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人気プロテイン『SAVAS』『be LEGEND』のブランド戦略を調査!両者の差別化ポイントは?

近年、大きなブームとなっているプロテイン。ドラッグストアやスーパーでは、さまざまなメーカーのプロテインが販売されています。

ハードな筋トレをしていない筆者にとっても、プロテインは身近な存在。

ひとりの消費者として、時間がない日の朝食や、口寂しい時のおやつとして楽しんでいます。

一方、マーケティングの観点からプロテインを見てみると、シンプルな原料で構成された”タンパク質の粉”をどのように差別化しているのかが気になるところ。

そこで、ユニークなプロテインを実際に味わいながら、人気プロテインメーカー2社の商標や商品ラインナップを調査し、その違いを分析することに。

プロテインと知財を愛するライターとしての視点から、タンパク質の粉を巡るブランド戦略を探ります!

売上No.1ブランド|SAVAS(ザバス)

商標登録2484365|J-PlatPat [JPP] より引用

株式会社明治が展開する『SAVAS(ザバス)』。日本で最も高い販売金額を誇るプロテインブランドです。

SAVAS公式ページ(株式会社 明治) より引用

ザバスが誕生したのは1980年。1990年には米国で流行していたアミノ酸サプリメントを、1995年には目的別プロテイン『ウエイトダウン』『ウエイトアップ』を発売し、先進的な商品の導入によって国内でのプロテイン需要の拡大に寄与しています。

戦略1:多様な商品スタイル

ザバスの特徴のひとつは、多様なスタイルのプロテインを展開し、ブランディングを図っていること。

粉末のプロテイン以外にも、外出先で気軽に楽しめるドリンクタイプや、気になる味を1回分から楽しめるトライアルタイプといった商標が登録されています。

商標登録6091468|J-PlatPat [JPP] より引用

商標登録6433780|J-PlatPat [JPP] より引用

商標登録されている商品の中で特に他社との違いが感じられたのは、一般的に通常商品よりも軽視されがちな『トライアルタイプ』です。

商標は「この商品を中長期的に使用し続け、ブランド化したい」という企業の意思によって生まれるケースが多く、こちらの商標からは、大半の企業が重視していない「トライアル」商品にザバスが力を入れている様子が伺えます。

加えて、ザバスの熱い思いを裏付ける根拠は公式サイトにも存在。

トライアル商品を公式サイトには掲載しない企業がある一方で、ザバスの公式HPにはトライアルタイプが通常商品とともに掲載されていました。

商品情報ページ(株式会社 明治) より引用

トライアル商品によって味に好感を持ってもらえれば、ザバスのその他の商品を購入してくれる可能性も。

ドリンクやバーといった形態のプロテインも展開しており、「粉末の商品には興味がないユーザーも獲得できる」体制が整ったザバスにおいて、トライアルタイプは重要な役割を果たしていると考えられます

戦略2:個々のニーズに応える豊富なラインナップ

多様な形態の商品展開だけでなく、ターゲットを細かく分けた豊富なラインナップもザバスの魅力。

ザバスの中でもユニークなシリーズが、”for Women”と冠した女性をターゲットにした商品です。「力強さ」をアピールすることが多いプロテインの傾向と異なり、「引き締まった美しさ」を訴求した新鮮なアプローチによって、顧客の幅を拡げたシリーズです。

今回味わったのは、『ザバス for Woman シェイプ&ビューティ ミルクティー風味』。パッケージは、華やかなピンク色に仕立てられています。

シェーカーに入れて振ってみると、ほんのり甘い紅茶の香りが。牛乳は使わず、水で溶かしたのみですが、ティータイムのような優雅な雰囲気が感じられます。

プロテインの甘さは控えめで、まろやかなコクが印象的。大豆を原料に使用したソイプロテインのため、きな粉のような香ばしい味わいも楽しめました。

プロテインは一般的に『泡立ちが少ないほうが良い』といわれるものの、この商品については、むしろ泡が口当たりのアクセントとして活躍しています。泡が口の中ではじけると、やさしい紅茶の風味がいっぱいに広がり、幸せな気分に浸れました…。

『ザバス for Woman シェイプ&ビューティ』は、大豆プロテインのほか、フィッシュコラーゲンやビタミン・ミネラルなどの成分も配合。

タンパク質以外の栄養素も摂取できる仕様にすることで、手軽に体に良い成分を取り入れたいライト層の方への訴求力が強まっています。

なお、今回味わった『ザバス for Woman シェイプ&ビューティ』シリーズ以外にも、ザバスにはターゲットを限定した個性的な商品が多数ラインナップされています。

徹底的にアミノ酸組成にこだわったボディビルダーに向けた『ザバス アドバンスト ホエイプロテイン100』や、減量したい人をターゲットにした『ザバス プロ ウェイトダウン』といったシリーズが展開されていました。

豊富なラインナップによってユーザーの多様なニーズにきめ細かく応えていることが、本ブランドの大きな魅力といえるでしょう。、ターゲットを絞った商品

後発ならではの個性派ブランド|be LEGEND(ビーレジェンド)

商標登録5481276|J-PlatPat [JPP] より引用

株式会社Real Styleが展開するプロテインブランド『be LEGEND(ビーレジェンド)』。2011年9月に初代製品『ビーレジェンド プロテイン』の販売を開始しています。

