Amazonセラー商標戦略部 ~ブランド登録のビジネスメリットと、商標取得のコツ~ 【随時更新】

Amazonセラー様必見!Amazonで商品を販売する際に知っておくべき、商標の注意点・商標登録のメリットをまとめています。

Toreru ではAmazonセラー様から商標に関するお問い合わせを受けることが非常に多く、所内で研究を進めてきました。

本記事では、『Amazonセラー商標戦略部』と題し、商標を『Amazonブランド登録』することのAmazonビジネス上のメリット、メリットを得るために必要な商標取得の注意点などにつき、実務に即して徹底的に解説していきます。

※ 2020年11月時点の情報です。新着情報があり次第、随時更新していきますので、Amazonセラーの方はブックマークをお勧めします。

 

1、はじめに~なぜAmazon社は「商標権者」を大事にするのか

世界最大のEC企業であるAmazon社は、巨大なマーケットを悪用しようとする模倣品業者にずっと悩まされています。2019年、Amazon社は、従業員8000人と5億ドル(約530億円)を模倣品対策に投入しました。

 

amazon

アマゾンが模倣品対策に本腰 専門チームを結成 | WWDJAPAN.comより

Amazon社の最終目的は「Amazonサイトに掲載される商品一覧に、模倣品を一切表示させない」ことだそうですが、実現のためには、「何が正規ブランドであり、誰が正規の権利者なのか」をAmazon社自身も把握する必要があります。

また、記事通りに8000人の従業員が模倣品対策を担当しているといっても、Amazon社は世界19ヶ国でサイトを運営しており、販売商品は何十億アイテムも存在します。とても人力だけで対策することは不可能でしょう。

そこで、Amazon社は「AIを活用した模倣品の自動検出システム」を導入しています。詳しい仕様は公開されていませんが、公式サイトのブログでは60億を超える疑わしい商品を自動的にブロックした実績があると説明しています。

ただ、AIは何の情報もなしに「疑わしい商品」を検知することができません。学習データとして特に有用なのは、「商標の権利者による模倣品の削除申告」だとされています。8000人の従業員にとっても模倣品の識別情報は有用です。

なのでAmazon社は、「模倣品の通報を正しく行ってくれる商標の権利者」を、模倣品を減らしていくためのパートナーとして求めています。

 

amazon 模倣品の通報 流れ

上は理想の流れなのですが、実際には商標権者みんながAmazonで模倣品の通報をしてくれる訳ではありません。「忙しくて手が回らない」、「申請が面倒」・・。

そこで、Amazon社は『Amazonブランド登録』というプロジェクトを用意しました。簡単に模倣品を通報できるツールを用意しただけにとどまらず、ブランド登録者にマーケティング上の特典も提供しています。

『Amazonブランド登録』を利用するためには、商標をあらかじめ登録していること(商標権者であること)が必須です※。商標権者にとりあえず加入してもらい、侵害の申告があればAIの学習データとして活用する。精度が高まったAIの自動巡回でAmazonサイト内の侵害品を減らし、クリーンにしていく。

Amazon社が目指す「健全なエコシステム」の実現のために、ブランド登録を行う商標権者は優遇されているのです。

※追加情報:2021/06/09現在の運用では、商標登録前の「出願中(審査中)」の状態でもAmazonブランド登録ができるとの情報を入手しています。今後も運用が変わる可能性はありますので、ご注意ください。

 

 

2.『Amazonブランド登録』の7つのメリット

『Amazonブランド登録( brand registry)』のメリットは、「マーケティング特典系」と、「相乗り&侵害対策系」に分けられます。多数のメリットがあるので、分類して表にまとめてみました。

 

amazonブランド登録のメリット

以上7点、中身をそれぞれ解説していきます。

 

