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商標の拒絶理由通知とは?初心者向け5つの対応方法をわかりやすく解説します!

やっと商標登録出願をしてホッとしていると、特許庁から何やら通知が。開いてみると、「拒絶理由通知」と書いてあるではないですか。えーっ!拒絶ってどういうこと?登録できないってこと?

いえいえ、そうあわてないで下さい。拒絶理由通知が来たからって、登録できないと決まったわけではありません。がっかりして、あきらめなくても大丈夫です。対応さえしっかりすれば、登録への道を開くことができます。その対応方法をこれからくわしく解説していきます。

1. 商標の拒絶理由通知とは?

審査官が「この出願には登録できない理由があるな」と判断したときに送られてくるのが「拒絶理由通知」です。

ですので、商標の拒絶理由通知には、このままでは登録できない理由とその条文番号が必ず書かれています。この拒絶理由通知に対応しないと、商標登録出願は「拒絶査定」となり、出願された商標は登録されることはありません。

一方、この拒絶理由通知にきちんと対応すれば、登録NGという審査官の判断を覆して商標登録できることもあります。

ここからは、拒絶理由通知にきちんと対応するにはどうすれば良いかポイントを解説していきます。

2. 拒絶理由を受け取ったが大丈夫?

拒絶理由通知は「登録はムリですよ」という最終通告ではありません。全く同じ商標が登録されていたり、明らかに普通名称といえる商標であれば難しいですが、多くの場合、適切な対応をすれば克服のチャンスがあります。

ですから、拒絶理由通知が来たからといって慌てる必要はありません。まずは、落ち着いて状況を整理することが大切です。

3. まずは何をすれば良いのか

次の3つのステップで対応しましょう。

  1. 拒絶理由通知の内容を確認する
  2. 期限を確認する
  3. 自分で対応するか弁理士に任せるか判断する

ステップ1:拒絶理由通知の内容を確認する

拒絶理由通知には、このままではダメな理由(拒絶理由)が必ず書いてあります。

まずは、その理由を確認しましょう。なぜなら、その理由によってそのあとの対応方法が変わってくるからです。

たとえば、「理由 第3条第1項第3号(品質等表示)及び第4条第1項16号(品質等誤認)」というように、ダメな理由の根拠となる条文が記載されていますので、その条文の内容に基づいて対応方法を考えていきます。

具体的な対応方法は後ほど解説します。

 

拒絶理由通知書の例
(出典:https://www.jpo.go.jp/system/basic/otasuke-n/shohyo/kyozetsu/kaisetsu.html#tmp_honbun

ステップ2:期限を確認する

いつまでに拒絶理由通知に対応しなければならないのか、という期限が決まっています。

商標の拒絶理由通知の対応期限は、通常40日以内です。おおよそ1ヶ月を目安に対応していきましょう。

ただ、この40日の期間は特許庁の営業日により多少ずれる可能性がありますので、まちがいなく期限を知りたい場合はこちらで確認して、対応期限を過ぎないように注意しましょう。

ステップ3:自分で対応するか、弁理士に任せるかを判断する

拒絶理由と期限を確認したら、次は自分で対応するか、弁理士に任せるかを決めましょう。

弁理士に任せた場合の対応費用は5万円~10万円程かかりますが、審査に合格させるノウハウを持っています。弁理士は登録できない理由に合わせて、もっとも効果的で適した対応方法を判断し実行できますので、審査に合格する可能性はグンと上がります。

ですので、大事な商標は弁理士に任せることをおススメします。

弁理士に任せる場合は、次のような手順を踏んで依頼するのがよいでしょう。

  1. 商標の出願番号を伝える
  2. 見積もりをもらう
  3. 拒絶理由が克服できそうかコメントをもらう

登録できない理由を克服できそうかどうか、弁理士に見通しを聞いてみましょう。そうすることで、勝算のない無駄な対応をせずに済みます。

4. 拒絶理由通知の5つの対応方法

拒絶理由通知に対する対応方法は次の5つです。

  1. 意見書で反論する
  2. 補正書で権利範囲を狭くする
  3. 意見書で反論する+補正書で権利範囲を狭くする
  4. 新規に商標を出願する
  5. 放置する

