スタートアップ知財コミュニティsuiPは、おかげさまで今年4周年を迎えました!
suiPは、「スタートアップに知財を浸透させる」ことをミッションに掲げて2022年3月に設立しました。 メンバーはスタートアップの知財責任者・担当者が中心で、72名(2026年3月時点)が参加しています。
活動実績や参加方法はこちら:suiP~スタートアップ知財コミュニティ~
4周年を期にsuiPの活動をさらに盛り上げるため、スタートアップ系企業の知財活動を表彰する新しい賞を作り、さらに選考&授賞イベントとして、suiP AWARDS 2026を開催しました。
このsuiP AWARDSは従来にないコンセプトの知財表彰制度となっており、せっかくなのでその思惑やイベントの裏側(の苦労…)も本稿にて語らせて頂ければと思います!

☆イベント当日の様子はこちらを御覧ください
スタートアップ知財コミュニティ「suiP」が初の表彰イベントを開催 設立4周年記念 – 産経ニュース
「拍手の練習」から始まった熱狂—スタートアップ知財の祭典「suiP Awards 2026」完全潜入レポート – GrIP
目次
1. なぜ知財表彰イベントをつくろうと思ったか?
当初5名で発足したsuiPですが、活動を継続するうちに毎年メンバーが増え、ありがたいことに現在は70名超とかなり大きなコミュニティになってきました。

[suiPメンバーの推移]
suiPがここからさらにもう一段階進化するために必要なものは何か?と議論した際に「…権威、ほしいよね」という話になり、「新しい知財表彰制度、つくっちゃおうか」と、割とカジュアルな感じで検討が始まりました。
また、毎年周年イベント(※)として色々と運営メンバーで企画しており、「周年イベントとして知財表彰ができると面白いよね!たぶんいけるっしょ!」と割とふんわり気味に決めたのを覚えています。
スタートアップコミュニティらしくとりあえずやってみよう!のマインドです。
※参考:3年がかりでたどり着いた、スタートアップと知財が混ざり合う場所〜suiP知財works vol.03 3周年記念イベントレポート | Toreru Media
2. 現場の賞を立ち上げよう!~suiP AWARDSのコンセプト
新しい知財表彰を作るとしてそのコンセプトをどうするか?の議論の中で「従来の知財表彰制度に無いものを作りたい、スタートアップのコミュニティらしく、”0→1”をやろう」という意識が最初に何となく決まり、そこから様々な議論をする中でとあるメンバーから以下のような話がありました。

そこからは一気にコンセプトが決まりました。

参考にした「本屋大賞」は2004年に作られた比較的新しい文学賞ですが、書店員という本をビジネスとして「現場で取り扱う人々が審査員」になり、「人に勧めたいかどうか」を基準に選ばれているのが特徴です。
我々も限られた権威ある方々が決めるのではない、現場の人たちが投票で決める、そんなAWARDSを作ろう、これがコンセプトの一つになりました。
そして…

なぜsuiP AWARDSを立ち上げるのか?それはsuiPの原点でありMissionを実現するためではないかと。
すなわち…

これまでに無い、「現場の投票で」「特許だけでなく知財活動そのものを評価する」、これらをコンセプトに知財表彰制度を作ろう!と決めました。
この裏話としては、スタートアップはまだ製品化まで辿り着いていないことや、特許がまだ1件も登録になっていないこと、社外秘などがあるので、特許だけを対象とするとそもそも応募できる企業がかなり少なくなってしまう、というスタートアップ独特の課題もありました。
そこでコンセプトもふまえた上で、特許分野だけをフォーカスするのではなく、「みんながスゴイ!真似したい!と思う知財活動なら表彰対象にしよう」と決めたのです。
さらに、もう1つの課題感である「アワードに落ちたら何の反応もない」問題に対しては、各スタートアップの生々しい知財活動のプレゼンを聴いて、その場で質疑もした上で投票コメントも残せるようにすることで、エントリーしたスタートアップにためになる、フィードバックがかかるような仕組みにしよう!とイベント趣旨の設計を行っています。
3. 「何を評価するのか?」難航した投票のルール決め
実はこれが一番議論が難航したポイントでした。すなわち、何を軸にして評価するのか?です。
suiPアワードは、現場の参加者がみんな投票者になれる設計です。このとき評価軸が複雑だとその場での投票がしづらい、かといって簡易すぎると本当に評価したい活動を選定できるのか?と、かなり悩みました。
最終的には原点である「スゴイ!真似したい!」と思うかを分解し、以下のような2つの評価軸にしました。

