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「知財DX」の上手な進め方は? ~知財テック事務所が語る、実務活用のリアル(弁理士法人IPX 奥村さん)あしたの知財 Vol.14

「知財DX」や「知財テック」、最近よく聞く言葉ですが、具体的なイメージが持ちにくい方も多いはず。

いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、


「企業がデータやデジタル技術を活用することで、業務や組織・プロセス・企業文化・風土を改革し、競争上の優位性を確立すること」と説明されています。

経済産業省:デジタルガバナンス・コード2.0の定義を要約

この説明をベースにすると、知財DXとは知財業務の分野で、上記の「デジタル技術を活用した、業務や組織の改革」を進め、結果的に競争上の優位性を築いていくこと。

知財テックは「知的財産分野に特化したテクノロジー」であり、DXを進めるうえでの道具、つまり「知財DX」と「知財テック」は目的、手段の関係といえるでしょう。

 
<参考記事>

しかし、関係性がわかったとしても、実際に「知財DX」を進めるのはなかなか難しい。事務所やオフィスにはいまだ紙資料があふれていますし、ITツールを導入しようとしたら「今までのやり方でいいじゃん」とか、「使い方がわからないから教えてほしい」なんて混乱が起こることもしばしば。

「知財DX」で競争優位性を確保する!なんていっても、どういう効果が見込めるのかもイメージしにくいですよね。

そこで今回は、2018年の事務所創業時から、自前の「知財実務システム」を所内で開発し、19件の関連特許も出願(2022年12月時点、J-PlatPatより)されている弁理士法人IPXさんにお邪魔し、「知財DX」や「知財テック」の導入・活用についてお話を伺います。

<奥村 光平氏 プロフィール>

弁理士法人IPX 代表弁理士 COO/CTO

大学院で博士号(情報理工学)取得後、知財業界に転身。2つの特許事務所勤務を経て、押谷 昌宗氏と弁理士法人IPXを共同で創業。ロボット制御、画像処理、医療機器などの専門分野で権利化業務に携わる一方、事務所経営者としてメンバーの育成、クオリティコントロールを担当。

プログラミングを趣味とし、弁理士法人IPXの実務支援システムの開発も手掛け、特許取得も多数。

詳細プロフィール:https://ipx.tokyo/member/kohei_okumura/

インタビューを受けていただいた奥村さんの興味深い点は、事務所経営者でありながら、所内の実務支援システムを自ら開発されているところ。時間・労力も相当かかるはずですが、どうしてそこまで取り組んでいるのでしょうか?

また、奥村さんが開発したシステムに、事務所メンバーはぶっちゃけ、乗り切れているのでしょうか?特許事務所での「知財テック」活用のリアルを、Toreru Mediaメンバーで掘り下げます!

 

奥村さん × Toreru Media編集部(宮崎・土野・ちざたまご)

 

1、特許事務所が自分の「特許」を取る理由

―本日は青山にある弁理士法人IPXのオフィスにお邪魔しています。
Toreru でも知財の実務システムは自社開発し、特許出願もしているのですが、IPXさんでも同じように「自社開発・特許出願」しているのが面白いなと思っていて。

 

奥村さん:確かに、IPXでも実務システムの特許は色々と出願してますね。

 

―例えば、どんな特許を取っているんですか?

奥村さん:一番最初に登録になったのが、うちでいう『カラフル明細書®』の特許ですね。

 

特許670994号「情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び書類」

この特許の具体例としては、文書作成ソフトの画面上にカラーパレットがあり、そこから特許請求の範囲の【すみつき括弧】マークで囲われた部分に対し、請求項の数字ごとに異なる色を付ける操作ができます。

 

上の画面キャプチャを見ていただくと、カラーパレットがあって、請求項の数字ごとに違う色がついているのが分かると思います。「請求項に色」というボタンで自動で色が付与されますし、手動でもパレットから色を選択できます。

 

―請求項を読むと、シンプルかつ、強い権利ですね。

奥村さん:結果的に請求項1では広い権利が認められました。ただ、もちろん実際の『カラフル明細書』では請求項のタイトルに色を付けるだけではなくて、より複雑な操作もやっています。