<マーケティング特典系>

①「Amazonストアページ」の提供

『Amazonストアページ』とは、Amazon内で自分のブランド専用ページを作成し、自分のストアとして公開することができる機能です。

Amazon公式もこのストアページ機能を推しており、告知ページではいくつかのブランドによるストア制作例が掲載されています。

 

amazon ブランドストアの例

自分自身のAmazonストアを作成するメリットの第一は、Amazon内で「独自のブランドURL」が取得できることです。URLをTwitter、Facebookなどの自身のSNSで告知すれば、「ストア自体への顧客の囲いこみ」が図れます。

 

amazon 独自のブランドURL

Stores ~ブランドストアをAmazon.co.jpに作成しましょう~ (Amazon公式)より

もともと、「Amazonストアページ」はAmazonマーケティングサービス(AMS)の顧客に提供されているサービスなのですが、商標をブランド登録することで、AMSに登録していない出品者であってもセラーセントラルに「Amazonストア」機能が表示され、利用可能となります。

ストア作成は無料。あらかじめテンプレートも用意されており、画像や動画を貼ることもできます。ストア作成の手順は、以下の公式ページをご参照ください。

ストア – Amazon.comでブランドページを作成する(Amazon公式)

 

②「Amazonブランド分析(brand analytics)」の提供

 『Amazonブランド分析』とは、Amazon内で検索頻度が高いキーワードの一覧を調べたり、自分の商品と比較され、代わりに買われているライバル商品のデータを取得できる、Amazon公式の分析ツールです。

こちらも『Amazonブランド登録』しているユーザーのみに提供される機能ですが、無料というのが驚きの高機能ツールです。中でも特に使えそうな機能を2つ紹介します。

 A、Amazon検索用語レポート

 人気がある検索キーワードと検索頻度のランキング、検索した後に購入者がクリックした商品、さらには購入率を確認できます。

 使い方:自らの出品を人気の検索ワードに寄せたり、検索後に良く購入されている人気商品を研究したりできます。

 

 B、商品比較 / 代替購入レポート

 ブランド登録した自分の商品と競合するライバル商品(自分の商品と同日に閲覧され、さらには代わりに購入されている商品)のデータを確認できます。商品ごとに検索可能で、それぞれ上位5点のライバル商品が表示されます。

 使い方:直接的なライバル商品を知ることで、競合に勝てるよう価格を見直したり、紹介文をカスタマイズするなど、具体的な対抗策を導けます。

この2つ以外に、合わせ買いされた商品を確認できる「マーケットバスケットレポート」や、商品のリピート率を確認できる「リピート購入レポート」も提供されています。これらのレポートを活用することで、Amazonビジネスを最適化することができるでしょう。

参考リンク:ブランド分析 – Amazonセラーセントラル(Amazon公式)

 

③「スポンサーブランド広告 / スポンサーディスプレイ広告」が開放

 『スポンサーブランド広告』は、Amazon内でユーザーが商品を特定のキーワードで検索した際に、上部に表示される広告です。クリック課金制なのと、あらかじめ作っておいた自分のAmazonストアやランディングページに誘導できるのが特徴です。

 もう1つの『スポンサーディスプレイ広告』は、閲覧者ターゲティングや商品ターゲティングを利用し、Amazon内でも外でも、商品に関心が高いと見込まれるユーザーを狙い撃ちして表示できる広告です。

こちらもクリック課金制なのと、自社商品と関連性が高いAmazonの商品ページ(多くはライバル商品ページ)にも広告が表示されるので、顧客を自分の商品に誘導することが可能なのが魅力です。

広告プランの選択肢が広がれば、より自分の商品に合ったプロモーションを打つことができるでしょう。

参考リンク:スポンサーブランド広告 – ブランドの認知度を高めるのに役立つ(Amazon公式)

スポンサーディスプレイ広告 – ディスプレイ広告キャンペーンを作成する(Amazon公式)

 

④ 製品コードがなくてもカタログ作成可能

 Amazon.co.jpで販売する商品は原則としてJANコードなどの製品コードが付与されている必要があります。ただ、中国からの工場直輸入品など、製品コードを取得していない商品を販売したい場合もあるでしょう。

