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祝!赤ちゃんパンダ誕生~商標情報から考察する命名劇~

はじめに

昨年6月、上野動物園にパンダの双子の赤ちゃんが誕生したことは記憶に新しいと思います。名前は暁暁(シャオシャオ)と蕾蕾(レイレイ)、1月12日から公開される予定です。

“上野動物園で双子のパンダが誕生するのは「シャオシャオ」と「レイレイ」が初めてで、動物園が名前を募集し、一般から寄せられた19万2712件の応募の中から選ばれました。

応募数の多かったオスとメス、それぞれの上位150件から、国内外のパンダの名前や、すでにあるキャラクターの名前などを除いて、オスは5つ、メスは6つに候補を絞り、選考委員会で審議したということです。”

リンク:NHK NEWS WEB 上野動物園 双子パンダの名前は 「シャオシャオ」「レイレイ」

さて、「安住紳一郎の日曜天国」というラジオ番組をご存知でしょうか。この番組には、日本でパンダが誕生すると、その名前を予想するという恒例行事があります。今回もパーソナリティの安住氏、中澤氏、そして精鋭リスナーたちによる予想合戦が繰り広げられました。

予想合戦の様子の一部は公式サイトにて配信されています。

リンク:放送後記&「パンダJAPAN 全滅です!」

今回の記事では、商標情報から推測されるお名前最終候補、そして上野動物園におけるパンダのお名前ブランディングについて語ってゆきます。

 

取下げられた出願〜もしかしたら最終候補?!〜

上野動物園のパンダの名前が商標登録されていることはご存知でしょうか?

上野動物園には現在5頭のパンダファミリーがいます。お父さんのリーリー、お母さんのシンシン、お姉さんのシャンシャン、そして生まれたばかりのシャオシャオ、レイレイ、そのすべての名前が商標登録されています。

上野動物園のパンダの名前には漢字二文字に中国語の読みがあてがわれています。たとえば「香香」と書いて「シャンシャン」。中国語の読みなので初見で読むのは難しいでしょう。そのような背景からか、漢字と読み仮名の両方が商標登録されています。

 

シャンシャンの商標情報
画像:特許情報プラットフォームJ-PlatPatより

ところで、特許情報プラットフォームJ-PlatPatでは、登録されている商標だけではなく、出願はしたものの途中で取下げられた商標も公開されています。

ここで、上野動物園が所属する「公益財団法人東京動物園協会」によって出願された商標登録出願を見てみると、興味深いことがわかりました。シャオシャオ、レイレイと同日に出願されたものの、途中で取下げられた商標があったのです。

なぜ複数のお名前候補が出願されているのか?何らかの不測の事態に備えて、複数の候補を出願しておくという戦略が推測できるでしょう。あるいは出願時点では候補を絞りきれていなかったか。

いずれにせよ、この取下げられた商標たちが最終候補まで残った精鋭たちであるという推測ができそうです。

先ほど紹介したニュース記事には、候補がオス・メスそれぞれ6つまで絞られ、その後選考委員会で審議された旨が書かれていましたが、公開された商標情報から推測される”更に絞られた”候補は、オス・メスそれぞれ4つ。

オスは、「シャオシャオ」「ジュンジュン」「ジャンジャン」「ダイダイ」の4つです。

 

パンダの名前候補と推測される商標登録出願(オス)
画像:特許情報プラットフォームJ-PlatPatより

メスは「リョンリョン」「レイレイ」「ミョンミョン」「ライライ」の4つです。

 

パンダの名前候補と推測される商標登録出願(メス)
画像:特許情報プラットフォームJ-PlatPatより

 

ここで注目いただきたいのが商標登録出願番号。商標登録出願には一つ一つ番号が付されるのですが、その並び順から更なる推測ができそうです。

同日に出願されたパンダのお名前候補の商標登録出願を若い順に並べると、前半4つがオスの名前、後半4つがメスの名前になります。

そして、オス・メスそれぞれの中での並び順ですが、どうやら五十音順や漢字の画数順では無さそうです。

 

では一体何の順番なのか。

オスの場合、実際に採用された「シャオシャオ」が筆頭に並んでいます。完全なる推測になりますが、これは商標登録出願時点における”最終候補内での順位”であると考えることができます。

メスの場合、筆頭に並ぶのは実際に採用された「レイレイ」ではなく「リョンリョン」です。上記の理論を当てはめると、商標登録出願時である9月下旬からお名前発表の10月初旬までの間「レイレイ」が順位を上げる逆転劇があったのでは?という推測をすることができます。その短い期間にいったいどのような議論があったのでしょうか。