 

 

こういう感じで、請求項ごとに割り振った色を、明細書本文の対応箇所に自動で色塗りします。請求項と明細書の対応関係が一目でわかるようになるので、サポート要件を満たしているかや、記載が十分かどうかのチェックが容易です。

あと、現在IPXで使っているパレットでは色付けだけでなく、「請求項の抽出」や「図説の作成」、「らくらく補正」などさまざまな機能を盛り込んでおり、効率的に明細書作成ができるようにしています。

 

 

―多機能かつコンパクトなパレットですね。これはMicrosoft Wordと連動しているのでしょうか?

奥村さん:はい、WordのVBA(Visual Basic for Applications)で実装しているので連動しています。VBAはWord、Excelなどのアプリケーション内で使用できるプログラミング言語ですが、Officeのアプリケーションがあればそれだけで使用できるのが強みです。

IPXには私ともう1人、プログラムが組めるエンジニアがいるのですが、やはり弁理士でないと明細書作成周りの機能をどう組めばよいかイメージが難しいようで、こういう文書作成支援システムは私が大体作ってます。

 

―ただ、自分でプログラムを組んで、そのシステムに関する特許出願もする・・って時間も労力もかかるじゃないですか。どうしてそこまでするんですか?

奥村さん:うーん、まず第一に効率化のシステムを作るのが楽しいんですよね。プログラム開発は半分趣味としてやっています(笑)。

あとは、文書作成支援システムがあると、まったくの新人でも知財業務に入りやすく、指導もしやすい。例えば、私が所内で明細書をチェックする際には、まず『カラフル明細書』の色を見ます。請求項に割り振られた全部の色がきちんと明細書の本文にも入っているか。

 

―確かに、頭から書面をずらずらと読んでいくより、まず対応関係をチェックするのが効率的ですよね。

奥村さん:次に特許出願している理由ですが、1つは「どの事務所も積極的にやってなかったから」。誰もやっていないことをやるのは面白いなと。

もう1つは、「医者の不養生」というか、特許事務所が「自分は特許のプロフェッショナル」といいつつ、自分で発明もしない、権利化もしないだとお客さんに対して説得力があるのか?という問題意識があります。

自前でプログラム開発をして、それを特許化して登録までもっていく一連の「機能」をIPXでフロー化することで、お客さんと同じ目線に立てるようにするという意図があります。

IPXではベンチャー・中小規模の会社から依頼を受けることが多いですが、打合せ相手に開発寄りの方が多く、我々が「所内でプログラム開発してますよ」とか、「自分で特許出願もしてます」というと、実際に話が盛り上がりますね。

 

―『カラフル明細書』は商標登録もされています。

奥村さん:単に便利な所内ツールとしてだけでなく、事務所のブランディングにも生かしていこうという考えで、2021年に商標出願しました。

 

同時期に『質速両立®』というキーワードも商標出願・登録しており、HPでもアピールしています。

 

「質速両立®システム」の紹介| IPXホームページより

 

手作業では「低速/高品質」か、「高速/低品質」のどちらかに留まるが、さまざまなIT技術を活用すれば限界を突破し、夢の「高速/高品質」が実現できるという発想ですね。

そのための機能の1つが『カラフル明細書』で、お客さんにとっても便利なので特にブランディングとして推しています。『カラフル明細書』以外にも、「スマート辞書登録」や「1Clickで出願用のHTMLファイルを自動生成」などの機能を所内で実装していて、これら機能を利用しない時に比べて、最大2倍の速度で出願書類を作成できるようになっています。

 

―なるほど、Toreruでも「テクノロジーを活用することで、専門家が本来の専門業務に集中できるようにする」をテーマにして、自前のシステムを開発しているのでとても共感します。

奥村さん:システムを組むこと自体には時間と労力がかかっても、事務所のインフラとして活用することで組織全体のパフォーマンスが上がります。また、圧縮した時間を「専門家が本来頭を使うべき、重要な仕事に充てる」ことで、最終的に付加価値は上がっていくと考えています。

 

 

2、ハッタリだった!?自前「期限管理システム」

―IPXのシステムといえば、HPに掲載されていた「最先端の管理システム」も気になっていて。

奥村さん:ああ・・・すいません、これ、ハッタリです。

 

―えっ、どういうことですか?