Amazonでは「製品コード免除申請」を行うことで、製品コードがない商品でも出品することが可能なのですが、「ノーブランド品」という扱いになり、ユーザーに価値を訴求しにくいです。

これに対し、あらかじめ自分の商標を『Amazonブランド登録』しておけば、製品コードがない状態でもカタログ作成が可能で、さらに自分のブランド名をカタログにも表示することが可能になります。

※ プライベートブランドを出品するには、別途、商品自体にブランド名が記載されたラベルが縫い付けられているか、ブランドタグが付与されているなどの要件があります。商品の種類によって異なりますので、詳しくはAmazonセラーセントラル内の「商品登録規約」を参照ください。

 

<相乗り&侵害対策系>

⑤ 商品カタログの編集権限をロック

 Amazonで新商品を出品しようとして商品カタログを作った場合に、他人が相乗りしてくることがあります。相乗り自体を排除できるかどうかは⑥で解説しますが、その前段階で、『Amazonブランド登録』を行った人にのみ編集権限が付与されるというメリットがあります。

「編集権限のロック」が行われると、相乗り出品者には商品ページの編集ができなくなるので、勝手に商品説明を書き替えられたり、商品のサイズ・仕様・セット内容などを書き換えられることがなくなります。

このロック機能はセラーセントラルにおける商品カタログ作成時にあらかじめブランド登録しておいた商標名を入力することで、効果を発揮します。

 

⑥ 使いやすい侵害通報ツール

 『Amazonブランド登録』のシステムにログインすると、「権利侵害を申告する」というフォームが使用できます。このフォームではAmazonの商品名やASINを検索することで、まとめて商標権侵害を申告可能です。

 

amazon 権利侵害を申告する

商標権の侵害が認められると、通常24時間以内(早ければ1時間程度)で侵害品は削除され、場合によっては侵害品の出品者にアカウント停止などのペナルティが課されます。


 

☆ 特別コラム1:商標登録でどこまで「相乗り出品」を排除できるのか?

Amazonでブランド登録した後、自分のブランド商品に対する「相乗り出品者」を侵害業者として通報し、排除したい方も多くいらっしゃるかと思います。

相乗り排除にどこまで応じるかはAmazonの運用・規約もだんだん変わってきているのですが、現在では

  • あらかじめ商標権が取得されている
  • 商品本体にその商標が刻印・印刷されている
  • 商品カタログで、商標が刻印・印刷された部分がわかる写真が掲載されている

という要件などで、削除に応じているようです。Amazonとしては、

「商品本体に商標が付与されているのであれば、その商品の販売は商標権侵害となる。
ただ一方、単にカタログに相乗りしただけでは商標権侵害とはいえず、商品そのものに商標権侵害が成立しているか判断する必要がある。」

と考えているとも推測されます。少なくとも、商標権の取得=そのブランドの相乗り排除を無条件で認める、という運用にはなっていないようです。

Amazonにおける削除申請の審査は担当者によって判断に幅があるとも言われており、「相乗り排除の要件」は我々も正確には把握できていないのが実情ですが、新たな情報が得られましたら更新いたします。


 

 

⑦ AIによる自動プロテクション

『AIによる自動プロテクション』とは、侵害品がAmazon販売ページに掲載される前の自動ブロック機能であり、ブランド登録を行うことで自動的に働き出します。

どの程度自動プロテクションが行われたどうかは権利者側が知ることができないのですが、⑥侵害通報を行うことでAIが侵害品の特徴を学習し、効果的に機能しだすとされています。

効果が見えにくい機能ですが、人気ブランドで模倣品が出てきた場合、頼れるガードマンとして活躍してくれるでしょう。

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 7つのメリットはどれも特徴的で、うまく活用することで強力な競合対策になります。商標を活かした「ビジネス上の優位性」の確保にもなりますので、ぜひ利用してみてください。

 

3、Amazon向け商標登録ではここに注意! ~ポイント3つ~

ここまでの話から、「自分も商標を取得し、『Amazonブランド登録』を使ってみようかな」と思われた方もいるでしょう。本項では、『Amazonブランド登録』との関係で気を付けるべき商標出願のポイントを紹介します。

<必ず抑えるべき、Amazon向け商標登録のポイント>

  • ① 他人の商標登録に注意!
  • ② 指定する区分に注意!
  • ③ 登録を急ぐなら早期審査!

