商標登録で拒絶査定が来たらどうすればいい?拒絶査定不服審判のフローや費用も解説

出願した商標に拒絶査定が来てしまった。ショック…!でも、商標登録を諦めるのはまだ早いかもしれません。

本記事では「拒絶査定とは」や、拒絶査定が来た後の対応「拒絶査定不服審判」について、詳しく解説します。

1. 商標の拒絶査定とは

拒絶査定とは、商標登録出願の審査の最終段階で特許庁から「不合格(登録NG)」の決定が下ることです。

商標登録の審査で「不合格」になるときは、「拒絶理由通知 → 拒絶査定」のように2段階で通知される仕組みになっています。

引用:特許庁 2020年度 知的財産権制度入門テキスト 第4節 商標制度の概要(PDF:2,193KB)

「拒絶理由通知」とは、特許庁の審査でその商標が登録できない理由が見つかったときに、その内容を出願人に知らせるための通知です。

通知に書かれている応答期間中に、何も対応をしなかったり、意見書や補正書で対応をしても残念ながら拒絶理由の解消に至らなかった場合は、その商標は「拒絶査定」となります。

拒絶査定になるとこのような書面が特許庁から届きます。

2. 拒絶査定が来てもまだ商標登録のチャンスはある

拒絶査定には「商標登録をすることができません。」と書かれていますが、実はまだ商標登録のチャンスはあります。

「拒絶査定不服審判」という、審査結果(拒絶査定)に対してもう一度反論ができる手続きがあるのです!

拒絶査定不服審判は、裁判でたとえると上訴のようなものです。裁判で地裁判決を不服として高裁に上訴するように、特許庁の「審査部」の最終判断(拒絶査定)を不服として、審査部の上に位置する「審判部」にもう一度判断を仰ぐことができます。

実際に拒絶査定不服審判で「合格(登録OK)」に判断が覆ったケースもたくさんあります。あなたの商標も、登録を諦めるにはまだ早いかもしれません。

3. 商標の拒絶査定は3ヶ月で確定する

商標の拒絶査定は、拒絶査定謄本の到着後3ヶ月経過すると確定します。

確定した後は、もう「不合格」の結果を覆すことはできないため、拒絶査定不服審判で争うなら、3ヶ月以内に審判請求をしなければならない点に気を付けましょう。

4. 商標の拒絶査定不服審判の期間とフロー

期間

審判を請求できるのは、上述の通り拒絶査定の到着後3ヶ月以内です。

請求してから審決(結果通知)までにかかる期間は、2021年の特許庁データでは平均審理期間が9.2ヶ月となっています。(出典: 特許行政年次報告書 2022 年版

ただし、すぐに取り下げられたケースなども含まれた平均値なので、10~12ヶ月くらいはかかると考えておくのがよいでしょう。

フロー

拒絶査定不服審判のフローは、以下の通りです。

  • 拒絶理由通知が届く → 意見書・補正書 を出す(または何もしない)→ 拒絶査定 → 拒絶査定不服審判を請求する → 審決 

5. 商標の拒絶査定不服審判の費用

審判請求の際に特許庁に納める料金は、2022/8月現在のところ

  • 特許印紙代15,000円+(区分数×40,000円)

と定められています。

つまり、1区分で出願している商標の場合は15,000+40,000=55,000円、2区分の場合は15,000+80,000円=95,000円、3区分なら135,000円…という計算になります。(非課税です)

さらに、対応を弁理士に依頼する場合は弁理士へ支払う手数料も発生します。料金は各弁理士の設定によりますが、相場価格は以下の通りです。(出典: 弁理士の費用(報酬)アンケート

  • 約20万円(1区分の場合)
  • さらに成功時には約20万円ほどの成功報酬が上乗せされる場合もあり

なお Toreru では、拒絶査定不服審判の手数料は区分数にかかわらず55,000円(税込)で承っています。(※)

(※)2022/8月時点の料金です。また、現在は Toreru の有料サービス( Toreru 調査®︎・ Toreru 出願 )をご利用された商標に限りお手続きを承っております。

なかなかのコストですが、後述の通りチャレンジする価値は大いにあるので、ぜひ続きもお読みください・・・!

6. 商標の拒絶査定不服審判では反論と補正ができる

拒絶査定不服審判では、拒絶理由通知に対する「意見書」と同じように、拒絶査定の判断に対して文章で反論することができます。

意見書からさらにパワーアップさせた内容で反論することもありますし、意見書とまったく同じ内容で反論することもあります。意見書と同じ内容だったとしても、判断する人(管轄)が変わるので、結論が変わることもありえるのです。

こちらの記事もぜひご覧ください

商標の意見書とは?具体的な書き方から記載例までプロがご紹介!