1つずつ順番に解説していきます。

①意見書で反論する

審査官の判断が絶対に正しいとは限りません。ですから、拒絶理由が妥当でないと思う場合には、意見書で反論することができます。

反論といっても、「あなたの考えはまちがってる!」と感情的になって審査官の判断をただ否定するというような書き方では説得力がありません。審査官に「なるほど」と思わせるような説得力のある根拠を示しながら、審査官が自分の判断を見直す気になるようにもっていく必要があります。その分、難易度の高い対応方法であるのは確かです。でも、成功すれば希望どおりの権利が得られるという大きなメリットがあります。

意見書の具体的な書き方はこちらの記事をご覧ください。

商標の意見書とは?具体的な書き方から記載例までプロがご紹介!

②補正書で権利範囲を狭くする

補正書という書面によって、「指定商品・指定役務」(商標登録しようとする事業分野)を狭くすることができます。

これにより、問題ありとされた商品・役務を削除して、問題なしの部分だけ権利化できます。

この方法は成功率はかなり高く、対応も意見書より簡単ですが、権利範囲が狭くなるのがデメリットです。。

なお商標そのものを補正書で変更することはできません。商標を変えたいときは「4」の新規出願(出し直し)になります。

補正書についてより詳しくは、こちらの記事をご参照ください。

商標の手続補正書とは?記載例・手数料・様式について解説します!

③意見書で反論する+補正書で権利範囲を狭くする

補正書で、「指定商品・指定役務」の一部を削除(権利範囲を狭く)しつつ、さらに意見書で反論することもできます。

反論がムリな部分は補正書で削除し、反論ができそうな部分は意見書で対応することで、権利範囲が狭くなるデメリットを最小にして、成功率を上げることができます。

④新規に商標を出願する

拒絶理由を納得できる形で解消できそうにない場合は、新たに商標を出願するという方法も有効です。

出願し直すなら商標自体を変えることができるので、商標を少しアレンジすれば、登録の可能性が上がる場合があります。

⑤放置する

放置する、という対応はメリットがないように思うかもしれませんが、これ以上費用がかからないという良い点があります。

そのため、もうその商標は必要ない場合や、登録はできなくても商標を安全に使えると判断できる場合(指摘された拒絶理由の内容によってはこのような判断ができるときがあります)は、何もせず放置するのも一つの選択肢です。

5. 拒絶理由別のおすすめ対応方法

ここからは、拒絶理由の種類ごとにおすすめの対応方法を解説します。「この拒絶理由がきたら、こうすればいいよ」がわかります。

  • 4条1項11号(似た商標が登録されている)
  • 3条1項3号(商標に特徴がない)
  • 4条1項16号(その商標と商品・役務の組み合わせだと消費者が勘違いする可能性がある)
  • 3条1項柱書(商品・役務を指定しすぎて本当にその範囲で商標を使用するか疑わしい)
  • 6条(区分、商品・役務の書き方に不明点がある)

①4条1項11号(似た商標が登録されている)

似た商標が先に出願されていた場合は登録できません。

たとえば、「Toreru」が先に出願・登録されているにもかかわらず、後から「トレルー」を出願したとします。そうすると、「Toreru」と「トレルー」は読み方が似ているので「トレルー」は登録できません、という拒絶理由通知が来ることがあります。

このような場合は次の対応方法がおススメです。

  1. 意見書で反論する
  2. 補正書で権利範囲を狭くする
  3. 意見書で反論する+補正書で権利範囲を狭くする
  4. 新たに商標を出願する

商標が似ているかどうかは、商標と「指定商品・指定役務」の組み合わせで判断していきます。ですから、商標そのものが「似ている」と判断されていても、「指定商品・指定役務」が似ていなければ登録できます。