順に解説していきましょう。

 

① 他人の商標登録に注意!

商標を登録するためには、特許庁による審査をクリアする必要があります。審査で引っかかる理由として最も多いのが、「すでに出願・登録されている他人の商標と類似するため、登録が認められない」というものです。

商標は出願後に、出願した文字やロゴを一切変更することができませんので、出願前の調査が重要になります。事前調査で微妙な類似商標が見つかった場合、ロゴのデザインを工夫したり、ブランド名を少し変えることで登録に導くことも可能ですので、必ず調査は行いましょう。

 

② 指定する区分に注意!

 商標を出願する際には、「その商標をどの商品・サービスに使用しようとするか」を指定する必要があります。Amazonブランド登録を目的に商標を登録する場合には、実際に取り扱う商品に対応した区分を選択する必要があります。

区分の例:モバイルバッテリー(9類)
     かばん(18類)
     洋服(25類)
     玩具(28類)

 

また、区分を選ぶだけでなく、出願の際にはさらに細かく「指定商品・サービス」を指定する必要もあります。自分がすでに販売している商品を選ぶだけでなく、将来的に販売したい商品や、当面販売はしなさそうだけど第三者の使用は防ぎたい商品も指定できますので、よく考えて選択することが大切です。

 


 

☆ 特別コラム2:とりあえず、35類「小売業」を指定しておけば大丈夫?

35類に「小売業」という区分があり、この区分を利用すれば「洋服の小売」と「かばんの小売」のように、複数区分の商品をまとめて1区分で出願することも可能です。

商標出願の費用は区分ごとにかかるため、出願費用を抑えるためには有効な手段なのですが、相乗りや侵害排除を商標登録の主な目的とする場合にはリスクがあります。

なぜなら、35類はあくまで「小売業」。販売ストア名をカバーするための区分であり、商品そのものの区分ではありません。

例えば、「ハイル」という名前のバッグを開発し、35類の「かばんの小売」だけで商標を登録、Amazonで販売していたとします。

「ハイル」バッグは人気になり、他人が「ハイル」の販売カタログに相乗りしてきました。相手が取り扱っているバッグ本体には「ハイル」のブランド名も印字しているようで、明らかな模倣品です。

もちろん排除したいのですが、あなたが商標登録しているのは「かばんの小売」についてのみ。35類の商標権の権利範囲は、18類の「かばん」そのものではなく、「ハイル」SHOPといったお店の名前に対してです。これでも相乗りを排除できるのでしょうか。

 

35類の商標権の権利範囲

 

実は、商標法には、「同一だけでなく、商品・役務間が類似すれば、類似の範囲も他人の使用を禁止できる」というルールがあります。「小売等役務(35類)」と「商品(1~34類)」との間で誤認混同が生じるおそれがあれば、35類の権利で、かばん商品(18類)への使用も差し止めできることになります。実店舗では、「小売等役務」と「商品」が類似すると認定されたケースが複数あります。

ただ、「Amazonの販売ページでも類似になるか」、裁判所で争われたケースはなく、類似・非類似どちらの判断になるか確実なことはいえない状況です。

Amazonは今のところ「登録されている商標が小売区分(35類)でも、商品そのものの区分(1~34類)でも、どちらでも侵害削除の申請に応じる」という運用なのですが、今後、「35類に基づく商品への削除は認めない」と運用が変わるリスクは残っています。

まとめると、35類のみの出願では、将来、Amazonで十分な侵害対策を採れなくなる可能性が存在します。安全を考えるなら、商品区分の出願をしておくと良いでしょう。


 

③ 急ぐなら早期審査!

