中国で「横取り商標登録」が絶えない理由と対策。

中国で商標トラブル発生!と聞くと、「またか」と思われる方も多いのではないでしょうか。

2019年12月に、『無印良品』をめぐる商標訴訟で、日本の(株)良品計画が中国企業に敗訴し、賠償金1000万円を支払う判決が下ったというニュースがありました。

無印良品本家、中国で「無印良品」の商標権侵害により損害賠償と謝罪を命じられる(栗原潔) – Yahoo!ニュース

勝訴した中国企業は、北京で「無印良品/Natural Mill」という、日本の無印良品をコピーした模倣店舗を運営しており、良品計画とは20年近く商標紛争を続けています。

「無印良品」の問題以外でも、「フルタ製菓が7年がかりで中国企業からFURUTA商標を取り返した」とか、「青森、岡山など日本の地名が、勝手に中国で商標登録されている」とか、中国における商標トラブルは後を絶ちません。

「商標パクった」中国企業との7年戦争 フルタ製菓、アウェーの法廷で大逆転勝訴(弁護士ドットコム)

それにしても、何故これほど中国で商標トラブルが起こるのか?また、どうトラブルに備え、対処すればよいのでしょうか。本記事では、現役弁理士がその理由と対策を詳しく解説します。

 

1、「横取り商標」とは何なのか

「横取り商標」は、専門用語では「冒認商標」と呼ばれ、以下のように定義されています。

正当な権利を有しない他者によって出願・登録された商標

海外における商標の抜け駆け出願(冒認商標)対策 (特許庁ホームページより)

ただ、何をもって「正当な権利を有しない」といえるかは意外に難しい問題です。

例えば、Toreru 商標検索で「オリンピック」を検索してみたところ、(株)元廣が、“ 糸(23類) ” を指定商品として商標登録していました。

 

東京オリンピックの7年前に出願された商標で、「オリンピックにあやかる意図」が出願当時にあったかは不明ですが、(株)元廣は繊維のグローバル商社であり、IOCやJOCとはまったく関係がなさそうです。

そうすると、(株)元廣には『オリンピック』を商標出願したことに「正当な権利」がなさそうですが、実際には登録は認められ、今でも毛糸玉に『オリンピック』商標が使用されています。
 

 実際の商品への使用例 (Amazon販売ページより)

ここで押さえておきたいのは、「商標は早いもの勝ち」という基本ルールです。

IOCやJOCといったオリンピックの運営サイドが、商標権の確保に本腰を入れだしたのは1990年代であり、それまではほとんど登録手続を行っておりませんでした。

結果80年代までは多くの企業が『オリンピック』関連商標を自由に出願・登録して使用しており、IOC・JOCは個別交渉を行って、コツコツと商標を取り戻したそうです。

現在では、その努力の甲斐があり、日本では『オリンピック』を含む商標を第三者が出願しても、「公益に関する事業かつ非営利の著名標章」だとして、特許庁の審査で拒絶されるようになりました。

商標法4条1項6号(国、地方公共団体等の著名な商標)

国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標


このような歴史を見ていると、横取り商標登録(冒認商標)問題は、出願人が悪いやつかどうかを論じる以前に、そもそも「ブランド育成・保護などの努力を通じ、そもそも正当な権利が誰かの元に存在していたのか?」を見極める必要があります。

最近、話題になることが多い「横取り商標」問題は、日本にさまざまなブランド価値があり、本来、その価値を独占させるべき「正当な権利者」がいるからこそ、起こるトラブルといえるでしょう。

 

2、「横取り商標」が中国で出やすい理由

それにしても「横取り商標」に係わるトラブルは中国でばかり耳にします。一体なぜでしょうか?中国特有のものとして、3つの理由が挙げられます。順番に見ていきましょう。

(1)安くてカンタンな商標出願
(2)人気の日本ブランド
(3)外国商標の保護が不十分

 

(1)安くてカンタンな商標出願

まず、中国の商標出願は、日本と比べてどれくらいの件数があるのでしょうか。2019年のデータで比較してみました。

 

中国の商標出願件数は日本の41倍と、大きな開きがあります。ただ、中国の人口は約13.9億人ですから、単純に出願件数だけを比較するのはフェアではありません。そこで、商標1件あたりのそれぞれの国の人口も比較してみました。

 

商標1件あたりの人口で比較してみても、中国は日本の3.6倍も活発に商標出願がされているといえます。理由を調べると、「オンライン出願の普及」にその秘密がありそうです。

 