「指定商品・指定役務」を削除・縮小する補正をして、先に登録されている商標の「指定商品・指定役務」とは似ていない範囲にすれば、問題解消です。削除した「指定商品・指定役務」についての商標登録を諦めることができるなら、この対応で登録できる可能性は高くなりますので、おススメです。

でも、どうしてもその商標を使いたい商品・サービスがある場合は、それを削除・縮小するわけにはいきません。そんなときは、意見書で「商標は似ていません」と反論していくことになります。

この拒絶理由通知がきたときに気をつけなければならないことがあります。それは、これを無視して商標を使い続けていると、商標権侵害になるリスクがあることです。この4条1項11号を理由とする拒絶理由通知を受け取っているということは、他の人の登録商標と似ている商標だと言われているわけですから、その商標を使うということは商標権侵害で訴えられるリスクがあるということになります。

ですから、この拒絶理由で商標登録を諦めるときは、その商標を使うこと自体もやめた方が良い場合が多いです。

意見書と補正で対応しきれないない場合は、新たな商標を出願することを検討しましょう。商標は変えなければならなくなりますが、必要な商品・サービスの範囲で権利を得ることができるからです。

②3条1項3号(商標に特徴がない)

消費者がその商標を見たときに「あの会社の商品ね」とわかるように、商標は消費者が商品やサービスを区別するときの目印のようなものです。ですので、特徴がなくて目印にならないようなものは商標登録することができません。そもそも商標としての役割を果たすことができないからです。

そのような内容の拒絶理由通知を受け取った場合は、以下の対応がおススメです。

  1. 意見書で反論する
  2. 新たに商標を出願する
  3. 放置する

この拒絶理由は、重要な「指定商品・指定役務」も含めてNGと言われることが多いため、意見書で真っ向から反論が必要となることが多いです。

もっとも、意見書による真っ向反論の難易度は高いです。こちらが有利になるような証拠を集めて、論理的かつ客観的に反論していけるかがポイントになります。

意見書の具体的な書き方が知りたい場合は、こちらの記事もご覧ください。

商標の意見書とは?具体的な書き方から記載例までプロがご紹介!

意見書での反論が難しい場合は、商標を少し変えて新たに出願することも有効です。

商標の効果的な変え方の一つに「何か特徴的なネーミングを付け足す」という方法があります。たとえば、「クラウドテック」の商標について特徴がないと言われている場合は、「Toreru」を付け足して「Toreru クラウドテック」とするなどです。

この形で登録になった場合、「クラウドテック」部分について独占的に使えるわけではありませんが、「Toreru クラウドテック」全体としては独占使用できます。「Toreru クラウドテック」全体のネーミングに価値が出るような営業努力は必要になりますが、これも一つの選択肢です。

また、拒絶理由に対応せず、放置することもアリです。なぜなら、ある意味「商標に特徴がない」と特許庁からお墨付きがもらえたようなものなので、他の人が「クラウドテック」で出願しても、同じように商標登録できない可能性がとても高いからです。

自分も他の人も登録できないなら、「クラウドテック」の名称をただ使う分には誰かから権利侵害だといわれてしまうリスクは低い=安全に使えるという理屈です。

③4条1項16号(その商標と商品・役務の組み合わせだと消費者が勘違いする可能性がある)

この拒絶理由は、消費者がある商標を見たときに、その商標が使われた商品・サービスの内容や品質などについて、実際とは異なる理解をしてしまうおそれがある商標の登録は認めないというものです。

おすすめ対応方法は、「補正書で権利を削除・縮小する」です。

たとえば、商標「大阪ABCたこ焼き」で、それが使用されている商品が「たこ焼き」である場合、この商標に接した消費者はどう思うでしょう。

商標「大阪ABCたこ焼き」と書いてあるのだから、大阪に関係あるたこ焼きなのかなと思うのではないでしょうか。

 

たこ焼きの画像

 