 2020年12月現在、日本では登録された商標のみが「Amazonブランド登録」可能です。すなわち、商標出願中の段階ではまだブランド登録できません。

日本では、商標登録を目的としない大量出願者がいまだに活動していることもあり、今後も出願中の商標では、Amazonブランド登録が認められるようになる可能性は低いです。

ただ、商標を出願した場合、通常では約14か月審査期間(※2023年3月16日 追記: 現時点では約8ヶ月程度に短縮されています。)がかかります。これに2か月の公告期間を加えると、出願から16か月以上もブランド登録できないことになります。急いでいる場合には、時間がかかりすぎですよね。。

そこで解決策ですが、「早期審査」という制度があります。「早期審査」の要件を満たせば、何と審査期間が約3ヶ月に短縮可能です。

 

商標登録出願の審査期間

早期審査が認められるパターンはいくつかあるのですが、一番使いやすいパターンの条件は以下の通りです。

出願人(又はライセンシー)が、出願商標を指定商品・指定役務の一部に既に使用していて(又は使用の準備を相当程度進めていて)、かつ、「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務 “のみ” を指定している案件

ポイントは、すでに出願商標の使用を開始している必要があることです。この「使用」とは、Amazon上で商標を表示して既に販売していることでも足りますので、Amazonセラーの方は比較的使いやすい制度になります。

後半の「「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務 “のみ” を指定」の要件は、弁理士に自分が販売しようとしている商品のプランを説明すれば、適切な指定商品を選択してくれるでしょう。

※ もちろん Toreru でも早期審査に対応しており、多数の出願が早期審査で登録済みです。

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商標の出願はご自身で行うことも可能なのですが、先行商標の調査や、適切な区分の選択、また早期審査の申請など専門的な点も多く、知財のプロフェッショナルである弁理士に依頼されるのが確実です。

特許業務法人Toreru では、実績豊富な弁理士チームが出願から登録まで、責任をもって担当します。「この商標、Amazon対策のために取得できるかな?」と疑問に思われたら、お気軽にご相談ください。

 Toreru のサービスを見る

 

4、良くあるご質問

本項では、Amazonと商標に関するご質問で、良くあるもの・皆様の関心が高いと思われるものをまとめました。新しい質問があった場合、随時更新します。

Q1:商標を出願したあとに無事に登録が認められ、特許庁に登録料を支払いました。商標の登録番号も付与されたので、『Amazonブランド登録』に申請したのですが、却下されてしまいました・・。一体どうなっているのでしょうか?

A1:もう一度、先ほどの図を見てみましょう。

 

商標登録出願の審査期間

登録料を納付した後、「商標掲載公報」が発行されてから2か月間、第三者による『登録異議申立て』ができる期間があるのですが、この間はAmazonでブランド登録できません。

基本的に、特許庁のデータベースで「異議申立のための公告」になっているタイミングでは、Amazon側で『ブランド登録』を受付けていないようです。公告中はまだ権利が安定していない・・と考えているのかもしれません。

 

J-PlatPatのステータス

特許情報プラットフォーム(J-Plat Plat) 検索画面より

せっかく商標が登録されたのに、さらに2か月も待たないといけないのか・・とガッカリされた方のため、ここで裏技的な情報を1つ。

登録料を納付して商標権が設定登録されたあと、商標掲載公報(毎週火曜日発行)に掲載されるまでに3~4週ぐらいタイムラグがあります。実は、この間は『Amazonブランド登録』できちゃいます!

Amazonとしては、商標掲載公報に載るまでの期間は異議申立もできないし、特許庁データベースでも「存続-登録-継続」と表示されているので、ブランド登録を認めても良い・・・という判断なのかもしれません。(今後の運用は変わる可能性はあります)

特許庁に登録料を納付した後、2~3日で商標権が設定登録されますので、お急ぎの方は、即!ブランド登録に申請されることをお勧めします。

 

Q2:自らは商標権者ではなく、販売代理店として日本で商標登録された商品を販売しています。この場合、『Amazonブランド登録』のメリットを受けることは可能でしょうか?