奥村さん:この図、IPXの創業期に共同創業者の押谷がサラサラと書いてきて、「これ、奥村さんならできるやろ」と。そしてHPに貼っちゃった。

 

―まだシステムとか作ってないのに?

奥村さん:そうなんです。まあ完全な嘘ではなかったんですよ。「通知(チャット、メール、スマートデバイス)」と書いてあるのは、期限が近くなったらメールでリマインドするとか、電子包袋システムもクラウドサーバーにデータ保管していれば「電子包袋システム」と言えなくはない。

 

―それ、普通のデータ管理ですよね(笑)。

奥村さん:良く読むとかなりふわっとしたことが書いてあり、部分部分ではその通りにやっているんだけど、体系化された立派なシステムを1個バンっと入れている訳ではなかった。

そこで、「まあ何か作るかー」と考えて、期限管理システムも内製で作るには作ったのですが・・期限管理って責任がめっちゃ大きいですよね。

 

―委託を受けてやっている以上、絶対にミスれないですから・・・

奥村さん:内製の期限管理システムもしばらくは使ったのですが、100%信じられるか分からないし、結局、外部のシステムを併用することになる。じゃあ二重管理をする必要があるのか?多くの事務所で使っていて専任の開発者がいる外部システムを導入すればいいんじゃない?ということになって、今は期限管理の内製システムは全部止めています。

現在は案件管理に「root ip」を使ってますね。特許庁データとの連携もできますし、外国案件にも対応してますから、使いやすいですよ。

 

知財管理システム | 株式会社 root ipより

 

―内製システムにこだわっているのかと思っていたので、意外でした。

奥村さん:開発自体が目的化するのは意味がないなと。一言に知財テックといっても、「案件管理システム」と「文書作成支援システム」では目的も、カスタマイズの要求度も違います。

「案件管理システム」は既存の良いシステムが販売されているからそれを導入すればよい。一方、「文書作成支援システム」は、当時満足できるシステムがなく、私自身も機能をかゆいところに手が届くように作りこみたかったので、自然に内製という選択になりました。

 

―内製で開発した「文書作成支援システム」について、もう1つぐらい実例を教えてもらえますか?

奥村さん:そうですね。先ほどお見せしたWordの「IPXパレット」にはタブがあって、複数の機能を切りかえられるのですが、タブの3番の中ぐらいに「フランシスボタン」があります。

 

―フランシス・・って人名ですか?

奥村さん:フランシスはIPXに所属しているオーストラリア人のネイティブチェッカーで、彼女に英文メールをチェックしてもらっています。その際、メールの文面をWordファイルにして提出する所内ルールなのですが、「フランシスボタン」を押すと確認用の依頼ドキュメントがすぐできる。

 

―面白いですね、まさに内製ならではのシステムです。

奥村さん:ちょっとしたことですが、英文メールのチェックは日常業務ですから繰り返し発生する。それを「フランシスボタン」で合理化することで時間短縮になるし、コミュニケーションも上手くいく。

IPXの所内では月1回ずつ、事務系と技術系のスタッフミーティングがあるのですが、そこでシステム開発の要望を聞いて、少しずつ実装していっています。機能を追加するとバグが出ることもありますが、ミーティングの報告を聞いてまた直すと。

IPXの創業は2018年でしたが、すでに文書作成支援システムは積み重ねて改良した「秘伝のタレ」的なシステムになっています。

 

3、新人教育には「メソッド」&「知財テック」フル活用!

―さまざまなシステムを上手く知財業務に導入されていますが、気になるのはそれを使うメンバーです。どうしても人によって得意・不得意はありますよね。

奥村さん:IPXでは、採用段階で「知財テック適正」を意識的に見ています。

具体的には「ITリテラシーテスト」というのがあって、入所希望者がこれまで触ったことがない独自ソフトウェアとその操作マニュアルを渡して、実際に作業してもらう。

作業の様子はZOOMで画面共有してもらい、スムーズに操作できているかや、指定通り作業を進められるかを観察します。

 

―そのテストで、差は出るんでしょうか?