以前、中国の商標出願は、中国商標局に対し紙の出願書類を提出する必要があり、出願代理費用の相場は1件2000元~(約3万円~)といったところでした。

ただ、オンライン出願が中国商標局で導入され、中国最大手のクラウドソーシングサービス『猪八戒』が、安価に出願代行を請け負うようになってからは、相場も下がり、今では代理機構を通しても1000元(約1.5万円)ぐらいで商標出願できるようになっています。

中国におけるオンライン出願の普及率はとても高く、2020年1~6月では出願件数の97.6%がオンライン出願というデータがあります。(中国  IPRdailyより) 

さらに、新しい動きとしてアリババ社が「AIによる商標登録サービスを提供」というニュースが2020年4月に報じられました。(中国 環球時報より)

アリババ社が提供するのはユーザーがキーワードを入力するだけで、業界のブランド動向を元に、AIが100パターンの商標サンプルを作成し、提案してくれるサービスということです。ユーザーは提示された選択肢から気に入った商標を選び、出願を依頼すれば良いだけです。

オンラインで安く・カンタンに商標を出願できるだけでなく、それ以前の「商標を作る」過程までも自動化さていく・・・今後、ますます中国の商標出願件数は増えそうです。

 

(2)人気の日本ブランド

次に見逃せないのは、日本ブランドに対し、中国では一般にクリーンなイメージがあることです。

中国の経済発展に伴い、消費者の目も肥えて日本ブランドなら何でも売れるという時代は終わりを迎えましたが、さまざまな日本企業の努力により、日本ブランド全般には「高品質、安心、安全」という良いイメージが根付いています。

特に、化粧品・食品・衛生用品といったジャンルでは「日本製なら安心・安全」という期待が大きく、訪日旅行客がお土産としてまとめ買いする光景もよく見られました。

アリババ社が運営する中国最大手の電子ショッピングモール『天猫(Tmall)』では、さまざまな日本企業がオフィシャルショップを開店し、中国ユーザーを取り込んでいます。

  

花王 CurelブランドのTmall オフィシャル店舗より

 

Tmallは法人しか出店できず、出店に至るまでの審査も厳しい特徴があるのですが、これに対してアリババ社が運営する一般向けショッピングモール『淘宝網(タオバオワン)』であれば、個人名義で出店でき、カンタンにビジネスを始められます。

淘宝網の自社ショップで日本商品を取り扱う際に、他との競争に勝とうとして「自分の名義で商標を登録し、他の輸入業者に対し優位に立とう」とする事業者も出てきます。

また、中国でまだ知られていない新しい日本ブランドを、いち早く中国で広げ、ビジネスチャンスを掴もうとする事業者も多いです。
正規に契約を結び、日本から買い付けてくれれば問題ないのですが、「中国でまだビジネス展開されていないなら、日本のブランドオーナーにお願いするまでもなく、自分で勝手にそのブランドを立ち上げてしまえば良いのでは?」という不心得者も出てきます。

このように、日本ブランドの「高品質・安心・安全」という良いイメージが、横取り商標登録者に狙われる動機を生み出しているのです。

 

(3)外国商標の保護が不十分

さらなる要因として、中国商標法上の課題もあります。

商標の基本ルールには、「早い者勝ち」のほかに『属地主義』があります。属地主義とは、商標権などの知的財産権の効力は、その権利を認めた国の範囲内でのみ保護されるというルールで、世界的な原則になっています。

属地主義を基本ルールにしておかなければ、例えば「ブラジルで登録された商標権により、日本でその商標を使用したビジネスができなくなる」などの不都合が生じてしまうためで、ビジネスを行う国ごとにあらかじめ商標登録を行うのが原則です。

ただ、インターネットや物流の発展により、世界中どこでもビジネスが繋がるようになった現代で、全ての国で商標登録しておけというのもなかなか無理がある話です。

そこで、救済措置として、日本の商標法では「外国における周知商標と同一・類似であって、不正の目的をもって使用する」商標を拒絶理由とする規定を設け、多少なりともバランスを取ろうとしています。

商標法4条1項19号(他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもつて使用をする商標)

他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)

 

これに対し、中国商標法では「外国における周知商標であって、不正の目的で使用する」商標出願を拒絶するような規定はありません。

実際には、2019年4月の中国商標法改正にあたり、同様の規定を盛り込んでほしいという各国からの要望があったのですが、反映されず、「使用を目的としない悪意による商標登録出願を拒絶する」(中国商標法4条)という規定が加えられただけに留まりました。

改正が見送られた理由は、大量の商標出願がある中国において、外国で周知な商標かどうか、さらには他人に損害を与える目的などの「不正な目的」を有しているかどうかを審査するのは現実的に無理という判断があったためと考えられます。

「外国における周知商標を未登録でも一定の条件下で保護する」という規定が改正で盛り込まれなかったのは、日本ブランドにとって残念なことで、今後も中国の「横取り商標登録」問題は継続することになりそうです。

 

3、現実的な対策は?

