ブランディングの意味は人によって捉え方が様々であるが、他と区別できる“特徴”が必須の要素である事は間違いないであろう。そして、その特徴を維持するには、何らかの手段で模倣を防ぐ必要がある。
模倣を防ぐためには一般に知的財産が考えられるが、業界によって知的財産の捉え方は異なる。この記事では、これまであまり語られる事のなかった「お笑い」(いわゆる芸人によるものを意図する。以下同じ。)業界におけるブランディングとパクリ、さらには知財の関係について考えてみたい。
ゲスト紹介:brandesign代表弁理士 岡村太一さん
特許事務所を経営する傍らで、身近な商標に関する様々な謎や疑問についてトーク形式で解説するYouTube「ゆるカワ♡商標ラジオ」を配信しております。このYouTubeでは知財のエンタメ化による制度の普及を試みています。
そんな私は無類のお笑い好きでして、M-1グランプリ等の賞レースでは胸が熱くなり涙を流すこともある程です。これに分析癖が重なり、気が付くとお笑いについて何か記事を書きたい衝動に駆られてきました。そこで、今回はお笑い好きの弁理士ならではの考察をしてみました。
目次
1.お笑いとブランディングの切れない関係
一見、全く無関係に思えるかもしれないが、実はお笑いはブランディングと密接な関係があるのではなかろうか?
ブランディングの定義自体が定まっているわけではない。ここでは、商品やサービスの特徴を伝達していくことにより「○○といえばあの商品・サービス」と需要者にイメージさせるための活動だとする。
お笑いでいうと、「○○といえばあの芸人」と観客(劇場に来ている者だけでなくテレビでの視聴者等も含む。以下同じ)にイメージさせるための活動である。これらの活動の結果、イメージとして観客に定着したものがブランドということになる。
芸人の人口は非常に多い一方で世に出られるのはほんの一握りであり、さらに継続的に売れるのはもっともっと少ないという世界である。そのような厳しい世界でまず世に出るためには、他の芸人と区別できる”特徴”を持つ事が必要となる。この特徴は、何等かの斬新さを意味する。容易に先の展開やセリフ、手法が予想できてしまうありきたりなネタだと観客は笑えないのである。
このため、芸人は、日々新しいものを生み出し、他のライバルとは区別できる特徴を出そうとする。そして、観客に笑ってもらい、覚えてもらうのである。よって、意識的か無意識的かはさておき、芸人はブランディングしているといえる。
中でも特に手法の点で特徴が発揮されている漫才やコントについて、筆者の好きなM-1グランプリの出場者を中心に紹介したい。なお、特徴名は、M-1グランプリで審査員が表現したものはなるべくそのままにしつつ、それ以外は筆者の独断で名付けた。
コンビ名 | 特徴名 | 概要 |
中川家 | いらん事しい漫才 | ツッコミの話に関連する事項についてボケが不要な事をしてツッコミの話の腰を折り続ける漫才。正統派と思われがちだが、彼らにしかできない技能が不可欠であると思われる。 |
ブラックマヨネーズ | ネガティブに考えすぎ漫才 | ボケの悩みに対してツッコミが解決策を提案するが、ボケが細かい所をネガティブに考え過ぎ、喧嘩になる漫才。最終的にツッコミの提案が変な方向に行くところも見どころである。 |
チュートリアル | 妄想漫才 | ツッコミの他愛もない話にボケが過剰に反応し、その後ボケの妄想に基づいてどんどん暴走していく漫才。妄想に伴う顔芸や饒舌さをボケが発揮し、ツッコミのドン引きによって成立する。 |
笑い飯 | Wボケ漫才 | ボケとツッコミが交互に入れ替わる漫才。話が展開していくというより、一つの課題に対してボケとツッコミを繰り返す大喜利+ツッコミのような手法。 |
ミルクボーイ | 行ったり来たり漫才 | 母親が忘れた物が何であるかを探る体で進める漫才。ボケの特徴説明に対して、ツッコミがその特徴に合致する物を特定し、ボケの再度の特徴説明の後ツッコミが特定した物でないとツッコむという、肯定と否定を繰り返す。 |