 A2:『Amazonブランド登録』のシステム自体は商標権者しか使用できませんが、『Amazonブランド登録』の管理者は、販売代理店や営業担当者などを「代理人」として権限付与することができます。

権限付与された者(E-mailで対象者を指定)は、Amazonセラーセントラルやベンダーセントラル内で、Brand Registry登録者に与えられるのと同じ、「マーケティング特典」を受けることができます。

※これら「マーケティング特典」を使うために、Brand Registryにログインする必要はなく、セラー・ベンダーセントラル単体で利用可能です。

商品の製造元が日本で商標を登録されている場合、「Amazonブランド登録」でアカウントを開設してもらい、「代理人」としての権限付与を依頼してみてはいかがでしょうか。

 

 Q3:Amazonブランド登録とは別に、『Project Zero』というシステムがあるようですが、これはどんなものでしょうか?

 A3:『Project Zero』は、Amazon社が偽造品撲滅のために立ち上げた、「Amazonブランド登録」とは別のプロジェクトです。

『Project Zero』に加入すると、Amazonの機械学習を利用した自動プロテクション機能、セルフサービスの偽造品削除ツール、商品のシリアル化(但し、自社商品に権利者がシリアルコードを付与する必要あり。利用は任意)という3つの機能が与えられます。

※侵害対策に特化したプロジェクトのため、「ブランド登録」にあるマーケティング強化機能は提供されていません。

3つの機能の中では、セルフサービスの偽造品削除ツールが最も強い権限であり、Amzon社に申請するまでもなく、自分自身の判断で侵害品を削除可能となります。

そのため、Amazon社も『Project Zero』加入の判断は慎重で、まず「ブランド登録」を利用した上で、侵害申告の承認率90%以上という要件を課しています。

 

☆『Project Zero』資格要件

ステップ1

ブランドが、公的機関に登録した商標を用いてAmazonブランド登録に登録されていること。

ステップ2

  • 商標の権利所有者であること。
  • Amazonブランド登録を利用できるAmazonアカウントをお持ちであること。
  • 過去6か月以内に知的財産権侵害の可能性のある商品に対して申告を行い、申告が90%以上承認されていること。

注記: ツールが誤って使用されないように、Amazonはユーザーの適格性を判断するために追加的な要素を考慮する権利を有します。

Amazon Project Zero 公式ページより

 

2020年11月現在、「Amazonブランド登録」に基づく模倣品の削除申請も、迅速な審査が行われていますので、まずはブランド登録を利用し、その上でさらに『Project Zero』に加入する必要があるか、判断されるのが良いでしょう。

 

5、お役立ちリンク

① Amazon Brand Registry 公式ページ(Amazonジャパン公式)

https://brandservices.amazon.co.jp/

ここから『Amaonブランド登録』が開始できます。日本語で登録可能です。

 

 

 ② Amazon Brand Registry 公式ページ(Amazon USA公式)

https://brandservices.amazon.com/brandregistry

2020年11月現在、①と同じ内容が掲載されています。今後、USAサイトに先行情報が掲載される可能性もあるため、ご紹介しておきます。
(例えば、IP Acceleratorサービスは現在、米国サイトのみの公開です)

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有益な情報が得られましたら、今後さらに追加していきます。


商標登録のメリットを最大限に活かし、皆様のAmazonにおけるビジネスがさらに広がっていくことを Toreru では心から応援しております!

 

ご注意: 日本又は海外で広く認識されている商標と、同一・類似の商標を不正の目的をもって出願する行為は、「悪意の商標出願」として、特許庁による拒絶理由になります。

Toreru では、商標を活用した健全なビジネスの競争を支援したいと考えております。相乗り防止機能に過剰に期待し、他人の周知な商標を「横取り」するような出願は厳に避けるようお願いいたします。

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