決定戦ルール
「特許出願人のテッペンを取るのは誰だッ?!」
はじまりました、特許出願人頂上決定戦。
特許出願人頂上決定戦とは、特許出願人の中で“標高”が世界一の者を決める戦いです。
ルールはシンプル。日本に出願された特許出願の中から、出願人の住所または居所がもっとも高い地点にあるものを探します。
実際に調べてみた
特許検索エンジンのJ-Plat Patには、出願人を住所または居所で検索できる機能があります。
豆知識:住所と居所のちがいは? 出願人が人間である場合、その人が住んでいる場所を「住所」と呼びます。一方、出願人が会社などの法人である場合、その法人が本拠地を構える場所を「居所」と呼びます。
検索項目「出願人/権利者住所」を選択します。

「住所検索」の選択肢には世界中の国・地域の名前が記載されているので、この中から標高が高い街がありそうな国・地域を選んで検索してみます。

豆知識:外国人や外国の法人が日本で特許出願をするのはなぜ?
自分の国で特許を取ればそれが他の国でも通用するんじゃないの…?残念ながらそうではありません。例えば、ネパール人がネパールで特許出願をし、特許を取得した場合、その特許はネパール国内でしか通用しません。他の国では通用しないのです。そのため、特許がほしい国1つ1つに特許出願をし、それぞれで認められる必要があります。つまり、ネパール人が日本で特許が欲しい場合、日本で特許出願をする必要があるのです。
このような感じで検索結果一覧が表示されます。

検索結果一覧に挙げられた特許公開公報を見てみましょう。
豆知識:出願公開制度
特許法には、出願公開制度というものがあります。この制度によって、特許出願された発明は、特許されるかどうかに関わらず、特許公開公報によって公開されます。特許公開公報は、J-PlatPatなどの検索エンジンで探すことができます。
特許公開公報の最初のページには、出願人の名称と居所が記載されています。ここに記載されている居所の標高を調べていきます。

世界最高峰の玄関口:ネパール
世界で一番高い山はエベレスト。

エベレストがあるのはネパール。
というわけで、まずは「ネパール」で検索すると、2件の特許公開公報がヒットしました。
こちらの特許公開公報の出願人の居所はネパールの首都カトマンズ。カトマンズの標高は約1300mです。標高約1300mというと、軽井沢(標高900-1200m)より少し高いくらい。なかなかの標高ですが、もっと上もありそうです。
カトマンズのおすすめ観光スポット情報:タメル地区 バックパッカーの拠点としてにぎわう地区です。ゲストハウスやカフェ、登山用品を扱う店などが軒を連ねます。最近はネワール建築を活かしたおしゃれな宿やショップも増えています。 asahi.com & Travel 飽きることのないカトマンズの散策 ネパールひとり旅#1
最初の記録は1300mとなりました。
アンデスからの刺客:南米
こちらの記事によると、どうやら南米のアンデス山脈にある街はかなり標高が高いようです。こんなに高いの!?世界の高地都市たち!「キト」「ラパス」
まずは「ボリビア多民族国」で検索してみると、4件の特許公開公報がヒットしました。
こちらの特許公開公報の出願人の居所はボリビアの憲法上の首都であるスクレという街にあります。スクレの標高は約2810mです。これは八ヶ岳の山々の頂上とだいたい同じくらい。だいぶ標高が上がってまいりました。
スクレのおすすめ観光スポット情報:スペイン風の街並み スクレは16世紀にスペイン人によって造られた街です。街並みは白壁とオレンジ色の瓦屋根で統一され、当時のスタイルを現在に伝えています。 阪急交通社 世界遺産 第280回 ボリビア 古都スクレ

ひと休みコーナー
都内近郊にもボリビア料理が楽しめるお店があります。沖縄料理×中南米料理 エル・ボスケ (el bosque) さっそく食べに行ってみました。エル・ボスケは南米料理と沖縄料理のお店で、店頭ではボリビア国旗とオリオンビールの提灯が競演していました。イチオシはアヒ・デ・パンサという牛ハチノスとじゃがいもを煮込んだボリビア料理。自家製のビネガー野菜ソースをチョイ足しすると、よりいっそう食が進みます。

