「ポケモンスリープ」の関連特許を愛でよう ~特許でわかる、アプリゲームの過去・現在・未来

『Pokémon Sleep (ポケモンスリープ)』とは、スマートフォンを用いて睡眠を計測し、一緒に寝ようと集まってきたポケモンたちの寝顔を集めるアプリゲームです。

「睡眠のゲーム・エンタメ化」という取り組み自体が斬新で、公開後、約1か月で全世界累計1000万ダウンロードを突破、2024年3月からは伝説のポケモンと出会えるようになるなど、積極的なアップデートが続いています。

『Pokémon Sleep』公式ページへ

筆者は、ゲームボーイの赤・緑時代からポケモンシリーズのゲームで遊んできましたが、最近は時間が取れなくなり、いわゆるナンバリングタイトルはプレイできていません。ただ、ポケモンで遊びたい気持ちはあり、『ポケとる』、『ポケモンGO』などのアプリゲームには手を付けてきました。

そんな「ゆるくポケモンたちを集めて愛でたい」オールドゲーマーには『Pokémon Sleep』は良いゲームです。毎日寝るだけでポケモンたちが集められるので、半年以上もプレイが続いており、ランクも54まで上がりました。

そんな『Pokémon Sleep』ですが、配信元である(株)ポケモンも力を入れているようで、たくさんの関連特許が出願されています。特許庁のデータベースで検索すると、出願人が株式会社ポケモンである出願・権利存続中の特許は226件(国内文献)。このうち、「睡眠」を文中に含む特許は74件と約1/3を占めています。

これらの特許の中身を見ていくことで、『Pokémon Sleep』の開発思想を探り、さらには今後、実装されるかもしれない仕様を探ることができそうです。この手法は『Pokémon Sleep』だけでなく、他のゲームアプリや別分野にも応用可能です。

そこで本記事では「過去」、「現在」、「未来」の3つのテーマに分け、特許情報から読み取れることを紹介していきます。

過去:“朝型生活”にフォーカスした最初の「睡眠」特許

そもそも『Pokémon Sleep』のアプリ開発が発表されたのは2019年5月29日の「ポケモン事業戦略発表会2019」。当初は2020年に公開予定でしたが、最終的なリリースは2023年までずれ込みました。

(株)ポケモン社の担当者インタビューでは、遅れた理由として

特に先行となるアプリが存在しない点が大きかったです。単に睡眠を計測するツール・アプリはたくさんありますが、そのデータを活用したゲーム性のあるアプリはあまりなく、その点で苦労しました。

と説明されています。(IT mediaインタビュー記事より)それだけ画期的なゲームということでしょう。

最も古い「睡眠」を含む(株)ポケモン社の特許は2018/09/21出願の特許6679069号。特許の公開日は出願日から1年6か月後であるため、発表会の時点ではまだ公開されていない特許でした。

そんな記念すべき最初の「睡眠」特許の内容を見ていきましょう。特許を理解する上では、まず図面を見るとイメージしやすいです。

いきなり関係図が出てきましたが、アプリ系の特許図面では、最初にユーザ端末とゲームサーバのハードウェア間の関係を示すのが定石。よく見ると、「通信部とか記憶部とか、スマホやゲームサーバには、普通そういう機能があるよね」ということが書かれています。

ここで特徴的なのは、ユーザ端末とゲームサーバが通信し合うタイプのネットワークゲームであり、ゲームサーバの記憶部に「起床履歴」が記録される点でしょう。

この「起床履歴」をどう使っているかですが、図5のフローチャート。

このチャートでは、まず「起床時間」を取得してそれが朝の時間帯かどうかを判断、朝の時間帯に該当すれば“プラスイベント”、該当しなければ“マイナスイベント”が発生する。さらに朝の起床時間が何日も継続するか、もしくはユーザが指定した時間に該当していれば“ボーナスイベントが発生すると示されています。

発生するイベント例の図には可愛いピカチュウの絵が使われていました。さすが(株)ポケモンの出願です。左から“プラスイベント”、“ボーナスイベント”、“マイナスイベント”のイメージです。