ビーレジェンド公式通販ページ より引用

ブランド自体の歴史はザバスよりも浅く、Real Style社の公式サイトには、”弊社は後発の会社です”との記載がありました。

開発秘話 | 【公式】beLEGEND ビーレジェンドプロテイン

では、一体どのようにザバスと差別化しているのか?さっそく、その戦略を探ります。

戦略1:お菓子やアニメとのコラボ企画を次々実施

ビーレジェンドの大きな特徴が、人気キャラクターやアニメ、お菓子とのコラボフレーバーの販売。ぐでたまやドラゴンボール、ミルキーなど、さまざまなコンテンツとコラボし、商品を開発しています。

今回レポートするのは、『ビーレジェンドWPCプロテイン 範馬刃牙 すッッ・・・ッパイン風味』。大人気格闘漫画「刃牙」シリーズとのコラボ商品です。

パッケージには、作品の主人公である”範馬刃牙”のイラストをデザイン。迫力がすごい…。

開封すると、辺りに広がったのはパインの甘酸っぱい香り。溶け具合は良好で、2-3回振っただけでサラッとしたドリンクに仕上がりました。

パンチの効いた甘みと、ほどよい酸味の相性はバツグン。トレーニングの後にぐいっと飲みたい、さわやかなテイストを楽しめます。

香りが強いため、満足感があるのも嬉しいポイント。ドリンクのみでも寂しさを感じにくく、減量中や間食にも適していると感じました。

今回の『すッッ・・・ッパイン風味』のインパクトが気になったので深掘りしたところ、その他の商品のフレーズもかなり強烈。

コラボプロテインを詳しく見てみると、「ドラゴンボールZ」の商品には”かめはめ波風味”、中毒性の高いOPテーマで話題を呼んだTVアニメ「ダンベル何キロ持てる?」の商品には”めっちゃモテたいならビーレジェンドにお願いだ!”など、個性あふれる記載がありました。

ビーレジェンドのコラボプロテインを購入したユーザーについてTwitterで調べてみると、これらのフレーズが気になって商品を購入した方も多いよう。

単に人気作品のキャラクターを起用するだけでなく、ユニークな言葉を使った巧みな戦略によって、新規ユーザーの興味を引いている様子がうかがえました。

戦略2:Amazon限定シリーズを推進

ビーレジェンドのプロテインにおける商標登録は、ザバスと比べて少なめ。

株式会社RealStyleの商標登録データを見てみると、『ビーレジェンド』の名を冠した、プロテインやジム、運動用具を指定した商標登録がありました。

商標登録6455054|J-PlatPat [JPP] より引用

ただ、そんな中でも気になる商標登録が、販売経路を限定したプロテインシリーズ

『Real Nutrition』。

商標登録6374857|J-PlatPat [JPP] より引用

公式YouTubeチャンネルを確認すると”Amazon限定ブランド”と明言されていました。

【Amazon限定ブランド】Real Nutrition ビーレジェンド ここはココアでしょ!風味をレビュー 【ビーレジェンド プロテイン】

この商品のPKGには『ビーレジェンド』と『Real Nutrition』の2つのブランドが表記されており、通常の黒いPKGとはイメージを変え、白を基調としたスタイリッシュなデザインとなっています。

考察した『Real Nutrition』ブランドの狙いは、Amazonとの取引強化と他ブランドからの乗り換え促進。

Amazonは「Amazon限定」のブランドに対して多くの優遇措置をとっているため、ビーレジェンドは『Real Nutrition』の展開によって、その恩恵を受けていると推察できます。

また、Amazonでの販売には、検索画面やおすすめ欄に他社のプロテインと自社商品を並べて表示させ、すでに他社の商品を購入しているユーザーの「ビーレジェンドを一度試してみようかな?」といった好奇心を引き出す効果があります。

『Real Nutrition』においては、価格を通常のビーレジェンドシリーズよりも安く設定し、Amazonで他社のプロテインと比べた際にコスト面で興味を引く工夫もなされていました。

なお、Amazonでは、あらかじめ取得した商標をAmazon Brand Registryに登録することでさまざまなブランドコントロールが可能になります。興味がある方は、以下の記事も参考にしてみてください。

Amazonブランド登録の7つのメリット – Toreru Support

まとめ~2つのブランドの戦略の違いは?

個性が際立ち、非常に魅力的な味わいだった2社のプロテイン。どちらのプロテインも、単なる”タンパク質源”以上の価値を追求するメーカーの熱意が感じられる品でした。

国内では最大級の市場シェア率を誇るザバスは、さまざまなシーンで楽しめるドリンクや小分けの少量タイプの商標を登録。さらに、アスリートからシェイプアップしたい女性まで、細かなニーズに応える豊富なラインナップによって、ライバル社との差別化を図っていました。

一方のビーレジェンドは、Amazon限定ブランドや他企業とのコラボ商品によって、広告費用を抑えながら話題性を獲得。後発企業ならではの一味違ったマーケティングで、ユーザーの心をつかむ戦略がみられました。

アニメを見る機会の多い筆者としては、二次元コンテンツとのコラボが多いビーレジェンドに心を惹かれるものの、現在は手軽に飲めるザバスのドリンクタイプを愛飲中。

今後もプロテインを飲みながら、まだ見ぬ商品との出会いを期待しています…!!

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