知財活動が素晴らしいと「スゴイ!」と思えますが、分野やビジネス形態が違うとそれを自社ですぐ真似したいかは別だったりします。一方、ちょっとした工夫でも、日々の業務効率が上がったり、社内でのコミュニケーションが上手くいくようなネタであれば知見共有として価値が高いです。
「知財活動」と「知見共有」、これら2つの観点に分けて投票してもらうことで、スタートアップに知財を浸透させる活動を評価できるようにしました。
投票はリアルタイム投票システムを使いたかったのですが、参加者や投票対象が多いと有料になってしまい費用感が難しく、また、自身でシステムを組むと投票者が多いときの挙動に不安があったため、GoogleFormで投票する形にしました(これが後述のドタバタに繋がります…)。

最終的には以下のような仕組みでイベントを設計しています。
- 登壇者がプレゼン(3分)&質疑(3分)を実施
- 参加者がGoogleForm上の該当箇所にて評価&コメントを記載(3分)
- ①→②を9回繰り返し、最後にフォーム提出
- 休憩時間に集計し、イベント後に匿名処理をしてコメントを登壇者にFB
また、総合点のトップ、それぞれの軸の平均点のトップを以下のように表彰することにしました。

結果的にはなかなか良い評価軸になったのではないかと思ってはいますが、第2回も同じ評価軸で行うかはまだまだ未知数です。ビルド&スクラップを繰り返すのもまたスタートアップらしいかなと。とはいえ、表彰の価値が変わらないように、軸はブレさせないようにしていきたいですね!
4. 実際にやってみた感想
色々とドタバタがあり反省点は多いですが、50人近くの現場からの投票となり、従来の知財表彰制度にはない”熱さ”を出せたのではないかと自画自賛しています!また、登壇者からもコメントという形でFBが返ってくるのは有難いとのお言葉を頂いています。
とはいえ、反省点はたくさんあって、その中でも以下の3点は大きな反省です。
(1)登壇者(エントリーされた方)が9名いらっしゃったため、プレゼン時間を3分にしたが明らかに時間が足りなかった
(2)GoogleFormのフォーム提出後に集計となるため、集計タイムに超ドタバタ
(3)エントリー段階での登壇者の意識が揃っておらず、後で帳尻合わせ
また、以下のような評価統計+コメントをFBとして登壇者に共有していますが、評価軸の複雑さと評価の透明さはトレードオフなところがあり、評価の透明化ってほんと難しいんだなと今さらながら感じております。

もし今後改善するとしたら、アイデアレベルですが、質疑・投票時間を短くしてプレゼン時間を長くする、イベント自体の時間をもう少し伸ばす…etc、とにかくスタートアップの素晴らしい知財活動のプレゼンをよりたくさん浴びれて、登壇者も参加者もより熱くなれるイベントにしていきたいです!
5. おわりに~今回アワードを作ってみて
知財表彰制度を0→1でつくるのはかなり悩ましいものでした。とはいえ、かなり試行錯誤しながらも何とか第1回suiP AWARDSはコミュニティとしては成功といえる内容だったと自負しています!
自分たちでアワードを作ってみての感想ですが、
- スタートアップの知財活動の多種多様さ(を表彰するための軸の難しさ)
- 0 -> 1 の楽しさと苦労のトレードオフ
- 世の中で継続的に行われている既存の知財表彰の運営のスゴさ
を改めて痛感しました。いやーほんと大変だった…。
果たして第2回はあるのか!?それはsuiPコミュニティの盛り上がり(とイベント運営のモチベーション)次第だと思いますので、これからもsuiPをよろしくお願いします!!!

今回表彰された3名
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