「横取り商標登録」が中国で多発する原因を探ってきましたが、ではどのように対処していければ良いのでしょうか。

大きく分けて、3つの対応策があります。順番に解説していきます。

(1)先に出す
(2)無効化する
(3)名称変更する


(1)先に出す

「商標は早い者勝ち」、「商標権の効果はその国でしか及ばない」という世界的なルールがある以上、最大の防御手段は、あらかじめ中国で商標出願をしておくことです。特許庁のHPでも以下のように説明されています:

・日本で登録している商標でも、外国で使用すると、その国にある商標権を侵害する可能性があります。

・また、日本で有名な商標でも、そのことをもって他人による外国での商標登録を防ぐことはできません。

・インターネットによる情報収集が活発な現代では、外国で自身の商標が他人によって先取りされ、その結果、海外進出の妨げとなるリスクもあります。

このような冒認商標に対抗するには、何よりも海外で先に商標登録しておくことが大切です。

海外における商標の抜け駆け出願(冒認商標)対策(特許庁ホームページ)

 

先ほど紹介した通り、中国ではオンライン商標出願が普及しており、中国商標局に支払う出願手数料は270元(約4500円)/件と低額なので、後は代理人の手数料次第となります。(中国以外の出願人は直接出願ができず、必ず中国代理人を通す必要があります)

具体的には、① 日本の商標事務所や商標コンサルティング会社を通し、中国の出願代理人に頼む方法、② 中国の出願代理人に直接依頼する方法があります。

①は、日本語でサービスの説明やフォローが受けられ、安心感が高いですが日本・中国2つの代理人費用がかかるので、手数料が高くなる傾向があります。(出願~登録までの総額で10万円前後)。

②は、日本の代理人手数料がかからないので、①より価格が抑えられる(5万円前後)ことが多いですが、一方で英語・中国語でのコミュニケーションになったり、出願前に十分なやり取りが行えず、出願が拒絶されたときの対応でトラブルになったりすることがあり、注意が必要です。

中国出願に経験がなければ、①にするか、②でも日本語対応可能なスタッフがいたり、日本企業のクライアントを多数抱えている日本向け商標事務所に依頼するのが良いでしょう。

ご参考まで、①、②どちらにも使える、良い代理人選びのチェックポイントを挙げておきます。

 

  • 事前に登録可能性について商標調査を行ってくれるか?
  • その商標が拒絶されるリスク、克服可能性、最大かかるコストの説明があるか?
  • 中国独自の指定商品・区分について、詳しく相談に乗ってくれるか?
  • 実際に手続きを行う中国側の代理人に十分な経験・ノウハウがあるか?
     (年間の代理件数や、大企業のクライアントがいるかで推測可能)
  • レスポンスが早く、何かあった時に日本語で十分な説明が受けられるか?

 

特に、中国の商標出願においては、ストレートに登録ができずに拒絶通知が来てその対応に予想外の費用がかかるケース、類似商標が存在していて、そのまま出願しても実際には登録可能性がほとんどない場合がありますので、出願前の調査は必ず行ったほうが良いでしょう。

また、日本の指定商品を単純に中国語に翻訳しただけでは、十分な保護にならなかったり、そもそも中国では「小売」役務の指定ができなかったりという日中の違いがあるため、出願すべき区分・指定商品について、十分にアドバイスしてくれる代理人選びが大切です。

なお、「自分で商標出願するのは面倒だな・・」と考えて、中国での販売代理店やエージェントに中国での商標出願を任せようとする方がいるのですが、これは避けた方が良く、もし代理店に協力してもらうとしても、絶対に『日本の自社名義』で商標登録を行うべきです。

なぜなら、販売代理店名義での商標登録を認めてしまうと、ライセンス関係のコントロールが効かなくなり、関係が悪化した時に中国ビジネス全体を持っていかれてしまうリスクが生じます。販売代理店との契約書にも、「無断で関連する商標登録を行わないこと」という一文を盛り込んでおくことをおすすめします。