良いイベントの発生条件に「朝の時間帯」を使う理由はというと、明細書本文に記載がありました。

【発明が解決しようとする課題】
【0004】  健康管理のためには、決まった時刻に朝起きて夜寝るという規則正しい生活を継続的に送ることが重要である。一般的に、決まった時刻に起床するためには、時計にアラーム機能を付加した形態の目覚まし機器が用いられる。しかしながら、このような形態の目覚まし機器では、ユーザをスムーズに覚醒するように導くことは難しく、朝起きることのモチベーション向上にはつながらない。
【0005】  また、特許文献1に記載された発明は、睡眠時間や睡眠品質等の睡眠自体の情報に基づいたパラメータをゲームに反映させるにとどまるため、朝起きることへの動機付けにはなりにくい。
【0006】  そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、仮想生命体の育成ゲームにおいてユーザが朝起きると育成イベントを発生させることにより、ユーザに朝起きることが楽しいという動機付けを与え、十分な覚醒に導くことができる育成ゲームの進行を管理するゲームサーバ、プログラム、方法、ゲームシステムおよび情報処理端末を提供することである。 

特許6679069号明細書より引用(太字筆者)

特許の開示内容=実際に開発されているアプリの仕様、とは限りませんが、最初の特許出願は、「ちょうどよい朝の起床時間」に楽しく起きられるようになるゲームを意図していたようです。

これを踏まえて、特許の権利範囲となる「請求項」を見てみましょう。

【請求項1】

  ユーザ端末で実行される仮想生命体の育成ゲームの進行を管理する情報処理装置であって、

  前記ユーザ端末への入力情報及び、ユーザの起床時間を取得する取得部と、

  前記取得した入力情報と起床時間とに応じて、前記育成ゲームに関する処理を実行する処理部と、

  記憶部と、を備え、前記記憶部は、所定の時間幅を第一の時間帯として記憶し、ユーザ端末への入力によって予め登録された前記第一の時間帯に含まれる指定時間を記憶し、

  前記処理部は、前記取得した起床時間が前記第一の時間帯に含まれると判断した場合、前記育成ゲームにおいて第一イベントを発生させ、前記取得した起床時間が指定時間と一致すると判断した場合、前記育成ゲームにおいて前記第一イベントとは異なる第二イベントを発生させる、情報処理装置。

特許6679069号明細書より引用

うーん、これはちょっと難しいので、図で整理してみます。

情報処理装置の構造図

ユーザの入力情報や起床時間のデータを取得するのは睡眠アプリとしては一般的な働きですから、この特許の特徴は「第一の時間帯」と「指定時間」を別々に記録し、イベントもそれぞれ発生させる点にありそうです。

「第一の時間帯」とは例えば朝6時~9時のような、一般的にちょうどよいとされる朝の起床時間帯。「指定時間」は例えば「私は毎日7時に起きることにする」とユーザが決めて設定した時間を指すと考えられます。

イベントが第一と第二で分かれているのは、単に朝の時間帯の間で起床できれば通常イベント(第一イベント)。さらに自分で宣言した時間に起きられればボーナスイベント(第二イベント)と、差をつけるためでしょう。

単にアラーム音で目を覚まさせるのではなく、ちょうどよい時間に起床すればゲーム内の報酬が与えられることで、朝の時間帯でのユーザーの起床モチベーションを高められる、という点が発明の効果といえますね。

明細書本文にも、

(効果の説明)  
本実施形態に係るゲームシステムは、ユーザの起床時間に応じて、育成ゲームに関する処理を実行する。朝起きることが仮想生命体の育成につながるため、ユーザは育成ゲームを楽しみながら、朝型生活を送るモチベーションを維持することができる。

一般的に、人間の生活リズムは朝型に出来ていると言われており朝に目覚めることにより生活リズムが整い、良好な健康状態が維持されると考えられている。したがって、本実施形態では、朝の時間帯にゲームを進行させることにより、ユーザに朝起きる動機付けを与える。

ゲームを楽しむユーザは、朝起きることが辛くなくなり、むしろ楽しみになる。すなわち、ユ ーザに朝型の生活習慣を身につけさせ、良好な健康状態を維持させることができるようになる。
特許6679069号明細書より引用(太字筆者)

