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令和のリアル書店はAmazonに潰される?各社の生存戦略を調べてみた(ちざ散歩Vol.03)

リアル書店の閉店が続いています。

象徴的なのが『八重洲ブックセンター』の閉店。23年5月に現地を訪れ、店内を覗いたところ、新刊が山積みだったかつての面影はなく、がらんとした空間になっていました。

閉店は業績不振のせいではなく、再開発のため。2028年に複合施設が完成するので、その中に再出店を予定・・・とのことですが、本屋好きとして素直に寂しいです。

全国のリアル書店は2000年から2020年にかけて、約半分に減少しています。2022年のデータでは11,495店舗。毎年約400店舗ずつ減り続けています。

日本の書店数 | 出版科学研究所オンライン

リアル書店の最大のライバルは、やはりAmazonでしょう。24時間いつでもダウンロードできる電子書籍だけでなく、都心なら紙の本も即日・翌日配達です。

しかもAmazonは書籍だけでなく、何でも揃っています。Amazonの品揃えは数億点。

こんなモンスターに勝てるのか?いや、リアル店舗にはAmazonには出せない魅力があるはずです。減ったとはいえ、まだまだ日本には11000店舗以上の書店があります。それぞれが独自の工夫を凝らし、「セルフブランディング」しながら生き残りにかけているはず。

本記事では本を愛する筆者が、各社の商標も参照しつつ、実店舗を訪れてAmazonに負けないためのリアル書店の工夫を見ていきます。

1.24時間OPEN~『泊まれる本屋』は本屋なのか

Amazonの最大の強みは、やはり24時間いつでもどこでも注文できること。
そこで最初に考えつくリアル書店の対抗策は、営業時間を延ばすことでしょう。

山下書店世田谷店で3月20日から夜間無人営業の実証実験をスタート

リリースでは、「利便性を高めて売上拡大を図る」とのことですが、近くに実店舗がなければなかなか訪問できません。夜中2時に思い立って本屋に走るシチュエーションも考えにくいです。

そこで、さらに発想の転換。夜中2時に本屋に出かけるのが億劫ならば、最初からお客さんに本屋に居てもらえればいいのです。

一休さんのような話ですが、実際にありました、『泊まれる本屋』。


Toreru商標検索より

調べてみたら、東京では新宿 歌舞伎町に店舗があり、泊まらずにデイユースも可能なようです。

BOOK AND BED TOKYOは『泊まれる本屋』がコンセプトのホステルです。最大4000冊収納できる客室を兼ね備えた大きな本棚がシンボル。本に没頭し、ベットで寝落ち。本好きとの出会い。BOOK AND BED ならではの体験をしてみませんか?

BOOK AND BED TOKYO

これはどうなっているか気になりますね。早速、現地に向かってみます。

新しくできた、東急歌舞伎町タワー。多くの人でにぎわっていました。

『泊まれる本屋』はそのお隣のビルにあります。エレベーターで8Fへ。

デイユースはワンドリンク制です。事前予約しておけば空きのベットも利用可能とのこと。受付の際、システムについて聞いてみました。

私:「本は受付に持ってきて買うんですか?」
店員さん:「いや、うちは本は売ってなくて、館内での閲覧だけです」

おお、本を買えるかと思ったら、あくまで宿泊施設なんですね。実は『泊まれる図書館』に近いかも。ただ、『泊まれる図書館』だったら名前のインパクトが弱いので、あえて『泊まれる本屋』と言い切ったことに、マーケティングの妙がありそうです。

ともあれ注文を済ませて、中に入ります。

中はオシャレな作り。本棚にところどころカーテンがかかっている中が「宿泊ベット」になっています。場所柄、外国人の滞在者も多そうです。

やっぱりジャパンコミックといえば『AKIRA』なのか。

GW中に訪れたので、大部分のベットは宿泊者で埋まっている様子。生活感があるのも面白いですね。

カーテンが空いていた無人の部屋。中は快適に過ごせそうです。宿泊利用なら館内の本を持ち込んで、寝落ちも自由にOKってことですね。

さて、せっかくなので本を読みましょう。

どの本にするか悩みます。外国人旅行者を意識してか、英語の本・雑誌も多いですね。

選んだのは、英語版『美味しんぼ』。和の文字がまぶしい。

「この洗いをつくったのは誰だぁっ!」は声を出して読みたい日本語。英語では

Who made this water-chilled SASHIMI?! 