最後に、特許庁が中小企業の方向けに、外国出願費用の半額補助が受けられる支援事業を行っており、該当する方は活用すると大変お得です。

外国出願に要する費用の半額を補助します | 経済産業省 特許庁

 

(2)無効化する

事前調査で「横取り商標登録」が見つかってしまった場合・・・どうしたら良いのでしょうか?中国商標法では、いくつかの対抗手段があります。

① 異議申立:商標局の審査が終わり、登録が認められて公告された日から3ヶ月以内
② 無効宣告請求:通常は、商標登録が許可されたあと、5年以内
③ 不使用取消審判:商標登録されてから3年以降

①の公告タイミングで「横取り商標登録」に気が付くのはなかなか難しいのですが、中国商標公告のウォッチングサービスに加入することで、事前に防止できるチャンスがあります。

ただ、商標登録すれば、同一・類似の商標が中国商標局の審査で拒絶されるようになりますので、ウォッチングよりまずは中国で商標登録を行うことが先でしょう。

 

②の無効宣告請求は、法律上、さまざまな無効理由があるのですが、一般的な日本企業のケースで使えそうなものは限られています。利用可能性が高い3つを紹介します。

A    既存の他人の権利を侵害する出願(中国商標法 32 条前段)
B    他人が先に使用している一定の影響力がある商標を、
  不正な手段で登録しようとする出願(中国商標法 32 条後段)
C   使用を目的としない悪意による出願 (中国商標法4条)

Aの「既存の他人の権利」には、著作権・特許権・意匠権・商号権・肖像権などが該当します。ただ、中国において「横取り商標出願」された以前にこれらの権利が発生していなければならないので、中国でビジネスを開始しておらず、各種知的財産権の出願も行っていない場合、Aの主張は困難です。

ただ、比較的可能性があるのは『著作権』に基づく主張です。『著作権』は、登録せずとも創作しただけで発生する権利であり、さらに日本・中国ともにベルヌ条約に加盟しているため、日本で著作権が発生すれば、自動的に中国でも保護を受けることができます。

著作権の保護対象になる著作物は、アニメやゆるキャラといったキャラクターイラストが典型的ですが、ロゴマークに著作物性を認めた中国の判決もありますので、もしロゴデザインが「横取り商標登録」された場合は、32条に基づく主張を検討すると良いでしょう。

 


Bに関しては、「他人が先に使用」した地域が重要なのですが、中国の商標実務では「中国国内での使用に限られる」とされています。

日本で商標の知名度が高くブランド価値が高まっていても、「中国国内」において消費者に一定程度知られていなければ、Bによる保護対象にはならないのが難しいところです。

また、一定の影響力があったかどうかは、「横取り商標」の出願日を基準として判断されるため、過去にさかのぼった証拠収集も必要となります。具体的には、中国国内での宣伝広告や、流通実績などが求められますので、提出できる資料があるか確認が必要です。

 

Cの「使用を目的としない悪意による出願」は、中国で問題になっている「転売目的で大量に商標登録する業者」などを排除する目的で、2019年改正で加えられました。

中国では、商標そのものの売買が一般化しており、商標を売りたい・買いたい人向けの取引サイトがいくつもあるのですが、実際に商標を使っていないのにかかわらず、取引サイトで高値で売り出している証拠が見つかれば、4条の「使用を目的としない悪意による商標登録出願」だとして、無効宣告の申立をすることが可能です。

 

http://k-biao.net/ 中国の商標取引プラットフォームの一例

 

このような取引サイトを実際に検索してみて、「横取り商標出願」の出願人の悪意を証明できないか、調べることも有効でしょう。

その他の無効理由は、以下のリーフレットにわかりやすくまとまっています。
また、商標法改正前ではありますが、より詳しい対策マニュアルも公開されており、実際にトラブルに巻き込まれたときの参考になります。 

特許庁 冒 認 出 願 対 策 リ ー フ レ ッ ト
中国商標権冒認出願 対策マニュアル 2009 年改訂増補版

 

③の不使用取消審判は、相手が積極的に商標を使おうとしていない場合、最も有効な手段です。

商標が登録されてから3年間が経過しないと利用できないのですが、「実際に商標を使用していたこと」の立証を、登録者側が行うことになっており、申立側の負担が小さいです。

「商標の使用」の範囲はかなり広く、他人に登録商標の使用をさせたり、商標を商品のパッケージ、広告宣伝などに使ったりするだけでも使用実績として認められてしまう弱点はあるのですが、インターネット検索などでも商標権者が使用している様子がない場合は、チャレンジする価値があるでしょう。