マヂカルラブリー | 動き漫才 | 全身を使って動き回るボケに対して、ツッコミ続ける漫才。振りに対して真逆の動きが繰り出され、動きがどんどんエスカレートしていくこともある。 |
アンジャッシュ | すれ違いコント | 互いが勘違いしたまま会話が進行するコント。髄所に噛み合わない部分があるため、自然にボケとツッコミのポイントが生まれるが、言葉足らず等により会話は進行してしまう。 |
麒麟 | ナレーション漫才 | ナレーターさながらの実況や解説の中でボケを入れ込む漫才。ツッコミの動き等に合わせたアフレコもある。ボケはナレーターをしながら複数の役をこなす落語的要素もある。M-1グランプリ2001では、ダウンタウンの松本人志が最高評価をした。 |
すゑひろがりず | 古語漫才 | 現代らしい出来事を古語で展開する漫才。昔の人が行わなさそうな事を昔の言葉に変換しているため、昔の人がタイムスリップしてきたかのような印象を醸し出す。袴姿で小鼓や扇子を持つという外見や狂言風の話し方も特徴。 |
ぺこぱ | ノリツッコまない漫才 | 突拍子もないボケに対して、ツッコミをしそうでしない漫才。ボケの度にツッコミを入れつつ語尾でボケを肯定する点が斬新に感じさせる。 |
ジャルジャル | ゲーム型漫才 | 独自のゲームをツッコミが強いられる漫才。ゲームの設定に基づくボケの無茶ぶりによって、奇抜な音感の繰り返し等が発生する。合間にツッコむ事でノリツッコミのように見える。 |
Aマッソ | 映像漫才 | スクリーンに表示された言葉やイラスト等によりボケたり、そのボケを演者が膨らませたり、スクリーンの表示がツッコミを補足する漫才。突飛なボケに対するツッコミの心情をスクリーンに表示した上でツッコむこともある。 |
以上のように、一口に漫才やコントといっても様々な手法があり、その特徴は観客に伝わっている。たとえ特徴を言語化できない漫才やコントであっても、設定、ボケのセンス、言葉のチョイス、声の出し方、間、表情などの新しさがある。正統派と呼ばれる芸人達もこういった形で何等かの新規性を発揮している。
上記に挙げたものは、切り口や手法の斬新さの度合いが高いと筆者が感じたものである。
ここで、ブランディングを語る上で大切な事を述べる。
ブランディングには、クオリティの高さが必須である。
『ブランドで、「鉛」を「金」に変えることはできない。そうではなく、「金」を「より輝く金」に変えてくれるのがブランドなのだ』
(小さな会社を強くするブランドづくりの教科書 [岩﨑邦彦])。
「お笑い」でいうと、他と違った特徴を持っていても、おもしろくなければ評価されず、ただ奇をてらっただけになってしまう。上記の表では手法の斬新さから分類したが、手法は普通の「正統派」であっても「お笑い」のブランディングは可能である。
つまり、設定、ボケのセンス、言葉のチョイス…などの新しさによって、おもしろさを観客に感じてもらえば「正統派といえばあの芸人」というイメージが形成される。ただ、手法が斬新であればライバルに埋もれず注目されやすいため、入り口として有利であると思われる。
ところで、上の表で挙げた特徴的な漫才やコントは、上記芸人のみが行っているわけではない。最初に世に出したのが彼らでない場合もある。例えばアンジャッシュの「すれ違いコント」は元ネタが先に存在していたと本人が公言しているようである(文春オンライン)。
この点、特許や著作権の世界では、最初に出願や創作した者勝ちの(権利を獲得できる)世界であるが、ブランディングはそうではない。「○○といえばXX」と印象付けた者勝ちなのである。お笑いの例ならば、「○○といえばこの芸人」と観客の心の中に印象付ける事が重要なのである。
2.知財で「お笑い」のパクリを防げるか?