になるようです。良三さん・・・。

ガイドブック『COOL TOKYO GUIDE』も読んでみます。

歌舞伎町の極北、「ロボットレストラン」が!左の「マドハンドカレー」もかわいい。パセラのハニトーはクレイジーだとか書かれてます。

1時間ほどの滞在でしたが、くつろいで本を読むことができました。

カフェは満席でしたが、本が読めるラウンジ内は比較的空いていました。カップルが『鬼滅の刃』を一緒に読んでおり、穴場のデートスポットなのかもしれません。

本が買えない=純粋な本屋とは言えなさそうですが、本を顧客吸引力として生かした、新規カフェ&宿泊ビジネスとしては面白い。

活字離れに対する1つのアンサーにはなりそうです。

2、購入体験で負けるな!~北海道から来た、でっかい書店

「いつでも買える」に並ぶAmazonの強みは、やはり「何でも買える」でしょう。

Amazonは「ASIN」というオリジナルの商品コードを取り扱い商品に付与していますが、毎年、約1000億ものASINが新規出品に割り当てられているそうです。

数年で1000億個?アマゾンの「10桁商品番号」が足りなくなる日は来るか | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

本だけでなく、食品・雑貨・衣服・靴なんでもござれ。やはり取扱点数だけでは、分散する巨大倉庫からガンガン発送できるAmazonにはとてもかないません。

ではリアル書店はどう対抗するか。考えられるのは「セレクトショップ」的なアプローチでしょう。

有名どころではTSUTAYAの『T-SITE』。

T-SITEとは、「本・映画・音楽といったカルチュア・コンテンツを中心に豊かな生活を提案する、ライフスタイル提案型商業施設」とのこと。一号店は代官山で、TSUTAYA創業の地、枚方をはじめ、湘南・柏の葉・広島に店舗があります。
T-SITEについて 

どのT-SITEにも本屋だけでなく、カフェやレストラン、各種専門店も出店し、ゆったり過ごせる複合商業施設であることが特長です。

最初は、代官山のT-SITEに行ってみようかな・・と思っていたのですが、ここで気になる情報が。

北海道民におなじみ「コーチャンフォー」が茨城県つくば市に新店オープン!国内最大級の複合書店として10月20日に開店

Toreru商標検索より

国内最大級の複合書店『コーチャンフォー』って、恥ずかしながら全く知らなかったのですが、調べたら北海道にグループ9店舗、関東は稲毛市とつくば市に2店舗。つくば市に進出してきたのは2022年10月とごく最近です。

しかも面白いのが、商業施設の一店舗としての本屋ではなく、書籍があくまで主軸であること。つくば店では書籍コーナーに売り場面積の半分、約1000坪を割き、在庫も60万冊以上を揃えたそうです。

北海道から関東へ超大型書店を進出・・って、本屋がバタバタ閉店するご時世にどういう勝算なのでしょうか?予定を変更し、茨城県つくば市に向かいます。

Coach&Four Tsukuba

所在地は、つくばエクスプレス研究学園駅から約3キロ。

駅からは結構遠かったです。駅前で借りられるシェアサイクル「つくチャリ」を使うと便利でしょう。コーチャンフォーの前でも返せました。

建物の上には「車輪のモチーフ」がついています。店名の『Coach & Four(コーチャンフォー)』とは「4頭立ての馬車」という意味であり、ビジネスを支える4つの部門(書籍、文房具、音楽・映像、飲食)を表すとのこと。

中に入ると、とにかく広い!超大型書店の呼び名は伊達じゃない。

地図を見ると、書籍コーナーで約半分を占めています。メインディッシュの書籍は後にして、先に他のコーナーを見てみましょう。

文具コーナーには、純文具だけでなく雑貨も目立ちます。

絵本「ねないこだれだ」の靴下など、書店らしい商品もありました。

マルシェコーナーでは北海道物産展をやっています。音楽・映像コーナーも広々とした売り場でした。

さて、肝心の書籍の品ぞろえは?

