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ワクワク感を演出!カルディコーヒーファームの知財ブランディングを探る

本記事は、「Toreruの日 2021 企画 思い入れブランド自由研究」リレーの第3弾です!

駅ナカやショッピングモールでカルディの看板を見つけると、ついつい立ち寄ってしまいませんか?

筆者はかなりの高確率で引き寄せられてしまいます。そして店に入ったが最後、棚を見るだけで帰れるわけはなく、いつの間にか会計を済ませ、お馴染みのあの紙袋を抱えています。

写真:天井まで連なった棚が特徴的な店内
写真:天井まで連なった棚が特徴的な店内

店内は天井まで連なった棚が特徴的です。この背の高い棚に囲まれていると、まるで迷路の中で宝探しをしているかのようなワクワク感が味わえます。何か素敵なモノに出会えるんじゃないか、そんな気がしてくるのです。

実はこの迷路のような店舗の内装、商標登録出願されています。

このことから店舗内装のデザインがブランディング上重要な立ち位置を占めることがうかがえますね。

本記事では、ネーミング、ビジュアルデザイン、店舗内装、そしてオリジナル商品といった様々な切り口からカルディの知財ブランディングを自由研究していきます。

1.「カルディ」という名前の由来は?

「カルディ」というネーミングは、コーヒーを発見したといわれているエチオピアのヤギ飼いの牧人カルディが由来となっています。カルディがコーヒーの実を食べたヤギが興奮状態になることに気づいたことから、コーヒーが発見されたといわれているのです。

カルディコーヒーファームについて

店名である「カルディコーヒーファーム」は「コーヒー及びココア、コーヒー豆、茶」を指定商品として2003年に商標登録されています。

画像:Toreru商標検索
画像:Toreru商標検索

さらに2016年8月には、様々な商品の小売サービスを指定役務としても商標登録されています。小売サービスの対象となる商品には、飲食料品だけでなく、雑貨類も含まれています。

おもに食料品を扱うカルディが、雑貨の小売サービスも指定役務として商標登録を行ったのはなぜでしょうか?

画像:カルディコーヒーファームオンラインストアより引用
画像:カルディコーヒーファームオンラインストアより引用

カルディでは、食料品だけでなく、コーヒードリッパーやタンブラー、キャニスターといったコーヒー周りの雑貨なども販売しています。幅広い商品を対象とした小売サービスを指定役務としたのは、このような雑貨類の販売に対応するためでしょう。

カルディの公式ページによれば、2016年は「カルディコーヒーファーム 函館蔦屋書店」がオープンした年です。今やTSUTAYAは本屋に留まらない総合小売業、同じくコーヒー販売業に留まらなくなったカルディとコラボしたのも、必然なのかもしれません。

カルディコーヒーファーム 沿革

2.紙袋でお馴染み?「ヤギべえ」のデザインブランディング

紙袋や店舗の装飾でお馴染みのあのデザインは、ヤギとヤギ飼いカルディを模したものです。こちらのデザインも商標登録されています。

画像:特許情報プラットフォームJ-PlatPatより引用
画像:特許情報プラットフォームJ-PlatPatより引用

指定商品・役務に着目しますと、飲食料品や雑貨等の小売サービスを指定役務とした商標登録はもちろん、紙製包装容器や紙袋、かばん類を指定商品とした商標登録もなされています。紙製品やかばん類を指定商品とした商標登録は、このデザインがプリントされたエコバッグや紙袋の販売に対応するためであると考えられます。

写真:エコバッグと紙バッグ
写真:エコバッグと紙バッグ

実はこの紙袋に描かれたヤギには「ヤギべえ」という名前があります。マニアの間では知られたキャラクターであり、グッズも発売されています。

jouer カルディのヤギには名前があった!マニアの間で人気の「ヤギべえ」を徹底調査

公式サイトによれば、2002年4月にイラストレーター・井上リエの手により「ヤギべえ」が誕生し、中目黒店の内装にも使用されたそうです。

「ヤギべえ」というネーミングは商標登録もされています。

画像:Toreru商標検索
画像:Toreru商標検索

そして、ヤギべえのグッズのデザインは意匠登録もされています。

画像:特許情報プラットフォームJ-PlatPatより引用
画像:特許情報プラットフォームJ-PlatPatより引用

こちらは出願書類に掲載された図面です。ヤギべえのぬいぐるみに収納できるエコバッグのようですね。

グッズの意匠登録が行われていることからも、ヤギべえを使ったブランディングに力を入れていることがうかがえます。

「ヤギべえ」のブランディングの上手なところは、あまり前面に打ち出しすぎていないところ。お店に何度も通い、エコバックや紙袋を使っているうちに「なんかこのヤギいつもいるな」とお客さんが認知し、何となく好きになったところで、エコバックやぬいぐるみも販売する・・。いつの間にか「ヤギべえ」といえばカルディだと刷り込まれていく。