また、指定商品・指定役務の内容を限定 or 削除する補正(修正)もできます。

指定商品・指定役務の一部だけに審査不合格の原因があるときは、その部分を削る補正をすれば、簡単に合格になります。一方で、削った部分は権利範囲から外れてしまうというデメリットもあります。

反論をするか、補正をするか、あるいはその両方をするか、どの方法を取るべきかを決めるには、商標制度や今回の不合格の理由について正確に理解したうえで、最適な手段を検討する必要があります。

加えて、補正で対応する場合は、外れる権利範囲が許容できるかについても十分に検討します。もし権利範囲を削ればクリアできる内容だとしても、その権利範囲がとても重要なものであれば、補正は行わずに反論でがんばるという戦略を取ることもあります

7. 商標の拒絶査定不服審判の勝率はどのくらいか

実際の個別案件の勝算はケースバイケースですが、参考として統計値をご紹介します。2021年に審決・決定に至った請求767件のうち、626件、つまり約80%に合格(登録OK)の審決が下されています。(出典: 特許行政年次報告書 2022 年版

ただし、この合格には、補正で指定商品・指定役務を削除して登録OKをもらったケースも含まれていますので、真っ向反論での勝率は平均60%くらいと思っておくと良さそうです。

60%と考えても、勝率は決して低くはないので、費用と時間はかかりますが大事な商標の場合はチャレンジする価値は大いにあると思います。

8. 拒絶査定不服審判の審判請求書

拒絶査定不服審判を請求したいときは「審判請求書」を特許庁に提出します。

審判請求書等の様式作成見本・書き方集はこちらの特許庁サイトからダウンロードできます。

 

万が一、審判請求書の形式に不備があった場合は、特許庁から「補正指令」が来ますが、これに対応しなかったり、対応しても不備が解消されない場合は審判請求自体が却下されるため気を付けましょう。

反論内容は、審判請求書の【請求の理由】の欄に記載します。反論には専門的な知見が必要ですので、上級者以外は弁理士に依頼することをおすすめします。

補正を行う場合は、審判請求書とあわせて「手続補正書」も提出します。

まとめ

最後にまとめです。

  1. 商標の拒絶査定とは、特許庁から「不合格(登録NG)」の決定が下ること
    1. 「拒絶理由通知 → 拒絶査定」の2段階で通知される
    2. 「拒絶理由通知」が来たときに何も対応をしないか、意見書や補正書で対応をしても残念ながら拒絶理由の解消に至らなかった場合に「拒絶査定」となる
  2. 拒絶査定が来ても「拒絶査定不服審判」という、審査結果(拒絶査定)に対してもう一度反論ができるチャンスがある
    1. 拒絶査定不服審判は、裁判でたとえると上訴のようなもの
  3. 商標の拒絶査定は3ヶ月で確定するので、「拒絶査定不服審判」は3ヶ月以内に行わなければならない
  4. 商標の拒絶査定不服審判の期間とフロー
    1. 期間:審判を請求できるのは拒絶査定の到着後3ヶ月以内。審判請求後~審決(結果通知)までは約10~12ヶ月の見込み。
    2. フロー:拒絶理由通知が届く → 意見書・補正書 を出す(または何もしない)→ 拒絶査定 → 拒絶査定不服審判を請求する → 審決 
  5. 商標の拒絶査定不服審判の費用
    1. 特許庁に納める費用:特許印紙代15,000円+(区分数×40,000円)
    2. 弁理士手数料の相場は1区分で約20万円。成功時にはさらに約20万円ほどの成功報酬が上乗せされる場合もあり。(出典: 弁理士の費用(報酬)アンケート)
      Toreru は、区分数にかかわらず手数料55,000円(税込)(※2022/08時点。また、現在は Toreru の有料サービス( Toreru 調査®︎・ Toreru 出願 )をご利用された商標に限りお手続きを承っております。)
  6. 商標の拒絶査定不服審判では反論補正ができる
    1. 商標制度や今回の不合格の理由について正確に理解したうえで、最適な手段を検討する必要がある
  7. 商標の拒絶査定不服審判の勝率はケースバイケースだが、2021年に審決・決定に至った請求のうち約80%に合格(登録OK)の審決が下されている(出典: 特許行政年次報告書 2022 年版)
    1. ただし補正で指定商品・指定役務の削除によって登録OKをもらったケースも含まれているため、真っ向反論での勝率は平均60%くらいと思っておくと良さそう
    2. 60%と考えても勝率は決して低くはないので、費用と時間はかかるがチャレンジする価値は大いにある
  8. 拒絶査定不服審判を請求したいときは「審判請求書」を特許庁に提出する。
    1. 審判請求書等の様式作成見本・書き方集は特許庁サイトからダウンロードできる(https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/general-sample_bill_sinpan.html
    2. 反論には専門的な知見が必要なので、上級者以外は弁理士に依頼するのがおすすめ

商標に拒絶査定が来ても、拒絶査定不服審判が成功すれば、大事な商標を登録させることができます。自分で行う場合でも、弁理士に任せる場合でも、ポイントを押さえて大事な商標を登録させましょう!

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