 

ランキングコーナーにいってみると、何と国内文庫が174位までありました。普通は30位ぐらいまでのところ、確かに充実しています。

さらに品揃えを見るため、専門書コーナーに行ってみます。

普段「法律」や「会社法」コーナーあたりにひっそり置かれている知的財産の書籍も、しっかりと専門コーナーが。郊外の書店とは思えません。

せっかくなので本を買いましょう。気になった1冊、中山信弘先生の『ある知財法学者の軌跡』を選びます。

買った本は館内にあるドトールコーヒーで読めます。Lサイズアップ券もくれました。103坪の面積は2023年5月時点で日本最大のドトールだそうです。

ドリンクを買って一息。

中山信弘先生といえば知的財産法の第一人者。知財業界で知らぬ者なき大学者ですが、恥ずかしながら著作をちゃんと読んだことがありませんでした。ほら、『特許法』も『著作権法』も超分厚いので・・。

ただ、いかにして中山先生が「知的財産法」の世界を切り開いたかには興味がありました。

本書によれば、東大4年生の夏までは弁護士になるつもりであったのが、当時『著作権法』を執筆されていた、故 山本桂一教授のゼミに入り、「大学に残るように」と勧められて学者の道に入られたとのこと。

山本先生は学者になることに反対する中山先生の父にも直接会って、説得されたそうです。

そして知的財産法を専攻にしたのは、山本先生が著作権を研究されていた縁のほか、「人のやっていない分野の研究をし、開拓をしたい」と思ったこと。さらに、「21世紀にかけて情報化時代となり、特許法や著作権法はその重要性を増すと考えた」とのことです。

「偶然花開いて幸運だった」と謙遜されていますが、1969年にこの判断をされたのはすごい・・。

そのほかにも

  • 当時は「無体財産権」と呼ばれた学問分野だったが、水戸黄門の「殿、そんなご無体な!」というセリフのように、世間に良いイメージがなかったので「知的財産権」という名前を普及させるよう奮闘した。
    しかし、ビックデータのような人間の知的活動の成果でないものも知財財産の範疇に入る現在では、再び無体のほうが実体にあっているのかもしれない。
  • 研究者の意義とは「世の中の事象に俯瞰的・統一的な見通しを与えること」。
  • プログラムとは何ぞや、を知るために富士通の教育機関に通いプログラミングを学んだ。その上でプログラムを小説と同一に扱うことに疑問を持ち、特許法のような特別立法で保護すべきと考えて審議会で激論の末、文化庁に嫌われて10年ほど審議会メンバーから干された。
  • コミックマーケットを見学に行ったが、老人は少なく恥ずかしいのでサングラスをかけるなど変装して見に行った。
  • 日本型フェアユースの規定の導入には賛成だが、規定が生きるかは利用者の意識次第である。「行為者が自らフェアと信じる行為を行い、それに異議のある者が現れれば裁判でフェアか否かを争う」、つまりリスクを取る判断が出来なければ、規定を生かせない。

などなど知財視点で興味深い話が満載で、つい読みふけってしまいました。

コーチャンフォーに話を戻すと、巨大店舗ならではの未知の書籍との出会いだけでなく、文具という枠にとどまらない豊富な雑貨コーナー、マルシェ、そしてカフェと魅力が満載でした。

 

まさに「見つける喜び、探す楽しみ」。

売れないから書籍コーナーを縮小するのではなく、むしろ書籍売り場を大きくして店舗の魅力を高め、別商材からもお客さんを絡めとっていく攻めのスタイル。

ぶっちゃけ、今回買った中山先生の本は、Amazonで見かけても購入までは至らなかったでしょう。実際に手に取り「これは面白そうな本だ」と興味を抱く。リアル店舗ならではの、一期一会の出会いです。

ただ、つくば市は研究学園都市。さまざまな本が読まれる文化的な「下地」があったからコーチャンフォーのような書籍に重きを置く大型店舗が進出できたのかもしれません。

コーチャンフォーが本拠北海道からさらに日本各地へ進出していけるのか?興味深いところです。

3.驚きのフュージョン~もはや図書館はライバルじゃない?