写真右上:エンパナダ・デ・ケソ(ボリビアチーズの入った揚げパイ)とエンパナダ・デ・ポーヨ(鶏肉、じゃがいも、卵、オリーブの入った揚げパイ)
写真左下:プラタノ・フリノ(エクアドル産バナナを揚げたもの)
写真右下:アヒ・デ・パンサ(牛ハチノスとじゃがいもの煮込み)
南米の他の国についても検索してみました。
こちらの特許公開公報の出願人の居所はエクアドル共和国の首都キト。
キトの標高は約2850mです。スクレよりちょっとだけリードして、記録更新しました。
キトのおすすめ観光スポット情報:赤道記念碑 キトの近郊には赤道記念碑があります。キトは赤道直下に位置していますが、標高2850mとかなり標高が高いことから、一年を通じて冷涼な気候です。Veltra.com 赤道記念碑日帰り観光ツアー!世界の中心?赤道をまたいで記念撮影♪<英語ガイド/キト発>
天空の聖地:チベット
他に標高が高そうな所といえば…?
チベットも調べてみました。
「住所選択」で「中華人民共和国」を選択し、「書誌的事項」の項目に「チベット」と入力して検索すると、2件の特許公開公報がヒットしました。こちらの特許公開公報の出願人の居所はチベット自治区のニンティという街。
特許公報の最終ページには出願人の住所が記載されています。

ニンティの標高は3100mです。ついに3000mを越えました。
これがどれぐらい高いかというと、日本第二位の山、「北岳」が3193m。2500m以上が高山病発症の目安なので、高山の頂上から出願しているようなものです。
ニンティのおすすめ観光スポット情報:鲁朗林海 春先には桃の花が咲き誇り、チベットの雪山とのコントラストがすばらしい絶景スポットです。桃源郷とはまさのこのこと。 新華社 日本語版 春の訪れを告げる桃の花が満開に チベット自治区ニンティ市
なお、「世界でもっとも標高の高い首都」には、ボリビア多民族国のラパスが挙げられています。富士山レベル! 世界の標高の高い首都|ANA Travel & Life
この都市は標高3640mと、富士山頂上ともいい勝負です。ただし、記事執筆時(2021年7月)において、J-PlatPatではラパスからの出願は見つかりませんでした。先ほど紹介したとおり、ボリビアの出願人はいたのですが、居所は別の都市、スクレ。スクレの標高は2810mでありニンティを上回ることはできず、記録更新とはなりません。
そこで今回の特許出願人頂上決定戦では、中国チベット自治区の「ニンティ」という街に居所を構えるこちらの出願人を特許出願人頂上決定戦の勝者、つまり「特許出願人頂上王」に(勝手に)認定します。

あくまで筆者調べによる認定であるため、さらに標高が高い出願人、つまりは特許出願人頂上決定戦の「真の勝者」を見つけた方は、是非 #特許出願人頂上決定戦 を付けてTwitterでつぶやいてみてください。
おまけ:気分だけでも南の島に行きたい
夏休み、やっぱり南の島でバカンスがしたいものです。

J-PlatPatの「住所選択」に常夏の国々の国名を入力してビーチに想いを馳せます…
すると、南太平洋の島国「サモア独立国」の検索結果に興味深い特徴がありました。
ヒットした特許公開公報を見ていくと、優先権主張国が中国であったり、出願人や発明者の名前が漢字表記であったりと、中国との関係が深そうな公報が多いです。こちらの特許公開公報の出願人の居所はサモア独立国の首都アピア。優先権主張国は中国です。

気になって調べてみると、こんな記事がありました。 太平洋諸国で存在感を強める中国 米国は「肉食獣の経済力」を懸念 中国はサモアをはじめとした南太平洋の国々で存在感を増しているようです。
アピアのおススメ観光スポット情報:トスア・オーシャン・トレンチ ドメイン島巡り サモアの絶景スポットには気をつけろ?! 首都アピアがあるウポル島には「トスア・オーシャン・トレンチ」と呼ばれる天然のプールがあります。ジャングルの中でエメラルドグリーンに輝く天然のプール。絶景ですね。

まとめ
今回の決定戦では標高3100mの都市、ニンティからの出願が1位となりました。ニンティだけでなく、世界中あちこちの国からの出願も見つかり、改めて特許はワールドワイドだとわかります。
なかなか海外旅行に行けない昨今、特許調査で気分だけでも世界旅行をしてみては、いかがでしょうか?
<こちらもおススメ>