッカーの試作品なんですね。発明者のアイディア通り、うまくボールが収まっているように見えますが、苦労はあったのでしょうか。

斉藤さん:元のイラストでは、足3本でボールを保持しているように見えますが、どんな素材なのか、足の長さはどれぐらいなのか、そもそも足3本が最適なのか不明でした。

そこで、松本さんにアドバイスをもらいながら、まずはソフトウェアで3D図面を起こし、複数の構造案を作成しています。

 

卓球ボールピッカー構造案

今回の発明品では、単にボールを保持できるだけでは足りず、拾う際にボールが横に逃げないこと、軽い力で拾えることが重要です。松本社長には、「単に試作できるだけでなく、量産を意識しなければダメ。そのためには簡単な構造であることが大切」と日々言われており、その点も心がけました。

試行錯誤した結果、足は4本が良いこと、等間隔での配置ではなく、サイド側に足の感覚を寄せることで玉を掴みやすくなることがわかりました。こんな感じで、球を拾ったあとにしっかり抱え、落ちません。

 

卓球ボールピッカー試作品

―吸い込まれるようにボールが入って行きますね!これは気持ちいいです。斉藤さんは発明ラボックスではどのような業務をされているのですか?

斉藤さん:3D CADにより設計や特許出願用のさまざまな図面を作成したり、実際に工場と打ち合わせをして試作品を作ったりしています。

普段は大学のデザイン学科に通い、単なるプロダクトデザインを超えて、ユーザーの課題自体を解決できる「デザイン思考」を学んでいるのですが、発明ラボックスではアイディアを商品に落とし込む過程を実経験でき、とても刺激を受けています。

トライ&エラーの末、うまく機能する構造が見つかった瞬間は、めちゃくちゃ嬉しいですね!

 

松本さん:斉藤君はセンスが良く、試作でも様々な提案をしてくれるのでとても助かっています。

発明において、良いアイディアを出すのはもちろん大事ですが、それ以上にアイディアをどのように現実の商品・ビジネスに落とし込むのか?」が重要で、カロリーの9割以上はこの部分にかかってきます。

せっかく良いアイディアがあっても現実化できず、途中で諦めてしまう個人発明家の方はたくさんいます。発明ラボックスは「発明家の駆け込み寺」になり、試作から特許出願、メーカーとのライセンス締結まで様々にサポートすることで、世の中にアイディア商品をどんどん提供していきたいです。

 

5、おわりに~「発明」から人生が変わる

―最後に、Toreru Mediaの読者にメッセージをお願いいたします。

松本さん:今の時代、メーカーと契約できなくても自分で商品を作ってオンライン販売するサービスがありますし、個人発明家のチャンスは広がっています。発明ラボックスでもオンラインショップを作り、アイディア商品を自分で売れるようにしています。

 

発明ラボックスマーケット

 発明ラボックスマーケット

発明には色々ありますが、小難しいものばかりじゃないんですよ。アイディアは頭で考えているだけではもったいない。

アイディア発想法から、試作のやり方、知財の活用、提案書の書き方など、私の20年のノウハウを詰め込んだガイドブック『はじめての発明 ~アイディアを商品化して収入を得る方法~』も、8月に発売されました。

「1日1億円の夢」までは無理でも、発明を通して様々な出会いがあり、今まで思いもしなかった豊かな経験ができました。発明の過程は時に苦しいけれども、本当に楽しい。

発明をすることは、人生を変えること。あなたのアイディアもお待ちしています!

 

発明ラボックス 松本奈緒美さん 斉藤さん

 

―個人が自在に知財を活用し、発明品を世の中に送り出せる世界・・・それもまた、「あしたの知財」ですね。私も、発明をしてみたくなりました。

松本さん、斉藤さん、ありがとうございました!

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☆発明ラボックスの公式ページはこちら:https://www.hatsumeilabox.com/

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