と書かれており、開発初期の『Pokémon Sleep』では「朝型生活への習慣付けゲームアプリ」を志向していたのではと考えられます。同社の特許7184837号でも「朝型生活を送るモチベーション」というフレーズが出てきていました。

ではリリース版のアプリでこの特許が実装されているかですが、実はユーザが指定するのは「起床時間」ではなく「就寝時間」であり、また、その時間帯に起きると有利になる「第一の時間帯」は存在していません。

存在しない理由ですが、「起床時間」を指定させてしまうと、つい早く目が覚めすぎてしまったときも起きるとゲーム内ボーナスが得られない=ユーザーのストレスになるという配慮と、仕事の都合などで「朝型生活」が取れない人はこのゲームの対象から外れる課題から、実装されなかったのではと推測できます。

ちなみに「就寝時間」の宣言は「ねむりの約束」という形でアプリに実装されており、ユーザが毎日何時に寝るつもりか指定し、その時間に寝ることができれば、毎日ボーナスアイテムが取得できます。

このように開発過程でゲームの内容はブラッシュアップされていったようですが、では実際にリリースされた『Pokémon Sleep』の仕様をそのまま反映した特許権はあるのでしょうか?次の章で探してみましょう。

現在:「ゲーム性を高めすぎない」のが本作のポイント!?

『Pokémon Sleep』のリリースは2023年7月だったので、実際の仕様に近い特許といえば、その前後に出願されている可能性が高そうです。そこで、リリース前後の特許出願を調べてみたところ、ありました!まずは図面を見てみてください。

右は私がプレイしている実際のゲーム画面です。左の図面では少し要素が省略されていますが、「キャンプセット」、「おこう」、「なべ」、「パラメータ画面」などの主要な構成要素は同じですね。

この特許、出願日が2023年6月3日とリリースの1か月前で、ほぼ完成形のアプリを見ながら図面や明細書本文を作成したのではと考えられます。

この特許の請求項1(権利範囲)では、

プロセッサと、メモリとを備え、ユーザの睡眠に関する睡眠情報を用いるゲームの実行を管理するコンピュータに実行させるためのゲームプログラムであって、

前記ゲームプログラムは、前記プロセッサに、前記ユーザが睡眠している期間を除く活動期間において、1つ以上の所定値を第1のパラメータに加算することで前記第1のパラメータを増加させるパラメータ制御ステップと、

前記ユーザが睡眠を開始したタイミングにおける前記第1のパラメータを睡眠開始時の睡眠開始時パラメータとして格納するパラメータ格納ステップと、

前記ユーザの睡眠情報に基づいて睡眠パラメータを算出する睡眠パラメータ算出ステップと、

前記睡眠パラメータに前記睡眠開始時パラメータを乗じて得られる第2のパラメータに基づいて、発生させるゲームイベントを決定するイベント決定ステップとを実行させるゲームプログラム。 

特許7353529号 請求項1より引用(太字筆者)

と記載されています。

この権利のポイントは、

・ユーザが起きて活動する期間に上昇する第1のパラメータ(睡眠開始時パラメータ)
・睡眠情報に基づいて算出される睡眠パラメータ

の2つを掛け算し、出てきた数値(第2のパラメータ)に応じてイベントが変化するという点になります。

実際のゲーム中では、

第1のパラメータ:カビゴンエナジー
睡眠パラメータ:睡眠スコア
掛け算で出る第2のパラメータ:ねむけパワー

とそれぞれ名づけられており、ねむけパワーの数値に応じ、起床時に見ることができるポケモンたちの数・種類が変化する仕様になっています。

つまり、ねむけパワーが低いと「コラッタ」、「キャタピー」などの小さなポケモンが数匹集まる程度、ねむけパワーが高いと「リザードン」、「カメックス」など進化後のポケモンもやってきて、匹数もたくさん集まる仕様です。なお、集まってきたポケモンたちを餌付けすることで、仲間にできます。

それにしてもどうしてパラメータを複数に分け、掛け算の処理を入れているのでしょうか。これも明細書に答えがありました。

【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のゲームシステム等の睡眠ゲームにおいてはユーザが適切な睡眠を取ることが重要である一方、ユーザが起床している時間帯のゲーム操作を完全にはなくすことはできない。