そもそも、取下げられた商標登録出願が最終候補であるというのも、出願番号順が最終候補内での順位であるというのもあくまで推測です。ただ、こうやってああだこうだと言ってパンダの名前を考察するのが、にち10(「安住紳一郎の日曜天国」の略称)リスナーの楽しみなのです。にち10リスナーの末席に身を置く者として、筆者もそのように思います。

 

パンダのお名前ブランディング〜上野動物園へ視察に行ってみた〜

前項では上野動物園のパンダのお名前が商標登録されているということを紹介しました。では、商標登録されたお名前はどのように活用されているのでしょうか。それを確かめるため、筆者は上野動物園に向かいました。

動物園内の売店をのぞいてみると、そこには看板娘シャンシャンのグッズが溢れていました。ぬいぐるみ、アパレル、文具、カレンダー、お菓子、お茶など、ありとあらゆるグッズが店頭に並びます。

上野動物園の売店 パンダのぬいぐるみ

 

上野動物園の売店 パンダのキーホルダーなど

 

上野動物園の売店 シャンシャン印のティーセット
写真:パンダグッズが並ぶ上野動物園の売店

これらのグッズには「シャンシャン」「香香」と、上野の看板娘の名前がバッチリ書かれていました。そして沢山のお客さんがお土産を楽しそうに選んでいます。シャンシャンに会えた思い出を形に残すために。

筆者も香香(シャンシャン)印のクッキーを購入しました。缶にはもちろん、個包装の一つ一つにも、「香香」というお名前が書かれています。

 

上野動物園で購入したシャンシャン印のクッキー 缶

 

上野動物園で購入したシャンシャン印のクッキー 個包装
写真:上野動物園の売店で購入した香香(シャンシャン)印のクッキー

 

商標登録は何のため?~動物園、そしてパンダの未来を守るために~

なぜ、パンダの名前が商標登録されているのでしょうか?

それは第三者にパンダのお名前を商標登録されると、グッズ名にパンダのお名前を使うことや、グッズのパッケージにパンダのお名前をプリントすることができなくなるリスクがあるため。

上野の看板娘シャンシャンの名前を使えるか使えないかで、グッズの売上は変わってくるはず。実際、シャンシャン公開以降、売店の売上高は急増しています。

リンク:パンダノミクスが来た!潤う動物園 上野のグッズ売上高は7割増

“ 売店の売上高が急増しているのは、シャンシャンをあしらったグッズや食べ物が続々と発売されて、大人気になっているためだ。シャンシャンの生後10日目を再現したぬいぐるみ「ほんとの大きさパンダの仔284g」(2376円)は売り切れる日も珍しくない。ネットオークションでは定価の2倍でも売れている。”

グッズの売上は動物園の運営にとって生命線。シャンシャンたちパンダの名前が使えなくなるという事態は絶対に避けたいはずです。

また、上野動物園の売店およびオンラインショップでは、商品の売上の一部を、「ジャイアントパンダ保護サポート基金」に寄付する「パンダドネーション商品」を販売しています。その寄付金は、ジャイアントパンダの保護に関する普及啓発活動にも役立てられています。

リンク:東京動物園協会 ドネーション商品とは

シャンシャンのブランド力のおかげで急増したパンダグッズの売上が、パンダの未来を守る一端を担っているのです。

ちなみに、「ジャイアントパンダ保護サポート基金」のマークも商標登録されています。

 

ジャイアントパンダ保護サポート基金のマーク(SAVE the PANDA)商標 Toreru商標検索より
画像:Toreru商標検索より

寄付金を募るにあたり、関係のない第三者がパンダのマークを使ってお金を集めるという事態は避けなくてはなりません。そのため、商標登録によりしっかりと保護し、関係のない第三者に使わせないようにしているのでしょう。

 

店頭に掲げられたジャイアントパンダ保護サポート基金のマーク
写真:店頭に掲げられたジャイアントパンダ保護サポート基金のマーク

 

おわりに

会いに来た人を楽しませ、そのブランド力でグッズの売上に貢献、動物園の未来、ひいてはパンダの未来をも支える上野のパンダファミリー。これからはここに弟のシャオシャオと妹のレイレイが加わります。

 

シャオシャオとレイレイの誕生と命名を祝う垂れ幕

上野のパンダファミリーは、動物園の仲間たち、そしてパンダの未来のためにこれからも頑張ります。

 

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