奥村さん:出ます。全然できない人もいます。画面を見ていてると「あれ、全然動かないな」とか、「見当はずれな操作しちゃってる・・」とか。

 

―確かにぶっつけで操作してもらったら、学習能力や適性は浮き彫りになりますね。
もし「明細書はすでに書けるけど、ITリテラシーテストは悪い」人と、「明細書は書いたことがないけど、ITリテラシーテストは良好」な人が志望してきたら、どちらを採用します?

奥村さん:もちろん明細書が書ける人は好ましいですが、明細書がめちゃくちゃ書けてもITリテラシーテストの結果が悪い人は採用していないです。

これはIPXへの「カルチャーフィット」の問題もあって、IPXはメンバーみんなが知財テックを活用して、業務を効率化してその分専門家としての付加価値を高めていくという文化があるので、1人だけ全然システムが使えないとか、パソコンの操作がおぼつかないということだとお互いに不幸になっちゃうのですよね。

 

―確かに Toreru でもカルチャーフィットするかどうかは採用時にかなり見ていますね。事務系の採用ではITリテラシーがあるかどうかも確認しています。それこそパソコン教室になっちゃいますから・・。

奥村さん:ITリテラシーテストといっても、プログラミングができるかとか、資格を持っているかなどは全然要求していなくて、要は新しいものをツールとして使いこなせるかどうかなんですよね。逆に明細書を書いたことがなくても、ITリテラシーがあればIPXでは成長します。

 

―未経験者の育成にも、何かIT技術を使っているんですか?

奥村さん:知財塾で明細書作成ゼミのファシリテーターを以前務めていたのですが、ゼミ生を指導する際に「明細書の書き方はメソッド化できるな」と。

特許事務所に入所したら「先輩のお手本を参考に書いてみて」と言われ、見本を読むけど作成プロセスがわからないから、全然書けなくて落ち込むという若手の話を聞きますが、それは不幸だなと思っていて。

 

―確かに最初が一番きついですよね。どう書けば良いか分からない。

奥村さん:そこでIPXでは、未経験の場合は実案件を「写経」してもらいます。ただ、「写経」といっても単に最初から書き写すのではなくて、IPXの明細書作成メソッドに沿ってやってもらう。

ちなみにうちのメソッドは私のNoteでも少し書きましたので、興味がある方は見ていただければ。

明細書の作成メソッドを学ぼう(前編)|奥村光平, DX弁理士®/博士(情報理工学)|note
明細書の作成メソッドを学ぼう(後編)|奥村光平, DX弁理士®/博士(情報理工学)|note

実際の育成プロセスですが、最近は依頼人との面談もZOOMが多いので、実案件の面談動画が結構残っているんですよ。それをまず新入所者に見せて、案件を把握してもらう。

その後、請求項の作成、請求項に沿った明細書の作成に進みますが、このとき自分で1から作文する必要はなくて、すでにある明細書を書き写して良いことにしています。

ただ、IPXのメソッドとして、「請求項ができたあと、IPXパレットのボタンを押せば要約書が自動で作られる」とか、「サポート要件を満たすため明細書に必ず入れるべきテキストが抽出される」といった作業行程があり、それは手順通りやってもらいます。

 

―いわば「ロールプレイング写経」ですね。面談から特許出願書類一式が完成するまでのフローを追体験する。

奥村さん:はい、この追体験を5~10件やってもらうと全くの未経験者でも型が分かってくる。そのあと次のステップとして、お手本なしの実案件にトライしてもらう・・というプロセスです。

 

―最初の「ロールプレイング写経」にどれぐらい時間をかけるんですか?