出願人は、睡眠ゲームの開発の中で、ユーザが起床している時間帯におけるゲーム性を高めることが睡眠ゲームの魅力・興趣性の向上を高めることには必ずしも結びつかない場合があるという知見を得た。 ・・・

【0013】
ここでゲームシステム1は、ユーザの活動期間におけるゲームシステム1のゲーム性を高めすぎず、ユーザに適切な睡眠を取ることを促すことができる機能を備える。・・・(ユーザは所定の操作をすることでコツコツと第1のパラメータを増加させることができるし、操作をしなくてもゲームの進行に要する最小限度の第1のパラメータを確保できる。

【0015】
これによりゲームシステム1においては、ユーザは活動期間においてゲームに没頭することを要せず、余裕があるタイミングで第1のパラメータを増加させることができる。そして、ゲームシステム1においては、活動期間を除く時間帯でユーザがしっかりと睡眠を取ることでゲームの進行上において重要な第2のパラメータを容易に増加させることができるので、しっかりした睡眠を取るインセンティブがユーザに働くと共に睡眠ゲームとしての興趣性を向上させることができる。 

特許7353529号 明細書より引用(太字筆者)

つまり、「あまり日中熱心に遊ばせすぎてしまうと、肝心の「睡眠要素」にユーザの関心が向きにくくなって逆効果」ということですね。日中のゲーム性が高くなりすぎると操作負荷も上がり、「毎日遊ぶことに疲れたし、もうこのゲーム遊ばなくていいかな」と卒業するユーザーが増えるリスクもあります。睡眠時間の習慣化という点では本末転倒でしょう。

実際のゲームでは、第1のパラメータ(カビゴンエナジー)は、仲間のポケモンたちをタップしたり、画面中央にいるカビゴンに食事を与えたりすることで上昇しますが、もし日中忙しくて画面操作できなかったとしても、仲間のポケモンたちが自動的に「きのみ」を集めて、ある程度エナジーを上昇させてくれます。朝と夜だけ操作する形でも、相当数のポケモンたちが集まってくるので、楽しめるようになっています。

また、「睡眠スコア」は睡眠時間の長さに応じて1~100点で測定されるので、100点が出る約8時間半を目指して早めに寝ようというモチベーションも湧くようになっています。ちなみに6時間45分寝れば、80点は確保できるようになっているので、睡眠時間が短めな人でもそれなりの点数はでます。

『Pokémon Sleep』の一見複雑なねむけパワーの算出方法には、日中のゲーム性をちょうど良いレベルに抑えつつ、かつ健康的な睡眠にユーザーを誘導する目的がありました。このように特許情報を読むことで、「仕様の意図」を探ることもできるのです。

未来:これからの『Pokémon Sleep』は?

過去・現在ときたら、やはり「未来」を知りたいですよね。ただ、出願された特許は1年半経たないと公開されません。記事執筆時点ではまだアプリのリリースから1年も経過しておらず、リリース後に出願された特許は未公開の状況です。

「それだと未来を知ることはできないんじゃないの?」と思われるかもしれません。実は、2つの方法で未来を推測できるのです。

① 特許明細書の「〇〇してもよい」から探る

特許公報では発明の「権利範囲」だけでなく、その発明をどうやったら実施できるか、「発明の詳細な説明」というパートで具体的に書かなければなりません。

「発明の詳細な説明」は発明の説明書き(マニュアル)のようなものです。このマニュアル部分で発明の内容を具体的に公開したことを対価に、特許権という独占権が付与される仕組みです。

マニュアルの内容として「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」という法律上の条件があるため、特許の出願人は仕様の具体例や選択肢を様々に書いていきます。

この仕様の選択肢がミソで、「現時点ではまだ採用されていないけど、今後使うかもしれない仕様」が結構隠れているのです。

『Pokémon Sleep』でいえば、例えば特許7383769号。2023年11月10日に登録された特許権ですが、「発明の詳細な説明」にこんな記載がありました。