商標・意匠がしっかり登録されている通り、カルディのブランディングでヤギべえは広告塔としての役割を期待され、実際に果たしているのです。

3.天井まで連なった棚が創り出す、独自のワクワク感

カルディの店舗には他の食料品店にはない独特さがあります。

まず陳列棚の背が非常に高く、まるで壁のようです。そして店舗入り口付近の頭上に設けられた円形の棚も特徴的。この円形の棚がトンネルのようになっており、店舗の内と外とを明確に区切っています。

トンネルや壁のような棚に囲まれていることで、まるで迷路の中で宝探しをしているようなワクワク感を楽しめるのです。

写真:天井まで連なった棚が特徴的な店内
写真:天井まで連なった棚が特徴的な店内

冒頭でも書いたとおり、カルディの店舗の内装は商標登録出願されています。(出願されたのは2021年3月、記事執筆時点である2021年10月では審査中です。)

画像:特許情報プラットフォームJ-PlatPatより引用
画像:特許情報プラットフォームJ-PlatPatより引用

こちらは出願書類に掲載された図面です。天井まで連なった棚、そして円形状の棚がトンネルのようになった部分も実際の店舗そのままにきちんと示されていますね。

このように店舗の外観を商標登録により守ろうとしているのは、カルディが店舗での体験を重要視しているためでしょう。

商標登録するとは、他社による模倣を防止したいということ。カルディといえば「壁やトンネルのように配置された棚がまるで迷路のようで、他にない」とお客さんが認識することで、店舗外観そのものがブランドになる。

さらには、店舗を単に買い物をする場だけではなく、ワクワクを感じられる場にしたいというカルディの想いも感じます。

4.人気のカルディオリジナル商品に迫る

輸入食品やコーヒーのイメージがあるカルディですが、近年はオリジナル商品の開発にも力を入れています。

インターネット上の「カルディの商品人気ランキング」ではオリジナル商品が上位に多数ランクインしています。

画像:みんなのランキング カルディの商品人気ランキング!みんながおすすめするKALDIの商品は? より引用
画像:みんなのランキング カルディの商品人気ランキング!みんながおすすめするKALDIの商品は? より引用

ランキング1位の「カルディ パンダ杏仁豆腐」のパッケージデザインは商標登録されていました。

画像:特許情報プラットフォームJ-PlatPatより引用
画像:特許情報プラットフォームJ-PlatPatより引用

お店でも一目で見つかる特徴的なパッケージ。かわいいパンダを杏仁豆腐に起用したのが人気の秘密ですから、しっかりと商標登録してマネされないようにしているのはさすがカルディです。

2位にランクインした「もへじ サラダの旨たれ」は、カルディを運営するキャメル珈琲グループが持つブランド「もへじ」の商品です。

写真:もへじ サラダの旨たれ
写真:もへじ サラダの旨たれ

輸入食品の販売からスタートしたカルディですが、近年は和食材の販売にも力をいれています。和食材を扱う「もへじ」ブランドからは、オリジナルの味噌や醤油、鍋つゆ、ドレッシングなど、魅力的な商品が次々と世に送り出されています。

「もへじ」のロゴも、もちろん商標登録されています。

画像:Toreru商標検索
画像:Toreru商標検索

オリジナル商品も商標登録で積極的に守っていることからは、輸入食品にとどまらず、様々なオリジナル商品も、いまや「カルディ」というブランドを支える立派な柱であることがうかがえます。

5.まとめ

遠くにカルディの看板が見えた時、店内の棚を見てまわっている時、あの紙袋を抱えて家路を急ぐ時、そして冷蔵庫からパンダの杏仁豆腐を取り出す時・・ カルディに関する様々な体験に付随して発生するワクワク感、これらがカルディの魅力であり、ブランドの力なのです。

今回の自由研究でこれらの体験に付随する知的財産の一つ一つがしっかりと保護され、ブランディングに繋がっていることがわかりました。

恐るべしカルディ。これからもあの看板を見かけたらついつい引き寄せられてしまうことでしょう。

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