ここまで長時間営業・品揃え強化というAmazonに対抗する2つの方向性を見てきましたが、どちらも「決め手」とは言えなさそうです。全ての書店が無くなることはないにせよ、劣勢は免れないのでしょうか。

日本における書店の代表といえば、丸善。創業明治2年と、150年以上の歴史があります。

丸善CHIホールディングス株式会社はジュンク堂ブランドも傘下に収め、国内107店舗と、現在でも最大手の書店グループの1つです。

しかし、老舗チェーンの丸善でも書店業は全然儲かっていません。では何で稼いでいるのか?実は、図書館支援事業が利益の柱になっています。

有価証券報告書 | IR資料室 | IR情報 | 丸善CHIホールディングス株式会社

IR情報によれば、22年2月期の[店舗・ネット販売事業]は、売上高663億1000万円に対し、営業利益はわずか1900万円。

一方、同22年2月期の[図書館サポート事業]は売上高336億8800万円に対し、営業利益は24億2700万円。売上高は[店舗・ネット販売事業]の約半分でも、営業利益は約127倍。

図書館運営を受託した館数も1786館(昨対89館増)と順調に増加しており、将来性もありそうです。

商標を検索しても、しっかりと図書館運営をカバーした登録がありました。

 

『丸善』41類 図書の貸与 (J-PlatPatより)

ただ、「本を図書館で借りればいい=本を買わなくなる」というイメージがあります。あの丸善ですらも、書店事業はオワコンなのでしょうか。

そんな寂しい気持ちを抱いていたら、興味深いリリースを見つけました。

図書館と大型書店を融合した文化・交流施設『OKEGAWA honプラス+』2015年10月オープン

丸善がプロデュースした文化交流施設で、何と図書館と書店がドッキングしているとのこと。

水と油だと思っていた2つの施設、一体どうやって融合させているのでしょうか?こちらも現場に行ってみましょう。

桶川駅に到着、大宮から高崎線で4駅です。きっと小さなローカル駅・・と失礼ながら想像していたのにかかわらず、駅前には立派なタワーマンションが。侮れないぜ、桶川。

そして駅直結の商業施設、『おけがわマイン』へ。この3Fに『OKEGAWA honプラス+』があります。

3Fにあがってすぐに書店。そして右手奥には桶川市中央図書館の入口がありました。図書館の運営も丸善グループが受託しているそうです。

書店に入って驚くことに、中央図書館がガラス窓で覗けます。自習している人も見えて、本当に2つの施設が融合しているのだなあと。

書店の品揃えですが、学習参考書が多めです。一方、図書館内は席数が多く、館内資料のみの閲覧席と、持ち込みOKの学習席に分かれています。学習席では学生たちが熱心に参考書と格闘していました。

図書館内は撮影NGのため、入り口だけ。書店直結のドアがあり、図書館へすぐ入れるのも驚きでした。

図書館内も一回りしましたが、中山先生の『著作権法』が第1版から第3版まで並んでいます。MARUZEN桶川店にはない本で、コーチャンフォーでも最新の第3版しか取り扱っていませんでした。

絶版の本でも図書館なら読める、言われれば当たり前のことですが、書店と併設されたことでその価値に改めて気が付きます。

せっかくなので本を買いましょう。書店に戻り、友人に勧められ、気になっていたタワマン文学『息が詰まるようなこの場所で』を選びます。

息が詰まるようなこの場所での通販/外山 薫 – 小説:honto本の通販ストア

同じフロアにはカフェがあり、そこでゆっくり本を読むことも可能です。

本書は港区タワーマンションの階層ヒエラルキーに翻弄される住民たちの悲喜劇を描いた小説ですが、低層階に住む銀行員の妻が「流山おおたかの森」にある友人宅を訪れ、東京での競争を諦めた郊外の暮らしに想いを馳せつつ、自らの生活の場である港区に帰っていくというシーンがあります。

しかし桶川にもタワマンがある以上、郊外にもやはり高層階と低層階の心のせめぎ合いがあるのではないでしょうか。

中山先生の『ある知財法学者の軌跡』に書かれていた「人は貧しさより、等しからざるを憂う」という言葉も思い出し、なんだかセンチメンタルになりました。

『OKEGAWA honプラス+』に話を戻します。図書館と書店の融合は成功しているのでしょうか?