なお、不使用取消審判が成功しても、再度出願されてしまうと元も子もありませんので、申立とセットで商標出願も行うべきです。

 


 

①~③のどの手段が活用できるかは、ケースバイケースですが、やはり一度登録が認められてしまうと、権利を取り消すのはハードルが高いです。自分のビジネスに抵触しかねない「横取り商標」が見つかった場合は、上記を踏まえつつ、専門家に相談するのが良いでしょう。

最後に、特許庁では中小企業の方向けに、「横取り商標登録」対策費用の3分の2の補助が受けられる支援事業も行っています。ただ、支援の適用決定後に発生した費用しか補助金がおりませんので、まずはジェトロの相談窓口に連絡してみることをお勧めします。

冒認商標を取り消すための費用を支援します | 経済産業省 特許庁 

 

(3)名称変更する

事前の出願もしていなかった、取消できるかも検討したが、どうも条件を満たさない・・そんな時に取るべき手段は、「名称変更」です。

自分で育てたブランドを勝手に横取り出願され、打ち手が見つからずに名称変更をするのは非常に悔しいと思います。特に、相手がその商標を使用し、無断でビジネスを進めている場合はなおさらです。

ただ、「横取り商標登録」に負け、中国での展開を諦めるというのはもっと苦々しいことです。もし、自社の商品・サービスに自信があり、中国のユーザーが支持してくれるなら、名称変更してでも中国展開をすることで、新たなビジネスチャンスを掴むことも可能です。

この点、良品計画のケースが参考になり、商標権の訴訟で敗訴した部分について、名称変更をうまく活用してビジネスを継続しています。

現時点で、日本の無印良品は「天猫(Tmall)」で開設している「無印良品MUJI公式旗艦店」と中国大陸の実体店舗が声明を発表し、カバン、シューズ、家具類のソファ、寝具、織物のペンケースやデスクマットの商標は、「無印良品MUJI」から「MUJI」へ名称変更しているという。

「無印良品」の商標訴訟、良品計画が敗訴 中国 (AFPニュースより)

近年の良品計画は、『MUJI / 無印良品』をコーポレートロゴとしており、『MUJI HOTEL』、『MUJI BOOKS』などの『無印良品』をロゴに使用しないブランド展開も進めているので、この表記変更はユーザーにとってもあまり違和感がありません。

 

無印良品 上海基幹店でのロゴ使用(良品計画 店舗紹介オフィシャルページより

 

名称変更をするといっても、何もこれまでのブランドと無関係の名称にする必要はないのです。『無印良品』があえて『MUJI』とだけ表記することで商標権侵害を回避しているように、元々のブランド価値を活かす名称にすれば、ダメージを最小限にすることが可能です。

なお、名称変更した名前でさらなる商標紛争に巻き込まれる・・なんてケースもありますので、この方法を採る場合は、必ず中国での商標調査&出願を行い、登録が認められてから使用を開始することをお勧めします。

 

4、おわりに

最後に、本記事の内容についてまとめます。

  • そもそも商標は「早い者勝ち」であり、もし「正当な権利」が日本であったとしても、中国において一定の知名度や影響力がないと、ほとんどのケースで横取り登録が無効とは認められない。
  • 中国の「横取り商標登録」の多さは、商標出願のしやすさ・日本ブランドのクリーンイメージ・法律上の課題などのさまざまな要因があるが、一時的なものではなく、今後も問題は継続すると考えられる。
  • 中国での販売・サービス展開の可能性があるのなら、中国でも早期に商標出願しておくのが安全。先に出願されてしまい、無効化が困難である場合は名称変更も検討する。  
    ※ 当面、中国でビジネスしないなら、不使用取消審判ができるタイミングまで放置もアリ。

「横取り商標登録」をやられると非常に苦々しい気持ちになりますが、先に登録されたことだけでは大きなビジネス上のリスクにならないことが多いです。名称変更や、異議申立、個別交渉などの打ち手があり、自分で対応策を選択できるからです。

一方、商標を調査せず中国で商品を販売した際に、すでにその名称が他人に商標登録されており、知らずに警告状送付などを受けた場合は、大きな被害が出る可能性があります。今さら名前を変えることができない状況だと、お互いに「自分こそが正当な権利者」だと、泥沼の闘いになるからです。

「早い者勝ち」の商標の世界で、最大の防衛手段はやはり『出願』。中国でもビジネス展開の予定があるときは、商標調査・商標出願を前もって行うことをお勧めします。

 

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