①ネタパクリ対策
「○○といえばこの芸人」と印象付けることがブランディングだとして、ライバルに同じ事をされると妨害されてしまう。では、お笑いのネタの模倣、すなわちパクリを法的に止める事はできるのであろうか?
ネタの台本には著作権があるケースが多いだろう。しかし、アイデアについては著作権がない。
つまり、1.の表にある「いらん事しい漫才」や「すれ違いコント」という手法自体はアイデアであるとして独占できないことになる。アイデアレベルで独占を許すと、創作活動が委縮してしまい、著作権法の法目的である「文化の発展」が妨げられるからである。著作権が守っているのはアイデアではなく「表現」なのである。
言い換えると、ネタの台本どおりパクられたら著作権侵害である一方で、同じ手法でセリフやストーリー展開を変えていれば著作権侵害にならない可能性が充分ある。とはいえ、どこまでがアイデアでどこまでが表現かは境界が明確でない場面もあり、個別の事件ごとに判断される。
ネタの模倣の例として、アンジャッシュのネタが中国のある芸人に模倣されたという事件があった。筆者は中国語が話せず検証できていないのだが、一部報道によると約5分の本家のネタを約12分に膨らませて最後のオチを変えているだけであるという。そうであれば、著作権侵害の可能性は充分ある。
著作権は創作された瞬間に発生する権利であり、特許権等のように審査により新しさ等が認められれば発生するものでない。言い換えると、ある創作に著作権があるのか否か、どの部分に著作権があるのかは不明確である。
では、お笑いのネタは特許権の対象になるのであろうか?特許権の対象になる発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作」である必要がある。ゲームのルールは特許の対象にならないとされている。
そうすると、お笑いのネタも、発明(自然法則を利用した技術的思想の創作)とはいえないのが通常であろう。一方で、物や機器等によってネタを実現している場合、その物や機器等の発明に該当する事があり得る。
例えば、芸人トリオ「ロバート」の秋山竜次を発明者として特許が認められている。これは「体モノマネ」で使用する服について特許権を取得している。
体モノマネTシャツに関する特許情報(INPITデータベースへ)
この特許権はネタ自体の模倣排除が目的というよりは、ロバート秋山氏公式の「体モノマネTシャツ」BOTYがあり、その商品の模倣を防ぐ目的と推察される。
BOTYシャツは公式通販ショップより購入することができ、Youtubeでロバート秋山氏がシャツの使い方を実演する動画がアップされていた。
<体モノマネTシャツ「BOTY」の正しい使い方>
商標権もしっかりと取得されており、保護意識の高さが感じられる。
※くわしい商標登録情報はこちら(INPITデータベースへ)
※くわしい商標登録情報はこちら(INPITデータベースへ)
筆者はネタ自体の特許が認められた例を知らない。知っている方がいれば是非とも教えていただきたい。上記1.の表におけるAマッソの映像漫才については、ハードウェア等によって漫才を実現しているため、自然法則を利用した技術的思想の創作、つまり発明といえるのではなかろうか。この点について、発明該当性に関するご意見及び請求項案を募集してみたいものである。
②コンビ名のパクリ対策
「○○といえばこの芸人」と印象付けるブランディングは、ライバルに同じ名称(主にコンビ名等のグループ名。以下同様)を使われることでも妨害される。同じ名称を他の芸人に使用された場合、法的に止められるのだろうか。
まず名称自体に著作権はないと考えられる(POPEYE事件原審)。
では、商標登録することで他人の使用を止められるのだろうか。
この点、法律上の明確な規定はないが、LADY GAGA事件が参考になる。この事件は、LADY GAGAが代表を務める会社が出願人だったのだが、「LADY GAGA」は商標登録できないと判断された。
「LADY GAGA」が商品の内容を表すと判断されたためである。具体的にいうと、LADY GAGAは著名な歌手のため、CD等に表示された「LADY GAGA」の文字を見た需要者は収録曲をLADY GAGAが歌っていると認識する。そして、CD等の収録曲を歌う人が「だれ」であるかは商品の内容表示に該当し、商標法3条1項3号の「登録できない商標」に該当するという判断である。
さらにELLEGARDEN事件に基づくと、歌手名が著名でなくても内容表示と考えられる。
これらの事件を前提にすると、お笑い芸人の名称は歌手名と同様に、DVDという商品や劇場での公演というサービスの内容表示に該当し、そもそも商標登録できない可能性も高い。
では、名称の模倣に対しては何も言えないのだろうか?例えば、出演者に「マヂカルラブリー」と記載されている漫才の劇場において、「マヂカルラブリー」という名称の本家(M-1グランプリ2020覇者)とは別の芸人が出演していた場合、何も言えないのだろうか?