奥村さん:全く未経験でも、早ければ2~3か月で型ができてきます。面談~請求項作成~明細書作成~出願書類一式完成!までの手順が身につけば、そのあとは実地で指導していきます。先ほどの『カラフル明細書』などのシステムは、指導の効率化にも役立っています。

もちろん1~2か月でいきなり一人前になる、という話ではないですが、業務のメソッドを明確化したうえで、様々なIT技術を活用すれば、初心者の立ち上げは各段に楽になると思います。

 

―基本の型が身についてから、色々な技術をさらに勉強して、文章表現の幅も広げていけば良い話ですものね。

奥村さん:請求項や明細書の作成は正解が1つだけではなくて、色々な方法論・流派があると考えています。IPXでは複数ある中の1つのメソッドを採用し、それを内製のシステムで可能な限り効率化しているということですね。

 

 

4、知財DX導入のコツ~「ちょっとした不満」を原動力にしよう

―これまでの話で、「IPXは新しい組織だからITリテラシーが高い人ばかりを揃えられるし、知財テックの導入もスムーズだ。ただ、うちは古い組織だし、ITリテラシーが低い人も正直いるから、同じようにはいかないよ」と感じられた読者もいるのではと思います。

この点、既存の組織で「知財DX」や「知財テックの導入」を上手く進めるための秘訣はあるでしょうか?

奥村さん:確かに、IPXでは立ち上げ時から知財テックの導入を推進したから上手くいった点は多分にあるでしょうね。

ただ、一方で「知財テック」というと複雑なシステムを導入するとか、業務フローを1から見直すとかをイメージしがちですけど、我々もそんなすごいことを1からやっている訳ではなくて。先ほどの「押谷イラスト」。

 

―あの「最先端の期限管理システム」ですね(笑)。

奥村さん:まあこれは完全なイメージ先行だったのですが、「こういう仕組みになったら便利やろ」と最初にマネジメント側が考えて、提案することは大事なんだと思います。

そして一気に全部実装しようとするのではなくて、メンバーの意見を聞いて改良サイクルを回していく。『カラフル明細書』だって、最初は手動で色を付けていたんですよ。ただ、手動で請求項1から10まで違う色を1つ1つ付けていたらめっちゃ面倒じゃないですか。だからシステムで自動化しようという発想が生まれた。

 

―「面倒くさいのは嫌だ」という想いは、Toreru でも新たなITシステム導入や開発の原動力になっています。例えば、クライアントに発送する登録証のデータをスキャンしたら、自動で送り状やラベルが作成されて、印刷まで終わらせるようにしたとか。

奥村さん:あとはマネジメント側として、システムの運用ルールを整える役割があります。組織内でそのITツールをどう使うか。全員必須で使うのか、任意なのか。どの場面で使うのか、どう運用したら効率的でミスが減るのかなど。

 

―そこはかなり重要ですよね。知財テックを導入するだけでは足りない。運用ルールも必ずセットで決める。

奥村さん:さらに、メンバーに楽しんで使ってもらうのも大事だと思います。結局、知財テックや「知財DX」には、業務を効率化するとか、競争力を持つという目的はありますけど、同じくらい「使う人の不便・不満を解消する」という要素も大事だと思うのですよ。

IPXに転職してきたメンバーから「前の事務所はめっちゃアナログだったけど、IPXは色々なITツールがあって、明細書作成もサクサク進むから楽しい」という意見をもらうことが結構あって、そう言ってもらえると嬉しいですよね。不便が解決されたわけですから。

 

―『カラフル明細書』など、見た目が直観的なのも良いんでしょうね。

奥村さん:いきなりすごいシステムを導入しようとせずに、まずはメンバーのちょっとした「不便・不満」をヒアリングして、それを解決できる技術を探して導入し、さらに改善していく。そういう積み重ねの上に、「知財DX」もあるのかなと思います。

 

―今回のインタビューでは、弁理士法人IPXで「文書作成支援システム」がどう使われているかや、導入過程、また知財テックを既存の組織に上手く導入するコツについて色々とお聞きしました。

技術ありきではなく、導入によってメンバーがハッピーになれるように「既存業務へのちょっとした不満」を出発点にするという話は、我々にとっても新鮮でした。

奥村さん、ありがとうございました!

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☆弁理士法人IPX 公式サイト:https://ipx.tokyo/

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