【0095】

  ユーザの活動量や、食事、位置、湿度、ユーザ端末への操作時間、操作時間帯等に応じて睡眠スコアに加算、減算してもよい。例えば、ユーザ端末の位置情報として、評価の高いホテル(5つ星ホテルなど)の場所を検知した場合、良い睡眠が得られるとして、睡眠スコアに加算してもよい。また、例えば、基準就寝時刻より後にユーザ端末を操作すると睡眠スコアを減らすようにしてもよい。

2024年5月時点では、「眠りについた場所」で睡眠スコアにボーナスがかかることはないのですが、ちょうど先月、「グランドハイアット東京とコラボして、夏休みに特別な宿泊プランを提供します」というお知らせがありました。

『ポケモンスリープ』1周年 コラボレーション サマー 2024 | グランド ハイアット 東京のプレスリリースより

これは泊ってみたいですね・・!スイートは1室2名利用時で27万円~なので、私はちょっと手が出ないですが、世界中のポケモンファンが殺到する気がします。

この特許で開示されているアイディア、「評価の高いホテル(5つ星ホテルなど)の場所を検知した場合、良い睡眠が得られるとして、睡眠スコアに加算してもよい。」がそのまま実装されるかは不明ですが、他の形、例えばお台場エリアで宿泊すれば、みずタイプのポケモンに出会いやすくなるなどの仕様で、位置情報とリンクさせることもできそうです。

このように、特許明細書の「〇〇してもよい」という記述を拾っていくことで、「あれ?これって今後実装されるんじゃないの?」というアイディアを見つけることができるのです。

② 特許群の技術の方向性から探る

他に未来を探る方法として、複数の特許を分析し、どの分野の技術に力を入れているか探るやり方もあります。

今回検索で引っ掛かった「睡眠」を含む(株)ポケモンの特許権74件(出願中含む)について、さらに内容を調べたところ、うち56件に「モーションセンサ」というキーワードが使われていました。全体の約3/4なのでかなり多いですね。

睡眠計測データを活用するというゲームの性質上、「モーションセンサ」が出てくるのは必然性もあるのですが、このキーワードに注目して特許を見ていくと、

  • ユーザの身体の動きを検出するデバイスを用いた睡眠ゲームにおいて、より適切に睡眠情報をゲームの進行に反映する。(特許7462100号)
  • ユーザの睡眠情報を適切に測定できない事態が発生した等の場合において、センサが取得した情報によらずに睡眠情報の修正を認める場合であっても、ユーザが適切な睡眠を取る動機付けを確保できることを可能にするゲームプログラム、ゲームシステム、ゲーム方法、情報処理装置、及び生成方法を提供する。(特許7400143号)
  • 他のアプリケーションを実行することによる睡眠結果の取得失敗を抑え、ユーザがゲームを継続する意欲の減衰を抑える。(特許7374366号)

のような、睡眠計測データをゲームに上手く活用するための発明が複数見つかりました。睡眠データの活用はやはり『Pokémon Sleep』のオリジナリティであり、ゲーム性の肝。この視点でのアップデートは今後も期待できそうです。

上記の分析はごく単純な例ですが、特許情報分析を行えば、出願人の強みや、技術開発の方向性を具体的に知ることができます。興味がある方は、下記の参考図書もおすすめです!

参考図書:「特許情報分析とパテントマップ作成入門 第3版 」

おわりに~特許情報活用のススメ

これまで『Pokémon Sleep』を題材に、特許情報からわかる、過去・現在・未来について紹介してきました。

過去は、開発初期のコンセプトや実装しようと検討されていたアイディア。現在は、今実装されている仕様がどうしてそうなっているかという設計思想や目的。さらに未来は今後実装されるかもしれないアイディアや、技術開発の方向性を知ることができます。

今回は検索結果からいくつか興味深い特許をピックアップした簡易な方法でしたが、より緻密にデータ分析を行えば、さらなる発見があるはずです。

皆さんも自分が好きな商品や企業の「特許情報」を掘り下げてみると、“推し”商品や企業の新たな側面を発見することができるでしょう。

是非、日本特許庁の無料データベース(J-PlatPat)を活用し、皆さんも遊んでみてください!

J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)

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