しかし、指定商品に「たこ焼き」と書いた場合、これには概念上「東京産のたこ焼き」も含まれます。

もし東京産なのに「大阪ABCたこ焼き」というネーミングをつけると、消費者が「東京なの?大阪なの?」と混乱してしまいます。ですから、このように消費者を誤解させるような商標登録は認められないことがあるのです。

ではどうすればいいかといいますと、指定商品「たこ焼き」を「大阪産のたこ焼き」に縮小する補正をします。

指定商品を「大阪産」に限定してしまえばいいということです。そうすれば、消費者が勘違いすることがなくなりますので、この拒絶理由は解決します。

④3条1項柱書(商品・役務を指定しすぎて本当にその範囲で商標を使用するか疑わしい)

商標法は、出願するときには実際に使用していない商標であっても、使用する意思がきちんとあるならば、それで登録を認めることになっています。ですので、どうしても広範囲の商品やサービスを指定しがちになります。

これを防ぐため、指定する商品・サービス範囲が広すぎる場合には、機械的にこの拒絶理由通知が来るようになっています。

おススメの対応方法は以下の2つです。

  1. 意見書で反論する(事業計画書を提出する)
  2. 補正書で権利を削除・縮小する

一つは、本当にその範囲で商標を使用する意思があることを宣誓書や事業計画書を意見書に添えて反論する方法があります。

もう一つは、使用する商品やサービスをもう一度よく考えてみて、「これはいらないな」と思った指定商品・指定役務は補正書で削除する方法です。

どちらも成功率はかなり高いので、対応方法の知識がある方は諦めないで拒絶理由の解決を目指しましょう。

⑤6条(区分、商品・役務の書き方に不明点がある)

商標法では、出願するときの書類(願書)の書き方について「こうしなさい」というきまりがあります。その一つに、指定する商品やサービスは決められたルールどおりに書かなければいけない、というものがあります。このとおりに書かなかった場合は、この拒絶理由が通知されます。

この場合の対応方法は「補正書で商品・役務の書き方を修正する」ことです。

商品・役務の書き方を決められたとおりの書き方に直します。正しい書き方はこちらで調べると良いでしょう。

 

商品・役務の調べ方1

 

商品・役務の調べ方2

 

商品・役務の調べ方3

6. 拒絶理由の対応期間の延長について

拒絶理由の対応期間は、通常は40日ですが、延長することもできます。

ただし、印紙代4,200円(2ヶ月延長の場合)がかかります。最大で3ヶ月の延長をすることができますので、時間が足りない場合は延長しましょう。

資料集めや検討が不十分で、説得力に欠けた意見書を提出してしまったり、慌てて誤った対応をしてしまわないように、対応の準備に充分な時間をかけることも大切です。

<関連リンク>

特許庁HP:特許出願及び商標登録出願における拒絶理由通知の応答期間の延長に関する運用の変更について(平成28年4月1日開始)

まとめ

絶理由通知を受け取った場合、焦らず、慌てず以下の5つの対応方法を検討しましょう。

  1. 意見書の提出
    意見書で反論して、審査官の判断をこちらに有利にひっくり返す
  2. 補正書の提出
    指定商品・指定役務を削除・縮小して、拒絶理由を克服する
  3. 意見書+補正書
    反論できるところは反論し、それが難しいところは削除・縮小補正で拒絶理由を克服する
  4. 新たな出願を試みる
    反論や補正では解決が難しい場合、新たな商標での出願を検討
  5. 放置する
    商標権を取得する必要がなくなった、取得しなくても使用できることがわかった等の場合、放置して余計な費用を使わないようにする

どのような対応方法を選択するかと併せて、あるいはその検討のために、弁理士からコメントをもらうことをおススメします。

拒絶理由通知への対応には、専門家でないとわからないツボやテクニックがあります。

重要な商標についての出願であれば、弁理士の知識や経験を大いに活用し、できるだけ有利な形で商標の権利をゲットしましょう!

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