駅前商業施設で図書館と大型書店を融合、桶川市

こちらの記事によれば、最初はビル管理会社から丸善へ「書店単独での出店」を打診されたものの、採算面から普通の出店は厳しいと判断。

ただ、「4Fに入っていた西口図書館の窓口運営をすでに受託していたこともあり、図書館と連携した施設づくりであれば、事業として実現可能性がある」と考え、丸善側から3Fに図書館と書店を連携した融合施設を作り直す企画を提案したとのこと。

桶川市側も、それまで市内に中央図書館がなく、整備が懸案だったところ「すでにある西口図書館を拡充し、魅力的な施設に生まれ変わらせる」というアイディアはコストも安く渡りに船。議会の同意を経て、実現した企画とのことです。

気になる書店・図書館が併設することのデメリットですが、「図書館にあったから」と返本されたケースは一部あったものの、それ以外は目立ってなし。

逆に、書店には土日の朝一番から学生が来店したり、「図書館になかった」と本を注文するお客さんがいたりと、プラスの要因のほうが多かったと。

面積が2倍になった図書館の来館者も改装前の3倍以上と、Win-Winの施策だったようです。

私が現地に行っても、丸善がプロデュースした『OKEGAWA honプラス+』はオンライン型のAmazonとはまったく異なる魅力的な施設だと感じました。図書館にある本と、書店にある本の品揃えは大きく異なり、2つを同時に行き来できるのは融合方式ならではです。

図書館も書店も揃っているからこの場所に足が向く、ということが間違いなくありそうです。リアル書籍そのものが電子書籍に押される中、2つの施設は水と油ではなく、今こそタッグを組むべき時なのでしょう。

4.終わりに ~書店の消えない存在価値とは?

リアル書店の生き残り術。24時間化、多角化、図書館とのフュージョン、色々と現場をみてきました。

正解は1つではないでしょう。『泊れる本屋』のようにもはや本を売らないこともりっぱなビジネスモデルです。Amazonが拡大し、さらに電子書籍が盛り上がる時代、単に待っているだけではリアル書店が生き残れないことは自明です。

ただ今回、それぞれの施設をめぐり、全て違う工夫がされているのを見て「本屋ってしぶといな」と感じました。

そこで最後に、もう1例をご紹介します。

 

Toreru商標検索より

青山ブックセンターは六本木で創業した書店チェーンでしたが、2004年に経営悪化で店舗が営業中止に。その後、さまざまな企業の支援を得て、2008年からはブックオフグループ傘下となっています。

その後、象徴だった六本木店までも閉店し、今では表参道本店だけが残された、「かつての書店ブランド」と思っていたのですが。

場所は、千葉県柏市の「道の駅 しょうなん」。

道の駅によくある、農産物直売所ですが・・。

醤油やら葉唐辛子やらに混ざって、中にはなぜか「青山ブックセンター 道の駅しょうなん支店」のコーナーが。

青山ブックセンターらしく、なかなかハイブローな書籍も揃っています。

こちらのコーナー、「本がある直売所」というコンセプトで、青山ブックセンター本店の山下店長が選んだ書籍を置いているそうです。

「食」「発酵」「自然」「身体」4つのテーマがあり、売られている食材ともゆるやかにリンクしています。

売上もなかなか好調なようです。

この形は、リアル書店の次世代型なのではないでしょうか。

「日常的な購買行動の中で、その文脈に合った書籍が自然に目に入り、合わせ買いで知的好奇心が満たされる」。

思えば、我々は書店に行かなくなりました。私もかつては毎週のように書店に寄っていましたが、いまは月に1回?いや、数か月に1回になっています。

何故書店に行かないのか。コロナ禍もありますが、「リアル書店で本との出会いを求める」気持ちが薄れているのでしょう。でも、本が嫌いになったわけではないのです。ではどうするか。書店のほうから歩み寄ってもらえると有難い。

ものぐさの極致?でも、本との出会いはいつも偶然です。ふらっと寄った書店で、面白そうな本を買う。今回の“ちざ散歩”でもそうやって本と出会いました。

(賛否両論あるものの)多くの書籍には返本という制度があり、管理できれば在庫リスクは比較的少ない商材です。道の駅に限らず、様々な専門店にもテーマに合った書籍が置かれれば、紙の本との出会いが再び増えるのではと感じます。

それにしても六本木から消滅した青山ブックセンターというブランドが、柏の「道の駅」で新たに輝いていた。

ブランドと書店はしぶとい。その生命力は「人間の知的好奇心」にあるのかもしれません。

 

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