この場合、たとえ商標登録ができなくても不正競争防止法の品質誤認(不正競争防止法2条1項20号)の主張が認められる可能性がある。この規定は、商品やサービスの内容と異なる内容表示をしていた場合に、不正競争となる規定である。この規定に該当すれば、誤認させる内容表示(名称)を中止できる。
一方、グッズ(ネタを収録したDVDのような商品を除く。以下同じ)については芸人の名称が商品の内容表示に当たらず商標登録可能である。したがって、芸人のコンビ名を商品名にしたグッズを本家が販売する場合には商標登録し、模倣を中止できる。
その例として、吉本興業は「笑い飯」を商品「おにぎり」等について商標登録できている。
※くわしい商標登録情報はこちら(INPITデータベースへ)
ちなみに、この商標登録出願は2004年7月14日になされた。2004年は、笑い飯がM-1グランプリ(同年12月26日開催)で優勝候補だった年であり、吉本興業は笑い飯の優勝を見越して商品化を狙っていたのかもしれない。結果は残念ながら5位に終わった。
3.「お笑い」でパクリ排除は必要か?
①ネタパクリ対策
2.①では「〇〇漫才」という手法自体はアイデアであり、著作権で直接は保護されず、特許権も付与されないことを解説した。これを読んで「知財によるお笑いの保護は不十分では」と感じられた方もいるかもしれない。ただ、そもそもお笑いにおいて、模倣を法的に排除することがどれだけ必要なのだろうか?
お笑いの世界では模倣は”ご法度”である(ネタが共有財産とされている落語を除く)。これは暗黙のルールである。
マネをした芸人はナンセンスと評価され、むしろマイナスなのである。
一部、マネをすることで笑いが起きることもあるが、それは結局、パクりであることを指摘するツッコミがあったり、本家のネタを誇張し新たな創作を加える事で別の笑いとして成立している。こういった事をする芸人は本家よりも売れている芸人が多く、本家をリスペクトの上で行っていると見受けられる。しかも、本家の芸人としても売れている芸人にパクってもらえればオイシイのであり、宣伝にもなる。
いずれにしても、パクる側の芸人が本家のネタを自分のネタとして行うことはないし、そのような事をすれば上記のとおり、ナンセンスだという評価を受けるだけである。そして、パクること自体を芸人が恥ずかしいと思っているだろうし、偶然であっても他と被りたくないと考えるのが芸人の性である(賞レースでネタが偶然被った場合、後に出演した芸人のネタの評価は下がる傾向にある)。
さらに、仮に、本家のネタを自分のネタかのように行った場合であっても、本家と同じだけの笑いを取る事は難しい。お笑いは、ネタのおもしろさだけでなく、その芸人にしかできない技能(スキル)や味に基づくものであるためである。
例えば、M-1グランプリ2019でナイツ塙は、ミルクボーイのネタの評価として
「誰がやってもおもしろいネタ+この人達がやったら一番おもしろいというのがベストのネタだと思う。」
と述べた。また、M-1グランプリ2020で中川家礼二は、マヂカルラブリーのネタの評価として「野田にしかでけへんのちゃうかなと思って」と述べ高評価をしている。つまり、芸人がネタをパクるデメリットは大きく、メリットは小さい。
そうすると、芸人によるネタの模倣がなされることは想定し難く、そもそもネタ自体の模倣を法的に排除する必要性は低いと考えられる。
一方、ネタ動画のDVDをコピーした海賊版を販売する行為や、ネタ動画を撮影や録画してネット配信する行為は著作権侵害となる。このような模倣は、主体が芸人ではなくメーカー等の業者である。上記の芸人とは異なり、業者にとって暗黙のルールは無い上に、顔が表に出ていない。このため、バレなければいいというモラルの持ち主であれば模倣する事もあり得る。したがって、このような模倣は、現実に起き得るものであり、法的に排除する必要性がある。
②コンビ名のパクリ対策
では、芸人の名称については、模倣を法的に排除することが必要なのだろうか?
芸人の名称を模倣する事も①と同様にナンセンスであるため、現実的に起きにくい。また、実際に模倣されようとしても、劇場が身元を確認せずに偽者を出演させる事は想定し難い。次に、DVDや動画配信はありえなくはないが、中身もコピーした海賊版が通常の模倣だと考えられ、これはそもそも著作権侵害となる。
中身だけオリジナルにして「出演者:ブラックマヨネーズ」とパッケージに記載するような手間を模倣業者がやるとは思えない(やったとしたら、個人的には可愛さから模倣を許してしまいそうである)。つまり、DVD等では中身ありきであり名称のみの模倣は考え難い。
一方、グッズについては模倣排除の必要性がある。グッズの模倣業者がバレなければいいというモラルの持ち主であれば模倣があり得る点は①と同様である。そして、DVD等と異なり、グッズの中には芸人のネタと無関係な商品がある。
仮に、「笑い飯」という名の「おにぎり」を笑い飯が所属する吉本興業が製造・販売したとする。そうすると、需要者は、そのおにぎりを笑い飯が企画したとか、笑い飯が握っているとは、特段の説明がない限り考えないであろう。
おにぎり作りに笑い飯が関与している必要はなく、言わば誰が作ったものでもいいのである。おにぎりに「笑い飯」と付けた物が本物と受け取られる。つまり、「笑い飯」という名称が商品選択の手掛かりの重要な要素なのである。漫才の公演やDVD等が中身ありきであるのに対して、グッズは中身ありきでない。この点が公演やDVDとグッズとの本質的な違いである。
このように考えると、漫才の公演やDVD等と異なり、グッズについては名称による模倣が現実的に起こり得る事が理解できる。このため、芸人の名称は、グッズに関する限り、模倣を法的に排除する必要性がある。
4.まとめ
以上述べてきた通り、お笑いにはブランディングが重要であり、芸人は意識的・無意識にかかわらず、ブランディングしている事が理解できる。
そして、芸人が他人のネタをパクることは「アイディアレベル」であれば著作権侵害にならず、特許権の対象にもならないケースが一般的である。漫才の公演時やDVD等におけるコンビ名のパクりは商標登録で排除するのが難しそうである一方で、不正競争防止法で規制できそうである。しかし、そもそもこういった模倣は現実的に起きにくく、模倣を法的に排除する必要性は低い。
一方、海賊版(ネタ動画のコピーDVD等)は著作権によって排除することが可能であり、現実的に起こり得るため排除の必要性もある。ここで、著作権は創作により自動的に発生するので、権利化において登録等の手続を一般には行う必要はない。ただ、海賊版は海外からの流入も多いため、税関輸入差止の申立手続によって水際で阻止する実効性を高める事ができる。
また、芸人グッズ(ネタを収録したDVDのような商品を除く)において、コンビ名を無断使用するパクリに対しては、商標登録によって排除できる上に、現実的に起こり得るため排除の必要性もある。なお、グッズ名の模倣を防ぐためには、あらかじめ商標登録を受ける必要がある。
ここまでお笑い業界におけるブランディングとパクリについて考えてきたが、お笑い業界ではブランディングがなされている一方で、ブランディングを妨害するようなパクリ(特に芸人によるもの)は起こり難い。
このように、業界によって、ブランディングやパクリの状況は異なっており、知財での保護の仕方も千差万別である。企業やその代理人弁理士、弁護士等はこの点を踏まえ、顧客とのコミュニケーションや提案をする必要があるであろう。
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